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安全性の高いソーシャルレンディング「Funds」の特徴を藤田社長に聞いた!  

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新たな金融商品としてソーシャルレンディングが注目されています。市場は急成長し2019年には2,000億円を上回る規模となっています。

今回は融資型クラウドファンディングの中でも新たなコンセプトを持つ  Funds を運用する藤田雄一郎社長にインタビューを行いました。

資産運用を検討する方、これから起業を検討している方は是非参考にしてみて下さい!

 

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藤田雄一郎社長がソーシャルレンディング業界参入の経緯

-- ソーシャルレンディング業界に身を投じようと思ったきっかけやタイミングは何でしたか

私が最初に起業したのは2007年でした。その際は友人とWebマーケティングやそれに付随するアプリ・サイト開発などを手がけましたが「起業したくて起業した」という側面が強く、明確なゴールはなく、経営ビジョン等も曖昧でした。そのため、このビジネスを展開していた6年間は苦労しました。

マーケット選定と参入タイミングが重要

その間に昔からの知人がスマホゲームで起業し、順調に拡大し、あっという間に経営成績で抜き去られてしまいました。何年もやっていた会社の業績を半年で越されていくのです。

同じような環境で学び、能力や経験もそれほど変わるわけではないはずなのに何故このような差がつくのだろうかと考えました。

その時に「マーケット選定と参入タイミング」が起業においては非常に重要であるということを学びました。極端な話、ザッカーバーグだってラーメン屋やっていたら今ほどの地位に立つことはなかったでしょう。フェイスブックを良いタイミングで立ち上げたから成功したのです。

P2Pレンディングの可能性に気づく

当初の会社を2012年に売却した後は、最初の起業で得た教訓を元に、成長マーケットに投資すること、収穫逓増型ビジネスを描くこと、参入タイミングを見極めることを徹底しようと考えました。その時、当時米国でレンディングクラブ等のいわゆるP2Pレンディングマーケットが拡大していることをとある記事で知りました。

 

そのビジネスモデルが面白いと思いましたが、自身は金融関連のノウハウがなかったので参入の仕方を思案していました。

その折、ちょうど先輩から証券会社を買収してクラウドファンディングのビジネスを行おうと思っているが、マーケティング担当がいないので一緒にやらないかと声をかけてもらい、参画することを決めました。

そうして立ち上げたのがクラウドバンクというサービスです。このサービスは軌道に乗り、順調に成長していきました。

 日本においては資産運用手段が少ない

その事業を運営している中で気づいたのは、日本の資産運用手段の少なさでした。

人生100年時代と言われているのに、今後年金の支給額は先細りリスクがある、となればいまの30―40代は資産運用を積極的に行なっていく必要があります。しかし、日本ではエクイティ性の投資手段が中心となっていて、投資の多様性に限りがあります。これは投資家だけの問題ではなく、事業側で見たときにもネックとなっています。日本で資金調達をしようとしている事業会社は、資金調達手段が銀行・株に偏ってしまい、それらの中間の調達手段が極めて限定的です。このようなことを考えると、こうした投資家・資金調達希望者双方のニーズをマッチングすれば、その中間的な市場が形成されるのではと考えたのです。クラウドバンクではこの発想が結実する形で、順調な成長を実現できました。

 

さて、この新しいマーケットを作ろうとする中で、自分たちだけで伸ばすのには限界があると次第に感じ始めました。金融商品というのは新しい商品性のものを自分だけで売り込もうとしても何だか怪しいもののように思われてしまうリスクがあります。従って第三者の立場から公平に市場を拡大させてくれる組織が必要であると感じました。そんな課題感を感じている中で、同様の構想を持つ後の共同創業者の柴田に出会います。出会ったその日に意気投合し、立ち上げるに至ったのがいわゆるソーシャルレンディング比較評価サービスである「クラウドポート」です。

 

--どちらが代表になるかどのように決めたのですか

柴田さんは多数のスタートアップの運営実績があり、また当時も複数の出資先を抱えていました。一方で、金融業界・ソーシャルレンディング業界についての専門性や運営ノウハウは自分が持っていました。「この業界を成長する事に注力する」という点では他の出資先を抱えていなかった私の方がリソースを集中できるという考え方もあり、私が代表を務める事に決めました。

Fundsはどのように安全性を高めているのか

新スキームだからこそ安全性への注意が必要

Q3:未発達の金融商品市場では十分に規制や買い手のリテラシーが発達していないため問題の発生が予想されます。これらの問題についてどのようにお考えでしょうか。

 

質の悪い企業が参入し問題を起こす事で、業界全体のイメージが悪化し、しっかりした企業まで市場から退出していくような事態はいうまでもなく絶対に避けていかなければならないと考えています。その点では、まず、規制当局が適切に登録審査をして、問題のある企業が参入することがないようにすることが前提です。加えて、足元はクラウドファンディング・FinTechともに業界内で自主的に規制していこうという動きも広がってきています。それぞれが協会などによってきちんと自律していく仕組みを持つことが重要です。規制当局の監視、業界内の自主規制という2重の防御体制を徹底していくことが健全な市場形成には重要だと考えています。

 安全性を高めるリコースローン

Q4:他のインタビューにてリコースローンの仕組みは、ソーシャルレンディングの「怪しい印象」を払拭するためのスキームであるように紹介されていましたがその通りですか?

