戦略コンサルによる転職ブログ

旧シャイニング丸の内日報、コンサル転職・成長意欲が高い方向けの転職情報



KPMG FASに転職するための基礎知識

ツイッターではブログの更新情報のみならず経営・コンサルに関するコメントを積極発信しています

 

この記事では、巨大総合系コンサルファームの「Big4」の一角であるKPMGの中でもM&A関連プロジェクトを中心としてアドバイザリー事業を展開しているKPMG FASを紹介します。公開情報だけでなく、実際に在籍していた社員の話を元にしてKPMG FASの実態に迫ると共に、KPMG FASに転職するためのポイントについても説明します。

f:id:shiningmaru:20190217045720j:plain

 

会社概要・沿革

 

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、デロイト トウシュ トーマツ(デロイト)、アーンスト・ヤング(EY)とならび、大手監査法人の4強、いわゆる「BIG4」の一角を占めるKPMGインターナショナル。監査法人としての業務に留まらず、コンサルティング/アドバイザリー部門も有しています。日本では俗に「会計事務所系のコンサルティングファーム」と呼ばれるものです。

 

※広義において、コンサルティングサービスと、アドバイザリーサービスを混同するケースが見られますが、本来のアドバイザリーとは、実行を伴わないアドバイス提供を意味します。逆にコンサルティングサービスになりますと、アドバイスのみならず実行支援までが対象になります。場合によっては客先常駐もあるのがコンサルティング、と理解するのが良いでしょう。

 

その中でも「KPMG FAS」(通称:FAS(Financial Advisory Service(フィナンシャルアドバイザリーサービス)の略))はM&Aや財務戦略に特化したアドバイザリー支援業務を実施する企業で、2001年に設立されました。

 

M&A案件はPre M&A(実際の買収/売却案件に直接関与するもの)、Post M&A(買収/売却後に事業や組織を統合していくもの)がありますが、あずさ監査法人・KPMGコンサルティングを含めたKPMGジャパンのPre M&A関連案件はKPMG FASが中心になって引き受けていることが多いです。Pre M&Aディールのアドバイザリーの他にも、Post M&A案件としてとして戦略立案、事業再編・事業再生、不正調査支援業務などに多数の実績を有しており、M&A業界での老舗という認識が強いです。

 

あずさ監査法人経由、KPMG税理士法人、KPMGコンサルティング等の経由で国内/海外問わず案件が来ることも多く、単独のみならずKPMGジャパン内の他法人と連携して業務を行うことも多いこともKPMG FASの一つの特徴といえるでしょう。

KPMG全体の組織

KPMGの母体であるKPMGインターナショナルは本部をスイスに有し、世界154ヵ国でそれぞれが独立したファームとして事業を展開、約20万人の従業員を擁していますが、日本ではKPMGジャパンとして、7つのプロフェッショナルファームと、約7,900名のメンバーを擁する組織体となっています。

 

  • あずさ監査法人
  • KPMG税理士法人
  • KPMG FAS
  • KPMGコンサルティング
  • KPMGあずさサステナビリティ
  • KPMGヘルスケアジャパン
  • KPMG社会保険労務士法人

 

KPMGジャパンにはコンサルティング/アドバイザリーを行う組織として、「KPMG FAS」「KPMGコンサルティング」「KPMGあずさサステナビリティ」「KPMGヘルスケアジャパン」、及びあずさ監査法人内にある「アカウンティング・アドバイザリー・サービス(AAS)事業部」と5つの組織があります。少し混乱してしまいそうですが、大枠は以下のように整理して理解しておくのが良いかと思います。

 

KPMG FAS

Pre M&A/Post M&Aに関わるアドバイザリーを提供

KPMGコンサルティング

エネルギー・自動車等の様々な業界/人事・IT等の様々な機能に対する総合的なコンサルティング提供

 

KPMGあずさサステナビリティ

持続可能な開発目標(SDGs)などの企業の持続可能性に関連したコンサルティング/アドバイザリー提供

KPMGヘルスケアジャパン

ヘルスケア領域に特化したコンサルティング/アドバイザリー提供

あずさ監査法人 アカウンティング・アドバイザリー・サービス(AAS)事業部

内部統制整備などに関わる業務・IT関連に対するコンサルティング/アドバイザリー提供

組織

KPMG FASの組織は基本的には「機能(ソリューション)軸」での組織体系となっています。加えて昨今は横断的な組織として自動車、化学、エネルギーと言った主要な業種に個別に対応できるよう社内組織を12の「業種別(インタストリー)軸」組織として仮想的に分けています。

 

※組織に関しては非常に流動的であり、あくまでご参考としてご留意ください。

 

ソリューション軸(組織)

 

