EYアドバイザリー・アンド・コンサルティングへの転職情報
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今回の記事では日本において採用を強化しているEYアドバイザリーアンドコンサルティングへ転職するために知っておくべき情報をまとめました。
会社概要・沿革
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト トウシュ トーマツ(デロイト)、KPMGインターナショナル(KPMG)とならび、大手監査法人の4強、いわゆる「BIG4」の一角を占める、アーンスト・ヤング(EY)のアドバイザリー部門です。日本では会計事務所系のコンサルティングファーム等と呼ばれる分類に属します。
詳しくは後述しますが、EYはAdvisory(アドバイザリー)のほかに、Assurance(監査・保証)、Tax(税務)、Transaction(トランザクション)を持っており、財務税務系のサポートを一気通貫で行っています。そのため、EYアドバイザリーアンドコンサルティング(以下EYACC)は財務に関するコンサルティングを強みとしていますが、それだけでなく、上流の戦略やオペレーション、組織、IT、人事といった幅広い経営課題に対するコンサルティングを提供しています。財務系の強いケイパビリティをてこにして、顧客に入り込み、幅広い経営課題にアプローチしていく戦略をとっています。
また近年では、デジタルトランスフォーメーション&エマージングテクノロジー、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)といった領域を強化しており、そうしたケイパビリティのある人材を積極採用しています。
例えば、住友商事の財務部門向けにRPAを内製化したプロジェクトの話などは公開されておりますので、興味があれば一度読んでみてはいかがでしょうか。
https://www.eyadvisory.co.jp/services/rpa/info/rpa-case-study.html
EY全体の組織
EYは1989年に設立された、150を超える国と地域に役25万人を有する世界有数のファームで、その総収入は3兆円を超えています。
日本では様々な機能を持つ9の法人と、それらの横連携を強化して、クライアントに横断的なサービスを提供することを目的に近年設立されたEYジャパン合同会社が存在します。
特に大きいのが
EY新日本有限責任監査法人:監査・保証
EY税理士法人:税務
EYトランザクション・アドバイザリー・サービス(株):トランザクション
EYACC:アドバイザリー
の4つです。
そのほかに、
EYリアルエステートアドバイザーズ(株):不動産
EY弁護士法人:法務
EYソリューションズ(株):新日本有限責任監査法人傘下の実務支援
新日本パブリック・アフェアーズ(株):公共分野向けのアドバイザリー
EY Japan:シェアードサービス
が存在します。
組織
EYACCの組織はサービス軸とインダストリー軸に分かれており、12のサービスと15のインダストリーが相互に連携することで、複雑化した企業課題に対してアドバイザリーサービスを提供しています。テクノロジー・金融機関などの力を入れているインダストリーはありますが、総じてサービス軸の方がメインになっています。中途採用のアプライページも、財務会計、アクチュアリー、RPA、デジタル、戦略、CRM、サイバーセキュリティ、組織・人事など、コンサルタントの種類が細かく分かれています。
ただし、一部のパートナー/プリンシパル/エグゼクティブディレクターを除いては、肩書にサービスやインダストリーの名称を記載しないことが多いです。そのため特に若い人間は、自分の経験分野を軸にしつつ、必ずしも一つのサービスやインダストリーに閉じずにクライアントに価値提供をしていくことになります。
サービス軸には、保険数理サービス(アクチュアリー)、サイバーセキュリティ、金融サービス・リスクマネジメント、内部監査・内部統制、リスクアシュアランス、リスクトランスフォーメーション、カスタマー、ファイナンス、ストラテジー、サプライチェーン&オペレーションズ、テクノロジー、ピープル・アドバイザリー・サービスが存在します。半数近くが財務・リスク系のサービスであり、財務・リスク系のサービスに強みを持っていることが見て取れます。
