戦略コンサルによる転職ブログ

旧シャイニング丸の内日報、コンサル転職・成長意欲が高い方向けの転職情報



投資銀行とコンサルティングファームのスキル・年収・キャリアの違い

「投資銀行とコンサルティングファームの違いは何ですか?」
これは転職時点でこのような質問をしたら流石に笑い者ですが、全くプロフェッショナルファームの世界に携わったことが無い方は良くわからないかもしれません。また両方から内定を貰いどちらに行くのか悩む方もいらっしゃいます。

本日は投資銀行およびコンサルティングファーム、両方を経験した筆者が書く、そういった悩みを持つ方々向けの記事です。


上位層の学生や若手社会人に特に人気な業種が、「戦略コンサル」と「投資銀行」です。
どちらもプロフェッショナルファームであり、超高層ビルで、パリっとした高級スーツを着て、新聞の一面を飾るような大型案件に携わり、年収は1,000万を超える等、非常に派手で華やかなイメージが先行しがちな業界でもあります。

そのため、投資銀行とコンサルティングファームの業務内容をしっかりと理解し、自分の言葉で語れる学生や未経験の若手はほとんどおらず、偏見と憧れだけでエントリーし、選考を受けに来る方が多いです。

今回はそんな若手社会人・学生に向け、「未経験・新卒で入社するなら、投資銀行とコンサルティングファームをどちらに行くべきか」というテーマで、両者の違いを分かりやすく説明いたします。結論としてはもちろん、どちらが正しいかということではなくどちらが自分に合っているのか、を明確にすることにあります。

両者はよく併願されることで有名ですが、似て非なる業界であり、ファーストキャリアとしてどちらを選択するかは将来のキャリアにも大きな影響を与えるため、この記事を読んで理解を深めることをおススメします。

f:id:shiningmaru:20190216081228j:plain

業務内容

投資銀行の業務内容

投資銀行業務は大きく、①エクイティファイナンス、②デットファイナンス、③M&A、の3つに分かれます。

 

エクイティファイナンス

エクイティファイナンスを担当する部署をECMといい、エクイティキャピタルマーケッツの略です。

また、エクイティファイナンスとは、「エクイティ(株式)」で「ファイナンスする(お金を調達する)」、つまり、株式を新規発行することにより、その新株を相手に渡してお金をもらうことで、資金を調達する手段です。

デットファイナンス

デットファイナンスを担当する部署をDCMといい、デットキャピタルマーケッツの略です。エクイティファイナンス同様、お金を調達する手段ですが、エクイティでなく、デット(借入)で調達します。

 

M&A

Merger & Acquisitionの略であり、企業の合併や買収に関するアドバイスをクライアントに提供する業務です。M&Aを担当する部署をIBDといい、Investment Banking Divisionの略です。IBD部門は採用人数も多く花形の部門であり、M&Aアドバイザー(FA(Financial Advisor))と呼ばれます。FAとしての任務は、クライアントが実施したいM&A案件を成功に導くことであり、クライアントと最後(資金支払・効力発生日:クロージングといいます)まで二人三脚で案件に携わります。大企業の場合、経営企画の方と一緒に動くことが多く、M&Aに関するアドバイスは勿論、クライアントの社内で承認を得るための資料作成等を手伝うこともあります。上記の2つの部門とは、M&Aを実行するにあたり資金調達が必要となった場合に連携し、クライアントに一貫したサービスを提供します。

 

コンサルティングファーム

 

コンサルティング業務は、投資銀行の業務内容ほど定義としては複雑ではなく、企業が抱える課題を解決に導くため、業務改善の提案及び実行のフォローを行うという定義上はシンプルな仕事です。

勿論それを実際に実施することはとても大変で、クライアントが抱える課題は様々あり、戦略立案に加え、IT、財務、人事等の分野等もあるため、幅広い分野に精通していることが求められます。具体的には、シナリオプランニング、グローバル化戦略、新事業開発、市場参入戦略等の成長戦略の立案が多く、論点整理し、課題を解決するための方法を考え、最終的には、どのようなアクションに落とし込むのかといったワークプランの検討も行います。コンサルタントの仕事は資料作成のイメージが強いかもしれませんが、プロジェクトの初めに行うこととしては、クライアントへのヒアリングがメインです。何が課題か分かっていない状態で相談に来るクライアントも多く、コンサルタント側で様々な仮説を立てた上で、様々な角度から質問を投げかけていくというマネジメントインタビューを行うことが必須です。仮説と検証を繰り返しながら、資料に落とし込んでいき、最終的にはどう動くべきかというアクションにつなげる仕事です。

