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投資銀行とコンサルティングファームのスキル・年収・キャリアの違い

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「投資銀行とコンサルティングファームの違いは何ですか?」
これは転職時点でこのような質問をしたら流石に笑い者ですが、全くプロフェッショナルファームの世界に携わったことが無い方は良くわからないかもしれません。また両方から内定を貰いどちらに行くのか悩む方もいらっしゃいます。

本日は投資銀行およびコンサルティングファーム、両方を経験した筆者が書く、そういった悩みを持つ方々向けの記事です。


上位層の学生や若手社会人に特に人気な業種が、「戦略コンサル」と「投資銀行」です。
どちらもプロフェッショナルファームであり、超高層ビルで、パリっとした高級スーツを着て、新聞の一面を飾るような大型案件に携わり、年収は1,000万を超える等、非常に派手で華やかなイメージが先行しがちな業界でもあります。

そのため、投資銀行とコンサルティングファームの業務内容をしっかりと理解し、自分の言葉で語れる学生や未経験の若手はほとんどおらず、偏見と憧れだけでエントリーし、選考を受けに来る方が多いです。

今回はそんな若手社会人・学生に向け、「未経験・新卒で入社するなら、投資銀行とコンサルティングファームをどちらに行くべきか」というテーマで、両者の違いを分かりやすく説明いたします。結論としてはもちろん、どちらが正しいかということではなくどちらが自分に合っているのか、を明確にすることにあります。

両者はよく併願されることで有名ですが、似て非なる業界であり、ファーストキャリアとしてどちらを選択するかは将来のキャリアにも大きな影響を与えるため、この記事を読んで理解を深めることをおススメします。

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業務内容

投資銀行の業務内容

投資銀行業務は大きく、①エクイティファイナンス、②デットファイナンス、③M&A、の3つに分かれます。

 

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスを担当する部署をECMといい、エクイティキャピタルマーケッツの略です。

また、エクイティファイナンスとは、「エクイティ(株式)」で「ファイナンスする(お金を調達する)」、つまり、株式を新規発行することにより、その新株を相手に渡してお金をもらうことで、資金を調達する手段です。

デットファイナンス

デットファイナンスを担当する部署をDCMといい、デットキャピタルマーケッツの略です。エクイティファイナンス同様、お金を調達する手段ですが、エクイティでなく、デット(借入)で調達します。

 

M&A

Merger & Acquisitionの略であり、企業の合併や買収に関するアドバイスをクライアントに提供する業務です。M&Aを担当する部署をIBDといい、Investment Banking Divisionの略です。IBD部門は採用人数も多く花形の部門であり、M&Aアドバイザー(FA(Financial Advisor))と呼ばれます。FAとしての任務は、クライアントが実施したいM&A案件を成功に導くことであり、クライアントと最後(資金支払・効力発生日:クロージングといいます)まで二人三脚で案件に携わります。大企業の場合、経営企画の方と一緒に動くことが多く、M&Aに関するアドバイスは勿論、クライアントの社内で承認を得るための資料作成等を手伝うこともあります。上記の2つの部門とは、M&Aを実行するにあたり資金調達が必要となった場合に連携し、クライアントに一貫したサービスを提供します。

 

コンサルティングファーム

 

コンサルティング業務は、投資銀行の業務内容ほど定義としては複雑ではなく、企業が抱える課題を解決に導くため、業務改善の提案及び実行のフォローを行うという定義上はシンプルな仕事です。

勿論それを実際に実施することはとても大変で、クライアントが抱える課題は様々あり、戦略立案に加え、IT、財務、人事等の分野等もあるため、幅広い分野に精通していることが求められます。具体的には、シナリオプランニング、グローバル化戦略、新事業開発、市場参入戦略等の成長戦略の立案が多く、論点整理し、課題を解決するための方法を考え、最終的には、どのようなアクションに落とし込むのかといったワークプランの検討も行います。コンサルタントの仕事は資料作成のイメージが強いかもしれませんが、プロジェクトの初めに行うこととしては、クライアントへのヒアリングがメインです。何が課題か分かっていない状態で相談に来るクライアントも多く、コンサルタント側で様々な仮説を立てた上で、様々な角度から質問を投げかけていくというマネジメントインタビューを行うことが必須です。仮説と検証を繰り返しながら、資料に落とし込んでいき、最終的にはどう動くべきかというアクションにつなげる仕事です。

主要投資銀行及びコンサルティングファーム一覧

コンサルティングファーム一覧

  • マッキンゼー・アンド・カンパニー
  • ベイン・アンド・カンパニー
  • ボストン コンサルティング グループ
  • デロイトトーマツコンサルティング
  • T. カーニー
  • PwCコンサルティング
  • アクセンチュア
  • アビームコンサルティング
  • アリックスパートナーズ
  • 経営共創基盤
  • 山田ビジネスコンサルティング
  • フロンティア・マネジメント
  • NTTデータ経営研究所
  • 三菱UFJ リサーチ&コンサルティング
  • 野村総合研究所
  • 日本総合研究所 等