一方インダストリー軸は自動車・運輸、銀行・証券、消費財・小売、政府・公共事業、ヘルスケア、保険、ライフサイエンス、メディア・エンターテインメント、パワー&ユーティリティ、不動産・建設・ホスピタリティ、総合商社、テクノロジー、通信業、ウェルス&アセットマネジメント、製造業・重工業・化学産業に分かれています。特に強いのは金融系のサービスで、中途採用についても金融機関向けITサービスのコンサルタントの枠が存在します。
また、これらを横断するフォーカスイシューとして、デジタルトランスフォーメーション&エマージングテクノロジー、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を定めており、力を入れています。
キャリアパス、年収
EYACCではスタッフ(STF)、シニア(SNR)、マネージャー(MGR)、シニアマネージャー(SMG)、パートナー/プリンシパル/エグゼクティブディレクター(PPED)の大きく5つのポジションが存在します。ある程度の経験者を除いては、中途入社後、スタッフないしシニアからのスタートになります。
PPED:組織への収益責任を持っており、セールスとデリバリーの最終責任も持っています。顧客のニーズを適切に把握し、必要とされるソリューションを提示することで受注につなげ、デリバリーに必要な人材を集めてチームを組成します。マネージャーをアサインした後は、マネージャーがプロジェクトをマネジメントしますが、レビュー等を通じてクライアントへのアウトプットが期待値を超えるように、必要に応じて手を加えます。またプロジェクトや研修を通じたコンサルタントの育成義務も負っています。
SMG:顧客サービスの現場責任者として、より大型のプロジェクトにおけるマネジメントを行います。チームメンバーを適切にアサインし、進捗を管理すると同時に、クライアントとのコミュニケーションを担い、必要に応じて軌道修正などを行います。サービス品質の管理を担うと同時に、プロジェクトを通じた若手の育成責任も負っています。
MGR:基本的にはシニアマネージャーと同じ役割を担っており、プロジェクトのサイズが小さい点が違いです。またセールスよりはデリバリーの能力が必要であり、評価上もそういった基準でみられる点が違いになります。
SNR:一人前のコンサルタントとして、チームにおける担当業務を一人でこなすと同時に、他のプロジェクトメンバーと連携し、高品質なアウトプットを提供します。パートナー/プリンシパル/エグゼクティブディレクターからチームにアサインされ担当業務を与えられたのち、自分のワークを設計し、マネージャーとコミュニケーションをしながら進めていきます。
STF:マネージャーやシニアの指示のもと、自身の担当業務を遂行します。求められる能力や責任はシニアと同じですが、その範囲が小さい点と、よりマネージャーやシニアとのコミュニケーション頻度が高い点がシニアとの違いになります。
公開されているプロジェクト
EYACCのHPにはいくつかの事例が紹介されており、ERPの導入、再生可能エネルギー事業立ち上げ支援、財務会計業務の戦略的アウトソーシング、海外拠点におけるグローバル人材マネジメント支援、大学の橋梁力強化を実現する戦略シナリオの立案支援などがあげられています。
https://www.eyadvisory.co.jp/services/case-study/
- 財務会計業務の戦略的アウトソーシング
クライアントは世界的な機械装置の製造会社のM社です。従業員数は約200,000名です。
M社はグローバルでの競争力強化に向け、財務会計業務を、処理を中心とした定型業務ではなく、財務情報の分析・施策の提案を中心とした高付加価値業務中心にしたいと考えていました。
EYACCは業務機能及び要因の再配置案を策定すると同時に、アウトソーシング先となる企業の選定と業務の移管を行いました。
プロジェクトでは現場メンバーの巻き込みを意識したプロジェクト運営と、現場メンバーの負荷を最小限とする仕掛けにより効果的な業務移管が完了する見込みとなっており、移管後2年目からはトータルの費用を効果が上回る試算となっています。
- 海外拠点におけるグローバル人材マネジメント支援
クライアントは自動車部品会社のB社です。従業員数は約5,000名です。
B社は過去に海外拠点を立ち上げたものの、ガバナンス体制が整備されておらず、計画的な運営が行われていないという課題意識を持っていました。また、海外新拠点の設立に向け、本社からの海外派遣人材を早期育成したいという思いもありました。
EYACCは各海外拠点の現状分析を行った後、グローバル人材マネジメント方針と人事制度を作成すると同時に、本社人事・海外人事の基盤整備と、グローバル人材の早期支援体制の整備を行いました。