主要投資銀行及びコンサルティングファーム一覧

コンサルティングファーム一覧

  • マッキンゼー・アンド・カンパニー
  • ベイン・アンド・カンパニー
  • ボストン コンサルティング グループ
  • デロイトトーマツコンサルティング
  • T. カーニー
  • PwCコンサルティング
  • アクセンチュア
  • アビームコンサルティング
  • アリックスパートナーズ
  • 経営共創基盤
  • 山田ビジネスコンサルティング
  • フロンティア・マネジメント
  • NTTデータ経営研究所
  • 三菱UFJ リサーチ&コンサルティング
  • 野村総合研究所
  • 日本総合研究所 等

投資銀行一覧

  • ゴールドマン・サックス
  • モルガン・スタンレー
  • JPモルガン
  • メリルリンチ日本証券
  • UBS証券
  • 野村證券
  • みずほ証券
  • SMBC日興証券
  • 大和証券

 

労働環境の違い

コンサルティングファーム

ジュニアのころは、資料作成を下に振ることはできないため、明日の午前中までに資料を仕上げろというメールが、夕方6時頃に上司から飛び、次の日の朝5時まで残業、朝6時に上司から激昂され修正し、完成したものを印刷して9時のクライアントミーティングに飛び込むという光景は日常茶飯事です。

 

夕食は残業手当(一食1,500-3,000円程度まで会社が支給)を使ってオフィスで食べることは当たり前で、毎日深夜3時まで働き、土日もどちらか一日は必ず仕事という生活を続けることになります。

無事昇格すると、資料作成は下に頼めることになり負担は減る一方、M&A案件プロセスの一貫でもあるDD等の業務ではプロジェクトリーダーとして担当することが多くなり、下につくコンサルタントの能力次第では、作業量が増えることもあります。責任が増すため、その分、給与にも反映されます。

ちなみに下から二番目のアソシエイト/コンサルタントと一番下のアナリストには明確な区分はありません。出来るアナリストがアソシエイトに「これお願いします」と指示をすることも珍しくなく、筆者も実際によく経験していました。

投資銀行

結論からいうと、コンサルティングファームより激務です。残業一か月150時間は当たり前です。効率化をどんなに図っても残業なしで帰れる日などありません。レッドブルーやコーヒーは必需品で、とにかく寝る時間がありません。夜中3時まで仕事をして、シャワーを浴びに家に帰ったと思ったら海外から追加の資料が届き、何十ページにも及ぶExcelシートを確認し、計算式のチェックを行う等は日常茶飯事です。

 

行き帰りのタクシーの中や、トイレでの仮眠は必須です。中には歩きながら寝ることができるようになった強者もいました。また、休みの日はいつ上司から連絡が来ても良いように常に携帯とPCを持参し、急な資料作成や修正依頼に対応できる体制を整えておかなければなりません。例えば、旅行先の温泉に浸かっているときでも、タオルに包んだ携帯をそばに置いておく、映画館に入るときは必ず上司に一言メッセージを送ってから映画鑑賞、友達と話していても海外からの英語の長文をチェックする等、一般の社会人には理解できないような世界です。それも怖いもので徐々に慣れていきますが、この積み重ねで精神的に辛くなり退職する人も多いです。

身につくスキルの違い

両方で身につくスキル、どちらかのほうが身に着けやすいスキルがあります。

両方で身につく

プロフェッショナリズム

割り当てられた責任は何が起きても完遂する。最高のアウトプットを常に出すという姿勢こそ特に若手にはプロフェッショナルファームで得られる最高の財産ではないでしょうか。

両方ともにハードな職種ですが、ここで得られた業務経験はその後どのような仕事をしても活きることになります。

論理的かつ端的に意見を述べる能力

プロフェッショナルファームにおいては非論理的な発言を繰り返していては誰からも相手にされなくなります。この職種の人々と接していて極めて論理的かつ端的に意見が述べられると感じるのは普段厳しい環境で磨かれているからです。

こちらの資料のような資料をファームでは作成します。

コンサルに転職する前に読みたいプレゼン・パワポ資料

体力・根性

ここで気合です笑。両方共にハードな職種でありメンタルや体力のタフネスは欠かせません。ただ起きているだけではなく、起きておりかつ考え続けるという「知的タフネス」も磨かれます。あまり長い間続けたいものではありませんが....。