 

最初からそれを狙ったものではありませんでした、もっというとこのビジネスを立ち上げようと思った段階でこのスキームが念頭にあったわけではありません。当局の審査を通す上でさまざまな議論を重ねる中で、商品の安全性・信頼性を高めるために組み込まれたスキームです。

 

リコースローンの導入により、投資家に対しては投資資金保護の観点から安心感が高まるためより低い利回りを許容します。だいたい1%後半〜2%台といったところまで許容する投資家が出てきます。すると、資金調達サイドから見るとオールインで調達コストを3―4%程度に抑えられるので、上場企業でも他の資金調達手段のコストや手間と天秤にかけた時に、 Funds の利用検討余地が生まれます。するとまた翻って投資家は投資家で「上場企業が利用している」ということが更なる安心感を得るという相乗効果が発生するのです。

 

注:リコースローンとは貸付対象が持つ全財産を含めた返済責任を追うローン。通常のクラウドファンディングはノンリコースローンであり相対的にハイリスクだった。リコースローンでは貸付対象となるプロジェクトが破綻しても貸付対象自体が破綻しない限り返済を期待出来る。

当局との折衝により実現したリコースローンスキーム

Q5:規制当局とは多岐にわたる折衝を必要としたのでしょうか?

最初9ヶ月くらいと想定していた登録完了までの期間が、1年半もかかりました。プラットフォームに抜け穴があって、質の悪い企業が入り込んで来ないか、徹底的に論点を潰していきました。細分化するとキリがないのですが、いま空で覚えている限りで主に以下のようなポイントが論点となり、多様な強化策を打ち出しました。

 

  • コンプライアンス体制
  • 審査のフロー・手法
  • 審査の実施者
  • 審査ガイドライン(審査を行う上での前提)
  • 審査規程の構築
  • 規程に基づく細則作成

 

やはり投資先企業の審査体制における確認が厳しく、多くの修正や体制強化を施した記憶があります。

 

Q6:メディアでは上場企業・VC出資受入先といったことなどが投資先の条件となっておりますが、実態はどのようになっていますか?

まず大前提として、メディアで取り上げられている通り、監査法人が監査を行なっている企業、上場企業、あるいはVC出資を受けている先のみでファンドは組成されています。ただし、これら「最低条件」でしかなく実施にはより厳しく門戸を絞っております。基本的には上場企業がファンドの中心と位置付けております。ベンチャーやスタートアップへの投資はかなり慎重で、あくまで有望な先や、レイターステージで安定航行まであと一歩というステージに来ている企業に限定しております。投資先の質を徹底することもまた、 Funds の信用性を担保する上で重要だと考えているからです。

 

Q7:リスクリターン以外の、案件の面白さや社会性という観点から投資先を検討することはありますか?

もちろんそういったリスクリターン以外の要素も加味して投資先は選定しておりますが、やはり Funds の特性も鑑みると、一義的には利回りと安全性を最重視しています。リスクリターンをしっかりと担保できることを前提に、ついで案件の面白さ、社会性を意識してさらに選別していくといった具合です。

 

Q8:信頼性を担保するためにはブランディングも重要だと思いますが、どういった施策を行なっていますか?

一点目はすでに触れていますが、ファンド組成企業を厳選するということです。企業側から投資の引き合いを受けることは非常に多いのですが、リスクリターンを厳正に審査しています。

 

二点目は丁寧に説明していくというところです。 Funds のサイト上でもわかりやすく説明しています。さすがに全くの初心者の方にはやや難しく感じる部分もあるかもしれませんが、少なくともソーシャルレンディング投資家には納得を得られるように意識して説明ページや資料を構成しています。また、ホームページなどに積極的に社員・社長の顔を出すことも意識しています。やはり実際にどのような人によって運営されているかを公開することは信頼感の情勢に寄与しますから。もちろん、公開するからには、経歴がしっかりしている人を揃えます。アドバイザーや弁護士も経歴や実績重視で信頼される人を意識して揃えております。

 

また、メディアの活用についても積極的に行なっていて、ブロガーさんやメディアにも積極的に会って説明をしたりインタビューを受けたりしています。みずほ系のVCから出資を受けていることも、信頼感醸成に寄与しています。

Fundsの特徴と魅力 

手間をかけず安定的なリターンを生み出すFunds

Q9:Fundsの商品の魅力と、投資が向いていない人をまとめるとどのようになりますか?