投資銀行一覧

  • ゴールドマン・サックス
  • モルガン・スタンレー
  • JPモルガン
  • メリルリンチ日本証券
  • UBS証券
  • 野村證券
  • みずほ証券
  • SMBC日興証券
  • 大和証券

 

労働環境の違い

コンサルティングファーム

ジュニアのころは、資料作成を下に振ることはできないため、明日の午前中までに資料を仕上げろというメールが、夕方6時頃に上司から飛び、次の日の朝5時まで残業、朝6時に上司から激昂され修正し、完成したものを印刷して9時のクライアントミーティングに飛び込むという光景は日常茶飯事です。

 

夕食は残業手当(一食1,500-3,000円程度まで会社が支給)を使ってオフィスで食べることは当たり前で、毎日深夜3時まで働き、土日もどちらか一日は必ず仕事という生活を続けることになります。

無事昇格すると、資料作成は下に頼めることになり負担は減る一方、M&A案件プロセスの一貫でもあるDD等の業務ではプロジェクトリーダーとして担当することが多くなり、下につくコンサルタントの能力次第では、作業量が増えることもあります。責任が増すため、その分、給与にも反映されます。

ちなみに下から二番目のアソシエイト/コンサルタントと一番下のアナリストには明確な区分はありません。出来るアナリストがアソシエイトに「これお願いします」と指示をすることも珍しくなく、筆者も実際によく経験していました。

投資銀行

結論からいうと、コンサルティングファームより激務です。残業一か月150時間は当たり前です。効率化をどんなに図っても残業なしで帰れる日などありません。レッドブルーやコーヒーは必需品で、とにかく寝る時間がありません。夜中3時まで仕事をして、シャワーを浴びに家に帰ったと思ったら海外から追加の資料が届き、何十ページにも及ぶExcelシートを確認し、計算式のチェックを行う等は日常茶飯事です。

 

行き帰りのタクシーの中や、トイレでの仮眠は必須です。中には歩きながら寝ることができるようになった強者もいました。また、休みの日はいつ上司から連絡が来ても良いように常に携帯とPCを持参し、急な資料作成や修正依頼に対応できる体制を整えておかなければなりません。例えば、旅行先の温泉に浸かっているときでも、タオルに包んだ携帯をそばに置いておく、映画館に入るときは必ず上司に一言メッセージを送ってから映画鑑賞、友達と話していても海外からの英語の長文をチェックする等、一般の社会人には理解できないような世界です。それも怖いもので徐々に慣れていきますが、この積み重ねで精神的に辛くなり退職する人も多いです。

身につくスキルの違い

両方で身につくスキル、どちらかのほうが身に着けやすいスキルがあります。

両方で身につく

プロフェッショナリズム

割り当てられた責任は何が起きても完遂する。最高のアウトプットを常に出すという姿勢こそ特に若手にはプロフェッショナルファームで得られる最高の財産ではないでしょうか。

両方ともにハードな職種ですが、ここで得られた業務経験はその後どのような仕事をしても活きることになります。

論理的かつ端的に意見を述べる能力

プロフェッショナルファームにおいては非論理的な発言を繰り返していては誰からも相手にされなくなります。この職種の人々と接していて極めて論理的かつ端的に意見が述べられると感じるのは普段厳しい環境で磨かれているからです。

こちらの資料のような資料をファームでは作成します。

コンサルに転職する前に読みたいプレゼン・パワポ資料

体力・根性

ここで気合です笑。両方共にハードな職種でありメンタルや体力のタフネスは欠かせません。ただ起きているだけではなく、起きておりかつ考え続けるという「知的タフネス」も磨かれます。あまり長い間続けたいものではありませんが....。

コンサルティングファームのほうが身に着けやすいスキル

汎用的な定量分析スキル

定量分析はコンサルティングファームと投資銀行で意味合いが異なります。一般的な定量分析(コスト比較、各種財務指標比較等、利益率-単価の関係等)はコンサルティングファームでも多く経験します。

しかし投資銀行で携わるような本格的なコーポレートファイナンスの知識は特殊なプラクティスでない限り身につけることは難しいのです。コーポレートファイナンスを中心にキャリアを組み立てたい場合は投資銀行のほうが向いているでしょう。

コンサルティングファームで身につける定量分析の特徴としては「そもそも何を比較するのか」「どう見せるのか」「どのように誰も作ったことのないモデルを組み立てるか」ということを考えるのに強くなる点です。

知識というより、どのように定量分析を使うかという点に強くなりますね。

図表が豊富な資料作成

コンサルティングファームでは抽象的なものを構造化し、伝える能力が重要となります。この際に求められるのは「抽象的なものを構造化する能力」そしてそれを資料化する能力です。

顧客と伴走する・聞き出すコミュニケーション能力

コンサルティングファームではジュニアでも顧客と積極的にコミュニケーションを取り情報や課題を聞き出す能力が必要とされます。

コンサルタントが嫌いな顧客にインタビューをするという機会も多く「如何にも外資」「エリート風吹かせている」ような姿勢は実はやってはならないことなのです。

ストーリー作成

御社の課題は何か、何をすべきか、そのオプションはなにか、どう比較するか、比較の結果こうすべきだ、という一連のストーリーをコンサルタントは常に作成することになります。