コンサルティングファームのほうが身に着けやすいスキル

汎用的な定量分析スキル

定量分析はコンサルティングファームと投資銀行で意味合いが異なります。一般的な定量分析(コスト比較、各種財務指標比較等、利益率-単価の関係等)はコンサルティングファームでも多く経験します。

しかし投資銀行で携わるような本格的なコーポレートファイナンスの知識は特殊なプラクティスでない限り身につけることは難しいのです。コーポレートファイナンスを中心にキャリアを組み立てたい場合は投資銀行のほうが向いているでしょう。

コンサルティングファームで身につける定量分析の特徴としては「そもそも何を比較するのか」「どう見せるのか」「どのように誰も作ったことのないモデルを組み立てるか」ということを考えるのに強くなる点です。

知識というより、どのように定量分析を使うかという点に強くなりますね。

図表が豊富な資料作成

コンサルティングファームでは抽象的なものを構造化し、伝える能力が重要となります。この際に求められるのは「抽象的なものを構造化する能力」そしてそれを資料化する能力です。

顧客と伴走する・聞き出すコミュニケーション能力

コンサルティングファームではジュニアでも顧客と積極的にコミュニケーションを取り情報や課題を聞き出す能力が必要とされます。

コンサルタントが嫌いな顧客にインタビューをするという機会も多く「如何にも外資」「エリート風吹かせている」ような姿勢は実はやってはならないことなのです。

ストーリー作成

御社の課題は何か、何をすべきか、そのオプションはなにか、どう比較するか、比較の結果こうすべきだ、という一連のストーリーをコンサルタントは常に作成することになります。

専門的なスキルにあまり見えませんが実は高度な専門性が要求される能力です。

事業に関する能力

現場で実行というところまでは基本やりませんがどのような強みを活かし、参入し、競争するか、何故勝てるのか、というような現実的な戦略を考える事業に関する能力も一般的に戦略系のコンサルタントが身に着けやすい能力です。

投資銀行でもシナジーが何故あるのかという議論は当然するのですがそこが専門ではありません。

投資銀行のほうが身につけやすいスキル

財務分析・コーポレートファイナンスの知識

これはコンサルタントには太刀打ちが出来ません。弁護士や会計士等の多数の専門家を巻き込みながらディールを実行する能力は投資銀行ならではです。

 

この能力があることでその後のキャリアも金融系を中心に広げていくことが出来ます。

コンサルタントの中にはPL/BSの読み方も怪しいコンサルタントも多くCFまで広がるとかなり対応出来るコンサルタントは限られます。

交渉力

コンサルタントに求められるコミュニケーション能力とは異なるコミュニケーション能力です。コンサルタントは現場で瀬戸際の交渉をするという機会は稀です。

実務は事業会社の社員が担うことになるのでコンサルタントはあくまで裏側で計画や交渉ストーリーを書く黒子です。

契約書を読む能力

M&Aに携わると必ず契約書のやり取りが行われ、時にはM&Aアドバイザーがマークアップしたり、LOIなどであればドキュメンテーションも行ったりしますが、コンサルはそういった経験は基本的にすることはありません

 

年収の違い

コンサルティングファーム

 

稼ぎたいという理由でコンサルタントになることはお勧めしません。一般的に見ると年収は高い部類であることは間違いありませんが、お金のみを求めて入るほど年収は高くなく、激務の割にもらえないという印象を持つ人が多いです。そのため、お金に加え、コンサル特有の思考方法やクライアントの課題を解決して世界にインパクトを与えたい等、お金とは別の理由がある場合であればコンサルタントはとても良い職業だと思います。

年収の実態についてはこちらです

コンサルタントの給与・年収・キャリアは?

投資銀行

新卒一年目から1,000万も存在します、最も年収が高い業界といっても過言ではないと思います。ただ、仕事人間にならざるを得ないため、彼女の誕生日に予約したレストランをドタキャンし、Excelを3徹で仕上げることも割と頻繁に行うため、友達が減り、常に睡眠不足、稼いだお金を使う時間もなく、人としてまともな生活ができないということは覚悟しておくべきです。

求められる素質

すごく乱暴に言うと細かい作業を正確に迅速に行うよりもコンセプトやストーリーを考えることが好きな人はコンサルタント向きです。細かいことが不得意な人は投資銀行のジュニアポジションは大変つらいことになるでしょう。