これまで日本の投資商品はこと個人向けとしては相場性の商品が多い状況でした。株・Fx・REITいずれも相場が形成されて損益が発生しています。相場に向き合って勉強できる人がいいですが、そのような手間暇をかけられない人がいるのも事実です。 Funds はデフォルトさえしなければ一定のリターンが入りますから一度投資を開始すれば放っておいても大丈夫です。社債に近いリスクリターン構造をもちながら小口投資が可能で、リスクリターンがともに中程度と、個人投資家が参入しやすい要素が多々あると考えています。

 

一方、大儲けは難しいので、大きく資産を拡大させたい人は向いていません。そうした方はやはり株に代表されるようなハイリスクな相場性商品に投資することをおすすめします。

 

Q10:資金調達サイドからみたメリットはなんでしょうか?

エクイティと銀行ローン調達に加えて新たな調達チャネルを構築できるというところにあると考えています。銀行ローンはローン契約内容や銀行による部分もありますが、新規事業使えない、海外はダメといった様々な制約が課されることも多く、また与信枠があって「本当に欲しい」時に借りられるとは限らなかったり、また融資資料を提出してから着金までのタイムラグが大きいといった制約もあります。

 

銀行ローンが困難となれば市場からの調達を検討することになりますが、今度は資本コスト、ダイリューションといった観点もあり頻繁に出すことは難しいです。もちろん社債調達という手段はすでにありますが、個人向けマーケットはほとんど成長しておりませんし、日本の場合は投資適格債(BBB-以上)がほとんどとなっています。これは上場企業のごく一部を除き社債調達が困難であることを指しています。

 

Fundsはある意味その「社債」に代替する資金調達ニーズを充足する商品であると考えております。他のソーシャルレンディングですと調達コストは7―8%になることも多いので、おそらく上場企業ですと銀行ローンとの調達コスト格差などを鑑みて検討が難しいことが多かったです。しかし、 Funds なら3%前後での調達可能性も充分あるので、上場企業でも充分検討の余地がでてくるのです。

 

 

Q12:オフラインの施策も重視しているのですか?

その通りです。セミナーは集客人数に限りがありますが、一度来てもらったら直接コミュニケーションをとって疑問や懸念点を一気に解消してもらうことができるのでオフラインの機会は大事にしています。現状週一ペースで開催しています。今後は全国展開していきたいと考えています。全国各地でより多くの人とコミュニケーションを取れるようになれば、多くの人と信頼を構築することができますし、もちろんビジネスの拡大にも寄与すると期待しています。

Fundsが持つリスク

Q14:現在融資対象となっているアイフルなどのデフォルトリスクは如何でしょうか。

 

もちろん投資である以上リスクゼロとは言えませんが、決算書を見る限りここ数年の業績は安定しています。ADRも終わり健全化しています。GPIFもその点を評価する形で、投資再開を検討するというニュースもありました。

 

もちろんエルピーダやJALの例のように安全性が高いとみられていた企業が倒産する例も過去にありましたし、高格付け社債に並ぶ低リスク商品というわけではないですが、私自身の意見として、足元は安全性にしっかり配慮してビジネス展開しております。もちろん、投資する場合は、余裕資金での投資、分散投資は徹底すべきだとは思っていますが。

 

Q15:デフォルトした場合の劣後構造はどのようになっていますか?

案件によって異なりますが、少なくとも銀行融資より劣後する案件もあります。例えばアイフルは、匿名組合の出資として、子会社に貸し出します。対子会社では融資なので、優劣関係は銀行と同等の場合が多いです。一方対アイフルでは匿名組合出資金という取り扱いになり、アイフル本体が倒産した場合は銀行には劣後する場合があります。投資する場合はその点は理解した上で投資する必要があります。

 

Q16:2019年20社掲載というのが目標と聞いたことがありますが、業種等にこだわりはあるのですか?

現状は不動産、ノンバンクが多くなっていますが、これはどちらかというと組成のしやすさから結果的にこうした業界が多くなっているという状況で、業界にこれといった決まりや方針はありません。水面下では色々な業界の方とお話ししています。

Fundsの今後の構想

 

Q19:みなし有価証券・デリバティブなど新たな商品性への拡大は考えていますか?

今時点で具体化しているわけではありませんが、 Funds のやりかたは自由度が高いので、今後いろいろな領域に拡大していけたらと思っています。まだライセンスを追加する必要があるなどハードルも多いですが、証券化商品などに拡張していけないかなどの模索も行なっています。

 

またFundsはデット性の金融商品なのに個人投資家と事業者が繋がることができるのが面白い特性だと思っています。この特性を利用して投資家でありながら投資先企業のファン層を増やすきっかけとしても使えるのではないかと思っています。例えば新しく店舗を展開するための開業資金を Funds で集めたら、投資した個人が応援して積極的に店舗を利用してくれるようになってくれたりといった形です。こうした相乗効果を促進するような仕組みを構築していくのも面白いのではないかと思っています。

 

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--ありがとうございました!

 

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