中期実行計画の策定支援や海外拠点とのコミュニティ形成支援に力を入れたことで、着実にグローバル人材マネジメントが進んでいます。
書籍
EYACCは積極的に書籍を出版しており、直近でもデジタル・人工知能や会計関連の書籍を発行しています。「図解でスッキリ xx」「xxの未来」「xx完全解説」といった実務的な書籍が多いです。
「収益認識会計基準と税務」完全解説
コンセッション・従来型・新手法を網羅した PPP/PFI実践の手引き
社員紹介
EYACCの採用ページにはたくさんのコンサルタントが経歴や実績、思いなどについて記載したページがありますので、よかったら見てみてください。
https://www.eyadvisory.co.jp/recruit/professionals/
オピニオンリーダーとしては、下記のようなコンサルタントが挙げられます。
園田展人(パートナー)
ジャパン デジタルストラテジー・アンド・イノベーション リーダーであり、大手企業に対してデジタルやイノベーション、AI/IoT等の支援を行っており、多数の著書があります。政府機関に対して、科学技術政策・産業政策の提言なども行っています。
高見陽一郎(パートナー)
EYACCの設立から一貫してファイナンスチームのリーダーを務めており、グローバル化、ビジネスモデルの多様化、テクノロジーの発達、法制度の改正等といったファイナンスマネジメントの課題を、業務プロセス、テクノロジー、組織、人材、ガバナンス/ポリシーといった複数の観点から整理し、ファイナンスの側面からクライアント企業の課題解決と成長を支援しています
中途社員に求められる人物像
EYACCでは、一人一人のコンサルタントがプロフェッショナルとして、顧客の課題に向き合うことが求められます。また様々なバックグランドを持ったコンサルタントが協力することで高いバリューを提供しています。
その意味において、いろんなものごとに好奇心を持ってスピーディーに様々なことを吸収できる人、そして、従来の垣根を破ってでも新しいサービスを生み出す人、新たな課題の解決にチャレンジする精神を持っている人が求められています。
転職者向け研修
EYACCには、『EYU』(EY and you)という人財開発プログラムがあり、個々人の適切なキャリアプランを支援し、目標達成に必要となるトレーニング・業務・指導・コーチを組み合わせるグローバルフレームワークを提供しています。
自身の経験とキャリアプランを基に、豊富な研修制度プログラムから目的にあった研修を受講することが可能な「Learning」、一人ひとりがExperiences Mapを作成し、それぞれに基づいた業務経験を積んでいく「Experiences」、経験豊かなカウンセラーからのフィードバックや業務を直接指導するフィードバックプロバイダーからのアドバイスなど、多面的なフィードバック を受けられる「Coaching」の3つの組み合わせで能力開発を行っています。
研修プログラムであるLearningも大きく3つのカテゴリーに分かれます。
入社時研修(スタッフのみ):Business Basic、EY Core Consulting、Finance Basics、IT
Basics等、コンサルティング業務を行うための基礎知識を学びます。
Advisory Wide:ポジションによって受講可能な研修は様々ですが、Project ManagementやHelping Clients Succeedなど、コンサルタントとして必要なケイパビリティを学びます。
Capability:リスク・コンプライアンス系のRisk、ファイナンス・サプライチェーン・デジタルマーケティングなど個別のスキルに関するPI、人事・組織系のPASの3種類から、専門性に応じて必要なケイパビリティを学びます。
面接・選考
上述のとおり、中途入社の場合でも、会計・IT・戦略・人事などによって異なるアプライページが存在しているため、応募する種類によって、面接・選考の内容は異なります。ただしフローとしては、書類選考→2回~数回程度の面接→内定という流れの様です。またコンサルタントだけでなく、人事による面接もあると聞いています。
面接の内容としては、ケース面接よりも、志望動機や過去の経験、物事の捉え方を問うものが多いと聞いています。そのため、ケース面接等の準備はいりませんが、志望動機や過去の経験を端的に説明できるように準備するといいでしょう。またEYは未経験の場合でも「同様の職種における業務経験」を必要条件としているポストが多いため、そのあたりも意識して面接に臨むのが良いのではないでしょうか。