コンサルタントにも当然数字周りの作業はあり、間違ってはいけないことは当然なのですが投資銀行の扱う数字ほどではセンシティブではなくトップファームのジュニアもよくミスしています。実際のところ、顧客に渡したモデルが間違っていることは珍しくありません(先輩がやらかしていたり、前フェーズから引き継いだ資料がそうであったりしたこともしばしば)。

しかし投資銀行では当然多くのチェックは入りますが間違ったでは許されません。

自分が持つ素質がどちら向きか考えたほうがよいでしょう。

ポストコンサル・ポスト投資銀行のキャリア

どちらの業界も離職率が高い業界です。必然的に多くの人は「その後のキャリア」を考えることになります。簡単に主なその後の進路を記載します。

ポストコンサルのキャリア

投資銀行とは異なり、非常に幅広いキャリアを選択することが可能です。

  • 同業内で転職
  • 事業会社(経営側)
  • スタートアップ企業
  • 起業
  • PEファンド
  • フリーランス 等

詳細はこちらに記載しました。

失敗しない!ポストコンサル転職の実態

ポスト投資銀行のキャリア

下記の4つが主流となっており、基本的にはずっと金融畑でキャリアを積んでいくことになります。

  • 同業内で転職
  • 事業会社(M&Aや財務部門)
  • PEファンド
  • ベンチャーのCFO
  • 独立系のM&Aアドバイザリーファームにいく
  • 投資ファンド 等

まとめ


投資銀行とコンサルの違いを少しでも理解していただけましたでしょか。
キャリアプランというのは日々変わるもので、未経験の若手や新卒の段階からなかなか決定できるものではないです。

幅という点から考えると、新卒としてのファーストキャリアとしてコンサルティングファームを選び、社会人の基礎と課題解決のノウハウを習得してから、自分自身のキャリアについて考えるという流れはオプションを広く持ち続けるという観点からは非常におすすめです。

投資銀行に行く場合は金融畑で生きていきたいと考えている方には若い内から専門性を磨き、かつサラリーマン最高峰の年収を得ることが出来ます。

違いを理解し、自分のキャリアイメージにフィットする方を選ぶとよいでしょう。

コンサルティング業界に転職するには

コンサルティングファームか投資銀行か、というケースを扱いました。

この記事を読み、コンサルティング会社に興味が出た方へ本メディアとしておすすめする方法は4つです。

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

コンサルティング会社は各社特徴があれど「コンサルティング」という業務に取り組んでいるという点ではかなり似ています。アビームコンサルティングだけでなく様々な会社を同時に検討されることをおすすめします。

本メディア読者を対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

 

面接官が教えるコンサルティングファームの面接対策

コンサルティング会社の採用プロセスでは、書類審査、Webテストを通過した後、複数回の面接を受けることになります。今回は厳しいといわれているコンサルティング会社の面接を突破するためのポイントについてみていきましょう。

転職者側から見た記事はこちらです

転職前に必見!コンサルティングファームの中途採用選考と面接の実態

f:id:shiningmaru:20190215142222j:plain

コンサルティング会社における面接 

コンサルティングファームの面接は大きく、面接官から与えられたテーマで面接官と議論をするケース面接と過去の経験や志望動機などを聞いていく行動面接に分かれます。かつてはコンサルティングファームの面接といえばケース面接が多かったのですが、能力は高いがプロフェッショナリズムに問題があるコンサルタントを排除するといった目的から、最近では行動面接も取り入れているファームが多いようです。

 

ケース面接と行動面接の比率はコンサルティングファームによって異なると同時に、入社時の想定ランクによっても異なります。マネージャー以上の場合は、過去の経験が重要になるため行動面接の比率が高まりますが、マネージャー未満での入社の場合はケース面接の重要度が高いことが多いです

 

ケース面接は特殊な面接なので、事前に内容を知っておくのと知らないのでは雲泥の差が出ます。ぜひ内容を把握して心の準備をしておくことをお勧めします。

 

なお行動面接では志望動機を聞かれることもありますので、そうした準備をする場合にはこちらの記事をご参照ください。

コンサル転職の面接対策 | 志望動機・自己PR

 