  • CF(Corporate Finance(コーポレートファインナンス)):M&A実施時の事業価値算定、今後の事業計画モデル構築などを支援。
  • TS(Transaction Service(トランザクションサービス)):M&A実施時の財務デューデリジェンスを実施。PMI部隊も内在。
  • SG(Strategy Group(ストラテジーグループ)):M&A/非M&Aに関わる戦略立案、及び新規事業創出等を支援。
  • RS(Restructuring Service(リストラクチャリングサービス)):企業再生/事業再生に関わる案件を支援
  • FS(Forensic Service(フォレンジックサービス)):企業の不正調査やサイバーセキュリティ案件などを支援。

 

インダストリー軸(仮想的な組織)

  • 自動車
  • ビジネスサービス
  • 化学
  • 消費財・リテール
  • エネルギー
  • 金融サービス(組織有)
  • 製造
  • ヘルスケア・ライフサイエンス
  • ホテル・レジャー
  • 不動産・インフラ
  • プライベートエクイティ
  • テレコム・メディア・テクノロジー

 

業種別に関しては仮想的な組織として分類しましたが、上記のうち「金融サービス」に関しては実組織が設立されており、今後は他の総合コンサルティングファームのように業種別(インダストリー)軸組織が増えることが予想されます。

キャリアパス、年収

 

KPMG FASは基本的にはソリューション軸の組織であり、その中で昇格していくことが一般的となっています。給与水準に関してはそれぞれの組織に応じて大きく異なるため、あくまで「この程度の水準である」程度にご理解いただければ幸いです。

 

アナリスト・ジュニアアソシエイト

 

KPMG FASでは役職の中で一番下の職位で、アナリストは組織の所属が決まっていない職位、ジュニアアソシエイトは組織の所属が決まっている職位となります。ファーム内においては見習いという立場で、マネージャー〜シニアアソシエイトの指示のもと、アドバイザリーに関わる様々な業務を経験します。年収は初任給500万円〜600万円+賞与という水準です。

 

アソシエイト

KPMG FASでは役職の中でアナリスト・ジュニアアソシエイトに次ぐ職位になります。マネージャー〜シニアアソシエイトの指示のもとアドバイザリーに関わる様々な業務を行う点は変わりませんが、業務の内容として報告会資料の1パートを全て任される機会、会議での発言機会なども増えます。年収は初任給600万円〜750万円+賞与という水準です。

 

シニアアソシエイト

 

続く職位で、各案件の主担当を担います。マネージャー見習いという立場となるため、資料作成の他、クライアントミーティングの運営、窓口としての細かな交渉事等、渉外的な業務が増えていきます。また、案件内の小さなチームをまとめていく立場になっていきます。年収は800〜950万円+賞与という水準です。

 

マネージャー

シニアアソシエイトに次ぐ職位で、管理職となります。プロジェクトマネジメントの中心となり、チームマネジメント、及びクライアントとの折衝の中心的な役割を担います。加えて、新規案件の獲得に向けた提案活動の割合が増していきます。年収は950〜1200万円+賞与という水準です。

 

シニアマネージャー

マネージャーに次ぐ職位となり、複数のプロジェクトをマネジメントする立場になります。マネージャー以上に新規案件獲得の提案が増え、年間の受注件数もかなりの量に至ります。また、この職位から中途採用などに関与するようになり、面接官として1次的なスクリーニングを実施することも多くなります。年収は1,200〜1,300万円+賞与という水準です。

 

ディレクター

シニアマネージャーに次ぐ職位となり、次期パートナーという立場です。所属する組織のマネジメントはもちろんのこと、全社を横断しての社内プロジェクトの推進や、独自サービスの立案などを行っていく業務執行レベルとしては最高の立場となります。年収は1,500〜2,000万円+賞与という水準です。

 

パートナー

最高位のクラスです。会社全体の経営に関わりつつ、所属する組織の経営が主な業務となります。大企業のトップマネジメントとの折衝が多くなり、大企業との強固なネットワーク構築の他、案件炎上時のトップ対応などが主な仕事です。年収は2,000万円以上、チームのパフォーマンス次第では青天井と聞いています。

なお、昇格に関しては組織だけではなく社内のパートナー陣全員からパートナーとしてふさわしいかどうかが判断され、そのうえで昇格が許可されるため、ここに至る人はほぼいません。 

公開されているプロジェクト

 

KPMG FASは機密案件が多いため、公開されているプロジェクトは現時点では確認できていません。

実際のプロジェクトの雰囲気を掴みたい場合は、転職エージェント経由、またはOB訪問などを行うことをお勧めします。

 

書籍

 

KPMG FASの書籍としては以下のような書籍が販売されています。

 

実践 企業・事業再生ハンドブック

https://amzn.to/2SppT0n

 

現KPMG FAS代表の知野氏監修の書籍です。KPMG FASの業務全体を理解するためには必読の一冊といえるでしょう。Pre M&A、Post M&Aに至るまでKPMG FASが関与する事業が網羅的に記載されており、その中のポイントになる点も掻い摘んで説明されています。