専門的なスキルにあまり見えませんが実は高度な専門性が要求される能力です。

事業に関する能力

現場で実行というところまでは基本やりませんがどのような強みを活かし、参入し、競争するか、何故勝てるのか、というような現実的な戦略を考える事業に関する能力も一般的に戦略系のコンサルタントが身に着けやすい能力です。

投資銀行でもシナジーが何故あるのかという議論は当然するのですがそこが専門ではありません。

投資銀行のほうが身につけやすいスキル

財務分析・コーポレートファイナンスの知識

これはコンサルタントには太刀打ちが出来ません。弁護士や会計士等の多数の専門家を巻き込みながらディールを実行する能力は投資銀行ならではです。

 

この能力があることでその後のキャリアも金融系を中心に広げていくことが出来ます。

コンサルタントの中にはPL/BSの読み方も怪しいコンサルタントも多くCFまで広がるとかなり対応出来るコンサルタントは限られます。

交渉力

コンサルタントに求められるコミュニケーション能力とは異なるコミュニケーション能力です。コンサルタントは現場で瀬戸際の交渉をするという機会は稀です。

実務は事業会社の社員が担うことになるのでコンサルタントはあくまで裏側で計画や交渉ストーリーを書く黒子です。

契約書を読む能力

M&Aに携わると必ず契約書のやり取りが行われ、時にはM&Aアドバイザーがマークアップしたり、LOIなどであればドキュメンテーションも行ったりしますが、コンサルはそういった経験は基本的にすることはありません

 

年収の違い

コンサルティングファーム

 

稼ぎたいという理由でコンサルタントになることはお勧めしません。一般的に見ると年収は高い部類であることは間違いありませんが、お金のみを求めて入るほど年収は高くなく、激務の割にもらえないという印象を持つ人が多いです。そのため、お金に加え、コンサル特有の思考方法やクライアントの課題を解決して世界にインパクトを与えたい等、お金とは別の理由がある場合であればコンサルタントはとても良い職業だと思います。

年収の実態についてはこちらです

コンサルタントの給与・年収・キャリアは?

投資銀行

新卒一年目から1,000万も存在します、最も年収が高い業界といっても過言ではないと思います。ただ、仕事人間にならざるを得ないため、彼女の誕生日に予約したレストランをドタキャンし、Excelを3徹で仕上げることも割と頻繁に行うため、友達が減り、常に睡眠不足、稼いだお金を使う時間もなく、人としてまともな生活ができないということは覚悟しておくべきです。

求められる素質

すごく乱暴に言うと細かい作業を正確に迅速に行うよりもコンセプトやストーリーを考えることが好きな人はコンサルタント向きです。細かいことが不得意な人は投資銀行のジュニアポジションは大変つらいことになるでしょう。

コンサルタントにも当然数字周りの作業はあり、間違ってはいけないことは当然なのですが投資銀行の扱う数字ほどではセンシティブではなくトップファームのジュニアもよくミスしています。実際のところ、顧客に渡したモデルが間違っていることは珍しくありません(先輩がやらかしていたり、前フェーズから引き継いだ資料がそうであったりしたこともしばしば)。

しかし投資銀行では当然多くのチェックは入りますが間違ったでは許されません。

自分が持つ素質がどちら向きか考えたほうがよいでしょう。

ポストコンサル・ポスト投資銀行のキャリア

どちらの業界も離職率が高い業界です。必然的に多くの人は「その後のキャリア」を考えることになります。簡単に主なその後の進路を記載します。

ポストコンサルのキャリア

投資銀行とは異なり、非常に幅広いキャリアを選択することが可能です。

  • 同業内で転職
  • 事業会社(経営側)
  • スタートアップ企業
  • 起業
  • PEファンド
  • フリーランス 等

詳細はこちらに記載しました。

失敗しない!ポストコンサル転職の実態

ポスト投資銀行のキャリア

下記の4つが主流となっており、基本的にはずっと金融畑でキャリアを積んでいくことになります。

  • 同業内で転職
  • 事業会社(M&Aや財務部門)
  • PEファンド
  • ベンチャーのCFO
  • 独立系のM&Aアドバイザリーファームにいく
  • 投資ファンド 等

まとめ


投資銀行とコンサルの違いを少しでも理解していただけましたでしょか。
キャリアプランというのは日々変わるもので、未経験の若手や新卒の段階からなかなか決定できるものではないです。

幅という点から考えると、新卒としてのファーストキャリアとしてコンサルティングファームを選び、社会人の基礎と課題解決のノウハウを習得してから、自分自身のキャリアについて考えるという流れはオプションを広く持ち続けるという観点からは非常におすすめです。

投資銀行に行く場合は金融畑で生きていきたいと考えている方には若い内から専門性を磨き、かつサラリーマン最高峰の年収を得ることが出来ます。

違いを理解し、自分のキャリアイメージにフィットする方を選ぶとよいでしょう。

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