本記事ではまず、ケース面接の進め方、ポイント、失敗例等についてみていきましょう。

選考プロセス

ファームによって少々異なりますが、基本的には選考は以下のプロセスで進みます。

  • 書類選考
  • Webテスト
  • 面接(2回~10回程度)
  • 内定・入社

今回は特に面接にフォーカスして説明をしますが、書類に書く自己PRと志望動機は今回解説する内容で対策可能です。

注意点としては書類は必ず転職エージェントの目を通すことです。

書類の完成度が低いと高倍率のコンサルティングファームでは容赦なく落とされます。積極採用と言われるコンサルティングファームでも書類で半分以上切っていることもあります。総合ファームへの転職であれば元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティング・大森 崇さんに相談することを強くおすすめします。

戦略ファーム志望の場合はまず『BIZREACH(ビズリーチ)』でコンサルティングファームに強く、自分に合うエージェントを探しましょう。

以下の記事で代表的なエージェントを紹介していますので、こちらから探して直接応募してもよいでしょう。

コンサルティングファームへの転職におすすめのエージェントと使い方 

重要なことはコンサル未経験者が自分だけの視点で書類を作らないことです。

ケース面接の対策

ケース面接とは

ケース面接では、面接官がその日のテーマを設定し、議論をします。例えば、「xx業界の市場規模は?」といったフェルミ推定が有名ですが、「xxという会社が今後成長していくためにはどうしたらいいか?」といった個社の戦略について議論するケースや、「xxが普及することで、最も影響を受ける産業は何か?」といったマクロトレンドを議論するケースなど、様々なパターンが存在します。

 

ケース面接のテーマは、一定のルールの元で各面接官が自由に出題しているようです。中途面接の受験者は大量にいるので、同じケースを使い回すと事前に準備されてしまう危険があるからです。

 

ケース面接では、最初にお題が伝えられ、まず受験者が一人で自分の考えを整理します(数分~十分程度)。その後、自分の考えを数分程度で説明し、コンサルタントとの議論に入ります。コンサルタントはまず受験生がどのように考えたのかを理解し、その上で受験者の考え方について疑問に思った部分について質問をしていきます。受験者はコンサルタントの質問に対し答えていきながら、何らかの結論を出すことを目指します

 

ケース面接のポイント

 

それでは、コンサルタントはケース面接を通じ、どういったポイントを見ているのでしょうか。一言でいえば、自分が受験者を部下に持った時に、十分にワークしてくれるか、ということになります。すなわち、自分が出した指示を理解し、一生懸命取り組み、自分の期待値を超えるアウトプットを出してくれる人かを見ています。もちろん転職当初からそれだけのことができれば即合格なので、合格の基準としては、将来的にそうした人材になれるポテンシャルを持っているかを見ています。

 

その意味において、どのファームでも必ず見られるポイントは、

  1. 自分の頭で考え抜き自分なりの答えを導く力があるか
  2. コンサルタントのコメントの真意を捉えて思考を進化させる柔軟性があるか
  3. 自分の思考を構造的に整理して言語化する力があるか

といった点になります。ファームや面接官によって比重は変わってきますが、いずれの要素も最低限持っていることが重要です。ごく稀に、突出した一つの能力だけで面接を突破する方もいますが、基本的には難しいと思っておく方がいいでしょう。

 

ジュニアコンサルタントは様々なプロジェクトにアサインされるため、オールマイティな能力が求められます。

 

ではそれぞれのポイントをクリアするためのプロトコルを考えていきましょう。

 

自分の力で考え抜けるか:

自分の力で考えるといっても、闇雲にアイデアを出すような頭の使い方は良くありません。まずはお題を解くためにはどんな問いに応えなければいけないか考えましょう。

フェルミ推定であれば、数字の推計に必要な要素を把握・定義するところがカギになりますし、企業戦略であれば、自社の状況とシェア奪取につながる顧客ニーズなどがカギになります。論点設定がしっかりしていれば、仮定の置き方に間違いがあっても議論の中で修正でき、高評価を得ることができるはずです。

 

柔軟性があるか:

コンサルタントとの議論の中では、自分が考えていなかった視点でのツッコミがはいったり、論理の矛盾を指摘されたりといったことが多々起こります。人によっては「詰め」に近い感覚を受ける場合もあります。そうした際には、たじろいだり、無理に反論したりするのではなく、コンサルタントのコメントの真意を捉えるようにしましょう。バツが悪くなってその場しのぎの回答をしてしまうと、コンサルタントはがっかりします。時間がかかってもいいので、コンサルタントのコメントを理解し、自分の思考を修正し、仮説を進化させることができれば、高評価を得られます

 

構造化して言語化できるか:

