総合商社への就職・転職に興味がある人必見!何故若手は商社を辞めるのか?
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こんにちは、編集人J(コンサル)です。このメディアはアッパーミドルの方々のために高品質な記事の持続的な配信を目指す中で様々な方へのインタビューを通じ、キャリアを考えるという記事をコンテンツの1つとして発信していこうと思います。
まず第一弾は元総合商社、現超少人数商社へ最近転職されたISHICO(@ishico86)さん。ラムチョップを食べながらキャリアや結婚について話あってきました。
このような内容が記事には入ってます
・商社への入社理由
・担当した業務、身についたスキル
・商社への転職・就職を考える人へのアドバイス
特に商社への転職や就職に興味を持っている方や逆に商社をやめようと思っている方に読んでいただければと思います。
- 新卒で商社に入社したのはコンビニ経営への興味から
- 配属は食品関連トレーディングへ、海外勤務も経験
- 総合商社の競争力は川上から川下まで保有している幅広さ
- 商社で身につけることが出来たスキル
- 商社への転職・就職に興味ある人へ向けたアドバイス
- まとめ
新卒で商社に入社したのはコンビニ経営への興味から
ISHICO「最初はコンビニ経営に興味を持ったんですよね。
日本のコンビニと海外のコンビニと比較すると日本のコンビニは公共料金の支払いを始め様々なサービスを展開しておりライフスタイルに浸透していますよね。海外のコンビニの場合はまだ単なる小売店というレベルにとどまっており、大きなギャップを感じました。そこで日本のコンビニのノウハウを海外に展開することが出来れば大きな可能性があるのではと感じていました。
コンビニ経営と言えば三菱商事がローソン、伊藤忠がファミリーマートを保有し経営に関与するチャンスがあります。そこでそのいずれかに入社しようと思ったのがきっかけです。」
編集コメント:
これほど明確な意思を持って商社へ入社する人はかなり稀ですので自分になくても心配は不要です。
ただ意思が明確なほど、自分がやりたいことを強く語れるので面接では好印象の場合が多いでしょう。
配属は食品関連トレーディングへ、海外勤務も経験
新卒入社する人は配属は運命だと思うべし!
ISHICO「配属については面接でひたすらコンビニの話をしていたかいあってか、コンビニ経営に携われる部署に配属になることが出来ました。
ただ後ほど詳しく話ますが、やりたいことに中途半端にこだわっている人は配属リスクの大きな総合商社は適していないと思います。
本当に情熱があって強いこだわりがあり、他の人を納得させられるくらいのものを持っているか、新卒入社時の配属は運命だと思ってどこでも受け入れられるかのいずれかという姿勢でないと後悔するかもしれません。
同期でひたすらスニーカーの話をしつづけていて、スニーカーが好きすぎるという人間はスニーカーに関わる部署に実際に配属になることが出来ましたがそのくらいの蒸熱がないと配属をコントロールするのは難しいと言えます。
商社では食品関連のトレーディングに主に携わっていました。簡単に説明すると海外の展示会などへ出向き日本で販売できそうなブランドと販売権益獲得の交渉を行い契約。そこから先はどこで販売するかという販売戦略の構築、流通先の確保、貿易実務とまさに川上から川下まで全てに広く携わりました。
ここでは資源のように数十年単位というような投資案件ではなく、数年のサイクルでブランドの発掘から販売までを少人数で実行出来たため、商売の全ての商流に浅いながらも広く携われたことは非常によい経験だったと思います。」
総合商社の競争力は川上から川下まで保有している幅広さ
J「商社についての知識が浅くて申し訳ないのですが、要は日本における販売代理業務ということですよね?