 

実践 CVC ―戦略策定から設立・投資評価まで

https://amzn.to/2Sr0e7l

 

KPMG FASでは戦略案件の一環として最近注目が集まりつつあるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)設立支援なども実施しており、設立から投資評価に至るプロセスが事例集付きで公開されています。コンサルティング/アドバイザリー目線でのCVC分析というのは非常に貴重な文献なので、興味のある方は一読することをお勧めいたします。 

社員紹介

 

中尾 哲也

KPMG FASにおいてトランザクションアドバイザリーサービスと共に、ポストディールサービスチームを統括。2009年以降はKPMGの Integration and Separation Advisory(事業統合・分離にかかるアドバイザリー)部門の日本における責任者。

 

井口 耕一

KPMG FASにおいて、ストラテジーグループ(世界のグローバルストラテジーグループにおける日本部門)を統括。アクセンチュアで戦略・業務コンサルティングを実施し、ファンドでのバリューアップを経験後に同社に参画。

 

中村 吉伸

KPMG FASにおいてリストラクチャリングサービス部門と共に、KPMGジャパンの消費財・小売セクターの統括を行う。事業再生・再編案件に関しては政府系機関の財務アドバイザーとして関与した経験がある。

 

 

求められる人物像

 

KPMG FASは業務拡大につきスタッフ層(ジュニアアソシエイト/アナリスト~シニアアソシエイト)まではポテンシャルベースでの採用を積極的に行なっており、部門によってはコンサル未経験からでもチャレンジ可能です。(一部の部門においては非常に高度な専門知識が求められるため会計士資格が必須、ということもあります。)

 

KPMG FASは前述のとおり機能別の組織体系となっており、アドバイザリーの基礎的な能力に加えて専門的な知識をつけていくことが求められます。未経験の場合はこれまで関与していなかった多くの業界/職務の知識を学ぶ必要がありますので、知識のキャッチアップ等の対応力に加えて、案件へ積極的に関与する姿勢は必然的に求められます。

 

また、クロスボーダー案件も増えているためスタッフレベルでも英語・英会話のレベルは一定程度求められます。TOEICの点数はさることながら、面接の中でビジネス英会話ができるかどうかを判断されることも多くなっておりますので、日々英会話などは鍛えておく必要があるでしょう。 

研修

入社時の研修に関しては3日程度となります。1~2日目に事務手続きやKPMGジャパンの目標などを理解する全体研修を、3日目にKPMG FASの各部門紹介を行うというシンプルなものです。

 

入社後の研修ではオンライン、オフライン双方で様々なトピックについて実施されています。公になっているような研修もあれば、部門特化のコアな研修まで幅広くあるものの、研修自体は体系立てられているものではありません。

 

最新の会計基準の変更等を基にした業務への影響などのアップデートが多く、あくまで最新トレンドの把握程度のものとして大きな期待はしないほうがよいでしょう。

 

面接・選考

 

選考プロセスは書類選考+2~4回の面接となり、最短約1か月程度で終了します。

 

書類選考に関しては学歴・職歴を見られます。部門によって専門性が異なるため評価ポイントはまちまちですが、海外MBA等を含めた海外経験、及び部門に紐づくコンサルティング/アドバイザリー経験があるかをよく見られます。ただし、上記のポイントはあくまで評価基準の一つであり、それ以外の経験でもポテンシャル採用枠で通過することもあります。

 

1次面接に関してはマネージャー、シニアマネージャークラスとの面接となります。それまでの職務経歴から紐解いて質疑応答が行われます。各部門に応じてケース面接やフェルミ推定が行われたり、場合によっては仮の事業計画モデルを基に問題点などの質疑応答を行われたりと実務に近いディスカッションをすることもあるようです。

 

2~3次面接に関してはディレクター/パートナークラスとの面談となり、1~3回ほどの面接となります。非常に鋭い質疑応答の応酬が繰り返される場合もあれば、単なる談笑程度で進む場合もあるのが実情ですが、一貫して「この人物は実際の案件でバリューを出せる能力があるか」「チームの一員として組織になじめるか」を見られている点には注意をする必要があるでしょう。(なお、面接回数がまちまちなのは一緒に面談をしようとしたパートナーの日程調整がつかない場合に単に回数が増えるに過ぎないことが多いので、淡々と対応しましょう。)

KPMG FASに転職するには

KPMG FASとの強い関係性をお持ちのリネアコンサルティング・大森 崇さんに相談することを強く推奨します。コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちで、インタビュー対象者も大森 崇さんを通じて転職を成功させたと伺っています。

 

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

 1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

コンサルティング会社は各社特徴があれど「コンサルティング」という業務に取り組んでいるという点ではかなり似ています。KPMGだけでなく様々な会社を同時に検討されることをおすすめします。

本メディア読者を対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用