議論が進んでくると、コンサルタントは必ず、「なぜそのように考えましたか?」「結局何がポイントでしょうか?」と言語化を求めてきます。そうしたタイミングでは、少し頭を整理する時間をもらってもよいので、筋道立てて話をするようにしましょう。慣れないうちは、よく言われるアンサーファーストで答えるとよいかもしれません。「私はxxのように考えました。まず、xxであり、次にxxであると思うからです」といった話し方です。筋道の通った話し方ができれば、会話がスムーズに進み、スマートな印象を与えることができますので、高評価につながります。

 

ケース面接の失敗例

 

今度は反面教師として、ケース面接における失敗例を見てみましょう。

多い順に3つ挙げますと

  1. 自分のアイデアに固執してしまうケース
  2. 自分の頭で考えずフレームワーク等に振り回されてしまうケース
  3. レスポンスの良さを重視して、深く考えずにレスポンスするケース

となります。

 

もちろん他のケースも存在していますが、概して上記のようなパターンが多いです。

 

面接の場では、賢く見せなくてはというプレッシャーから焦ってしまい、実力を出し切れなくなることが多いです。NGを心にとめて、そうしたミスをしないように気を付けましょう。

 

アイデアに固執してしまう:

上でも書きましたが、議論の中では、コンサルタントから鋭いツッコミが入ります。これは議論を修正しようとしていると同時に、シニアからツッコミを受けた際にどのような反応をするのかを見ています。しかし、「面接官に負けてはいけない」という思いからか、自分の仮定の置き方に固執し、建設的な議論ができなくなってしまう受験者が多いです。コンサルティングファームでは、プライドの高さから人の意見を受け入れられずドロップアウトしていく人が少なからずいますので、そうしたドロップアウトしてしまう人なのではと疑われ、低評価になってしまいます。

 

フレームワークに振り回されてしまう:

面接の最初には、お題に対し一人で考える時間がありますが、何をしてよいかわからず、見当違いのフレームワークを使ってしまう人がいます。そうなると、先の議論もめちゃくちゃになってしまいますし、コンサルタントの目には、自分の頭できちんと考えてない人に映ります。もちろん、フレームワークを使うこと自体は何ら問題ないですし、正しくフレームワークを使って議論が活性化した場合には、共通言語を話せる人として高評価を得られます。なので、フレームワークを使う際には、そのフレームワークの目的を正しく把握するようにしましょう。

 

特に中途半端に経営本をかじった場合はついつい4P,3Cなんて言ってしまいがちですが、面接官としては辟易します

 

深く考えずに返答してしまう

議論をしていく中で、コンサルタントのペースについていけず、その場しのぎの回答をしてしまうケースです。もちろんレスポンスのスピードは大切ですが、それで中身がなくなってしまっては、評価を下げることになってしまいます。それであれば、少し考える時間をもらってでも、コンサルタントの発言の意図を正しく理解し、自分なりの回答を絞り出す方がよほど好印象です。相手はプロなので、無理に張り合おうとせず、キッチリ議論をすることが大切です。

 

行動面接の対策

行動面接とは 

次に行動面接についてみていきましょう。行動面接では主に、過去の経験について聞かれます。面接の内容は他の業種と同じですが、コンサルティング会社の場合、一つの行動をより深く掘り下げられます

例えば、「過去にxxのリーダーを務め、xxという成果を上げました」に対し、外的要因と内的要因、その中での自身の貢献、またなぜそのように行動したか、などを論理立てて話すことが求められます。

 志望動機と自己PR(自分がコンサルタントに向いており、採用されるべき理由)を掘り下げることが基本ですので、上の2つを自分でも深く納得出来るものを作ると同時に他人にも端的に説明する準備が必要です。

行動面接のポイント

 

行動面接では、自身が何を考えてどのように行動したかを論理的に話すことが求められますが、コンサルタントが見ているポイントは3つです。

  1. どれだけしっかりと考えて行動してきたか
  2. 責任感をもって主体的に行動してきたか
  3. 自身の経験を論理立てて話せるか

の3つを行動面接の中で示すことが求められます。

 

  • どれだけしっかりと考えて行動してきたか:過去の自分の行動について、何を課題ととらえ、どういったオプションの中から、なぜその行動を選んだのか、説明する必要があります。