資源のように大きな資本が必要なビジネスと異なり強い差別化があるように思えないのですがそれでも儲かるとはどのような構造になっているのでしょうか?」
ISHICO「商社は川上から川下まで保有しているのが強みですね。
例えば鶏肉を日本で販売したいと考えればKFCを保有している三菱商事がハンドルすれば流通先まで一気に抑える事ができます。
コンビニに流通させるような商品を扱う場合はコンビニを保有している商社に話をすると話の通りは早いでしょう。これがトレーディングについて商社が持っている差別化要因と言えますね。
このビジネスの課題といえば今説明した内容を地道にやっていけば収益は上がるのですが川上から川下まで自分でハンドルしているためやや労働集約的になりがちで自分一人があげられる収益に限界があるところですね。
それを防ぐために資本参画などの提案はしてきましたが簡単ではありません。
投資について少しコメントしておきますと、商社のM&Aや資本参画はゼロからではなく、従来からのトレーディングの延長で投資することが多いです。とある食品ブランドを買収した案件は長らくトレーディング業務を行っていてその権益を守るための買収でした。
トレーディングだけやっているとブランドオーナーの方が立場が上となるため儲かりだしたら自分で流通までやってしまったりするんですよね。それを防いで収益を上げ続けるためには資本参画が必要となってきます。
食品業界は従来、ドメスティックなマーケットであり、外資系の参入障壁が非常に高いです。
だからこそ、ある程度グローバルなネットワークを持っている商社を起用することは外国のメーカーにはメリットがあるかと思います。また日本の問屋は歴史的にも非常に内向き(ドメスティック)な体質なので、為替リスクを取るような組織体制にはなっていない事が多いのも商社が介在できる理由かと思います。
在庫リスクはすなわち、売れ残り➡︎廃棄となるリスクが高いのが1番怖いですが、その分当然利益率も高くなるので、人件費の高い商社(笑)がトレーディングをやる場合は在庫リスクは取るべきかなと思います。勿論扱う商材にもよると思いますが。」
商社で身につけることが出来たスキル
商売の流れについての能力
ISHICO「一言で言えば仕入れから販売するまでの流れに全て携わることが出来たので商売について浅いながらも広く学べたことが一番大きいと思いますね。」
全く英語が話せない人も結構いる
ISHICO「ちなみに語学については学生時代留学経験がありそれなりに話せたのですが、商社は英語がペラペラな人ばかりだと思われるかもしれませんが、実際は全く話せない人も結構いますよ。
私のいた商社では入社時TOEIC800点以上で30%とかだったと思います。
商社という事業の性格上、ジェネラリストが求められるため汎用性の高いハードスキルというのを身につける機会は限られているのですが語学はその中で汎用性の高いハードスキルであり在籍中に身につけるべきスキルであると思います。
私自身は、元々ベトナム語は何一つ知らない状態で渡航しましたがホーチミンでは毎日勉強していたので、1年経ったらある程度仕事で通用するレベルにはなりましたよ。その後、帰任してから使う機会がなく、折角学んだ語学や経験を会社に還元できなかったのが心残りの一つです笑。」
海外駐在を経てキャリア観の変化
ISHICO「私が入社したときは元々10年、20年同じ会社で働くことはないくらいの考えでしたがそれが仕事を通じ様々な経験をしていく中で具体的になっていきましたね。特に大きかったのが海外駐在の経験です。
海外にいると日本では会えないような『独力で地に根を張り商売をしている人、何をして儲けているかよく分からないけど地元で力のある日本人』が実に多い。そういった色んな価値観で働いている日本人を見て、生き方というのはもっと自由なんだという考えを持ちました。そこからなんとなく一生同じ会社にいるということはない、という抽象的なキャリア感から独立を目指し、もっと自由な生き方をしたいという考えになっていきましたね。
とはいえ、過去に独立したわけでもなく起業のノウハウもなかったので、自分で創業した創業社長の下で働ける環境を探しはじめました。」
J「今までの話を聞いていると私がよく聞いていた商社の仕事よりもとても魅力的な仕事に聞こえました。商社の仕事はもっと大きな意思決定の中で歯車として若手が働く印象が強かったのですがISHICOさんの仕事は世界中からブランドを発掘し、まるで独立した貿易商人のようでやりがいが大きいように感じます。それではだめな理由はあったのでしょうか?」
ISHICO「確かにこの仕事は2,3年やる分には非常に楽しい仕事だと思います。ただ課長になるのはおおよそ40歳。15年やると考えるとどうでしょうか?」