    話すエピソードは自身が深く関与し、主体的に行動した際のものを選んだほうが良いでしょう。会社としてインパクトが大きかったものでも、自分の関与が小さいものは避けた方がいいです。
  • 責任感をもって主体的に行動してきたか:過去の自分の行動について、自分がいかにして最後までリーダーシップをもってやり切ったか、説明する必要があります。特に成功体験の話よりは失敗体験や苦しかった体験から話すことが多いです。
  • 自身の経験を論理立てて話せるか:最後のポイントはケース面接にも通ずる部分で、どれだけ論理的にストーリーを話せるかという点になります。事前にすべて準備することは、用意してきたというイメージを与えて逆効果かもしれませんので、ストーリーの論理構成だけ頭に入れておくのがいいでしょう。

実際の面接における質問内容、質問意図、回答方針についてはこちらの記事で詳細に解説しました。

コンサルティングファーム面接における質問の意図 

コンサルティングファームの面接をパスするために

 

これまでコンサルティング会社における面接のポイントについて述べてきましたが、面接をパスするためには、とにかく模擬練習をするのが良いと思います。特にケース面接は、最初の数分~10分で考えられる限界や、思考のプロセスなどを事前に把握しておくだけで大分気が楽になるはずですので、是非試してみてください。

 

コンサルティング業界に転職するには

今回はコンサルティングファームから投資銀行への転職というケースを扱いました。

この記事を読み、コンサルティング会社に興味が出た方へ本メディアとしておすすめする方法は4つです。

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

コンサルティング会社は各社特徴があれど「コンサルティング」という業務に取り組んでいるという点ではかなり似ています。アビームコンサルティングだけでなく様々な会社を同時に検討されることをおすすめします。

本メディア読者を対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

コンサルに関する知識をコンパクトに学びたい方は以下の記事がおすすめです!

知識を凝縮!コンサルタントへの転職バイブル 

コンサルティングファームから投資銀行への転職

コンサルファームは高給かつ成長が見込める、クライアントへの貢献度を背景に働き甲斐も大きいということで、長年ハイクラスの人材にとって人気の高い職種です。一方で、激務・厳しい成果主義、スキルが蓄積することにより転職市場でも付加価値が高いといったことを背景に、コンサルファームを去っていく人もまた常に多いです。

数自体は少ないもののコンサルファームを去っていく方のポストコンサルとしての転職先として一定の人気があるのが、コンサルファームに並んで高給な職種であるイメージのある投資銀行です。今回は実際にコンサルファームから投資銀行業へ転職したAさんの体験を元に、総合コンサルファームから投資銀行へ転職する上でのポイントをまとめました。

コンサルティングファームへの転職に興味を持っている方はこちらにまとめ記事を書きました。

 

何故コンサルティングファームを退職しようと思ったか

Aさんがコンサルファームからの転職理由ですが大きく3点あったとのことでした。

スキルセットのアンマッチ

1点目はスキルセットがプロジェクトとマッチしていなかったことでした。コンサルに入社した社員がどのようなプロジェクトに参画するかは、ある程度社員のヒアリングに基づいて決められます。総合コンサルファームの場合は幅広いジャンルのプロジェクトが各チームあるので、「プロジェクトの選択肢も大きい」というのが入社前のイメージでした。

しかし、実際にはその時に空きのあるプロジェクトには限りがあって、なかなか自分の思い通りのプロジェクトに参画できるわけではありません。AさんはITの素養は全くなかったのですが、その時空いているプロジェクトで参画しうるプロジェクトがそれしかなかったということで、金融機関へのシステム更新プロジェクトでした。

 

この点については「そもそもどのようなプロジェクトに参画したいかといったビジョンが明確でなかった部分もある」とAさんは自省するように話していました。

 

 

コンサルティングファームに入社しても必ずしも希望のプロジェクトに配属となるわけではありません。特にパフォーマンスが今ひとつの場合は自分の希望よりもファームの都合が優先される傾向が強まります。

 

クライアントへのバリュー 

2点目は社会への、クライアントへの貢献性にかかるイメージの乖離でした。Aさんのプロジェクトは大手向けのシステム更新でした。確かにシステム更新それ自体は金融機関にとっては一定の重要性はあったのですが、「金融機関が大手だったこともあり、そもそもコンサルファームが入らなくてもできてしまうのでは?という印象があった」状況でした。実際Aさんが参画する頃には大枠の方向性は決まっていて、その気になればSEと金融機関だけで進めてしまえそうなプロジェクトでした。

 