J「それは確かに遅く感じてしまいますね、新しいブランドを扱っていくとはい同じような商売を15年やることが確定しているような生き方は、私は耐えられなさそうです。」
ISHICO「また、商社のドメスティックな感じも古いと感じていました。よく勘違いされがちですが商社は全くグローバルな会社ではありません。あくまで日本というマーケットに立脚し、日本人が上であるという組織は当分変わらないと思います。ベトナムでもトップは日本人でベトナム人はどんなに活躍しても現地法人のNo2止まり。本当の意味で優秀なベトナム人は来ませんよ。」
J「なるほど、ちなみに転職活動はどのように進めたのでしょうか?また大手総合商社から超少人数商社ということでご家族からの反対はありませんでしたか?」
ISHICO「転職はヘッドハンター経由です。
すぐに転職しなればならない理由もなかったのでヘッドハンターに条件を伝えて2年ほどかけて様々な人に会いましたね。転職については家も買っていましたし結婚していたので給与水準を落とせないという条件はヘッドハンターに伝えておりその条件で探していました。そういったわけで反対とかは特になかったですね。」
J「いい結婚ですね、結婚についてのアドバイスもお願いします笑」
ISHICO「経済的な何かとか考えなくてもいいような相手に合った時に結婚すればよいかと思います笑。私の場合は20代中盤でそれがあったので結婚しました。」
商社への転職・就職に興味ある人へ向けたアドバイス
J「参考にさせていただきます笑。最後に、商社への就職・転職興味があるという方々へのアドバイスをお願いします!」
ISHICO「そうですね。3つあります。配属について、商材ライフサイクルについて、転職の上限年齢についてです。
新卒の配属については受け入れるしかない
まず配属についてですが、これは商社に入社する以上、不確実性が高いものとして受け入れてください。多くの場合はコントロール出来ず、希望していなかった部署への配属となる可能性が高いです。
特に営業を希望しておりコーポレートに配属された場合は相当unhappyなスタートなるでしょうね。
異動についてはないことはないですが、壁は高いです。他の部署へ行くと同じ商社といえどやっていることは全く違うのでスキルが全く活きない場合が多く結局は同じ部署に居続ける場合が多いですね。
例外的な場合としては部署が縮小になった場合などです。私がいた会社の場合は不動産の部署が縮小となり一気に20名ほど異動となりました。ただしこれは稀な例です。
商材によって身につくスキルや業務経験は全く異なる
次に商材ライフサイクル。
資源のように数十年単位でやることと私のように数年単位で行うプロジェクトでは得られるやりがいやスキルは全くことなることになると思います。
ライフサイクルが長い場合は100億円のプロジェクトを多くの人が集まってやるようなプロジェクトで自分が関係するのはそのほんの一部です。
私がやっていたような数億円のプロジェクトの場合は運が良ければ最初から最後まで一人で完遂することが出来ます。
大きいことをどうしてもやりたいという場合はライフサイクルが長いものを選択することになるかと思いますが、商売のスキルを身に着けたい場合や将来独立も見込む方はライフサイクルが短いものを選ぶと良いでしょう。
商社は辞めるなら30歳が上限!
最後に転職の年齢についてです。私は商社から転職するなら30歳くらいが上限かと思っています。
それより上ですと給料も上がってしまい市場価値との釣り合いがとれなくなってきます。また7年くらい商社にいると牙も抜かれてしまいますよね。
私の同期の例で見ていくと、120人ほど同期がいて辞めている同期は20名ほど。2年以内に辞めた人は10名ほど。これは入社前思い描いていた仕事と全く違った場合ですね。進路は様々で教師になっている人とかいます。
次は家業を継ぐ人たち。これは辞める前提で勉強のため商社に来ていますね。5名ほどです。残りの5名が私のような人たち、独立を目指したりする人ですね。」
まとめ
今回は総合商社から超少人数商社へと転職されたISHICOさんから様々なトピックについて語っていただきました。
何故商社へ入社したのか、商社でどのような仕事に携わり何を学んだか、キャリア感がどのように変化したのか、転職はどのように行ったか、最後に商社に興味がある方々へのアドバイスです。
ISHICOさんとは記事にしたトピック以外も様々な話題が盛り上がったので対談シリーズ、続けてリリースしていきたいと思います。
ありがとうございました!
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