そもそも金融機関側のカウンターパーティーの影響力が大きいことから、実質的には「その人の意見を通すために外部からのその人をサポートする資料とプレゼンを提供するのがプロジェクトの役割となってしまっていた」とのことでした。「おそらくそもそも私のスキル不足もあるのだが、一体このプロジェクトが何のためにあるのかよくわからなかった」とAさんは振り返っていました。

実際に作成する資料についてはこちらを御覧ください

コンサルに転職する前に読みたいプレゼン・パワポ資料

 

比較的低単価なプロジェクトに多いですが、このような場合はあります。

 

コンサルティングファームの年収が安い

3点目は単純に待遇面でした。「はっきりいって、TopTierの戦略コンサルファームを除けば、給与レベルは大したことない。私が所属していたコンサルファームで言えば、ディレクタークラスまで昇格すればかなり特筆した水準になるが、そこまで到達する人は一握りだし、若手の年収は高くない」とのことでした。Aさん自信は評価面で思わしくなかったことは認めつつ「例え評価されている社員でもシニアクラスに抜擢されない限り給与の天井も知れているので正直一般的な想像ほどは稼げない。あくまで定性的な話にはなるが、殆どの社員は『想像ほど稼げず』終わってしまう」とのことでした。 以上のようにスキルセットとの不一致、仕事の貢献性への疑問、待遇面への充足感の低さ、と言った3点がコンサルファームから離れる理由となったようです。

何故投資銀行に転職したのか

続いてなぜ投資銀行を志望したのか、改めて振り返ってもらいました。 次章で説明する「活かせるスキルがあった」ことを除くと、2点に集約されました。

圧倒的に年収が高い

1点目は何と言っても待遇でした。Aさんがその後入社したのは外資系ではなく、日系の証券会社の投資銀行部門です。「それなりの規模ではあるが、あくまで日系の証券会社」とのことでした。従って給料も日本的で、ドラスティックに上下するリスクも小さいわけですが、「はっきり言ってリスクが小さいのに給料レベルが完全に上」でした。Aさんは正直上記の通りコンサルファームで苦戦し、パフォーマンスにおいてアピールできることも必ずしも多くない中での転職活動でしたので「自分の付加価値についてそこまで特筆したポイントがあったとは思っていない」と感じていましたが、そのような状況でも「10%以上年収がアップした。労働環境は圧倒的にホワイトになったのに」とのことでした。その上段階的な昇給もあるので、「入社後の話にはなるが、翌年にはさらに100万円単位で年収が上がった」とも合わせて語っていました。

 

提供価値の明確さ

2点目はクライアントへの貢献性の高さを実感できることでした。Aさんが志望し、実際に配属されたのはコーポレートファイナンスのセクションでしたが、こちらでは企業の資金調達について差配したり、実際に実行したりします。大手企業や公共団体がクライアントであることから「平気で数百億円の資金調達に日常的に貢献するような仕事。これが企業にとって重要性高いことは明確」とのことでした。応募当初は面談を通じたイメージを元に転職しましたが、入社前後のイメージと現実のギャップは小さく「むしろ想像以上にこちらからクライアントに提案したり、望ましい方向に誘導したりする場面が多い」とのことでした。 これら待遇面、貢献性の高さといった側面がAさんを投資銀行に向かわせた背景でした。ここに次に説明するスキルの親和性があったこともあり、Aさんは無事投資銀行への転職に成功したというわけです。

コンサルティングファームから投資銀行に転職して活かせるスキル

続いて活かせるスキルについては3点ほど挙げておりました。 1点目は「資料作成スキル」です。

コンサルファームも投資銀行も若手だけでなく、中堅クラスくらいまでは資料作成が非常に多い部署です。また何故かいずれも「エクセルで素材を作りパワーポイントでビジュアル化する」ことの多い職種でした。

コンサルファームの方が短期間のデッドラインで整った資料を作成するシーンが多いので「いつのまにか仕事の早い人になっていて、投資銀行のタイム感には難なくついていけた」とのことでした。もちろんクオリティについても「充分戦える」レベルで、恐らく資料作成のスピード・クオリティは「いまの投資銀行において評価が高いほうだと思う」と自負していました。 2点目はクライアント意向を汲み取り、提案に生かすことです。「私のプロジェクトがそうだっただけかもしれないが、クライアントから手数料がもらえないと話にならないので、結局はクライアントの考えを拾いあげ、それを反映した内容を解決策や今後の方針としてまとめていくことが多かった」とのことでした。

 

コンサルのあり方としてどうなのか、という点はさておき、日常的にクライアントと会話し、意向を探るというやりとりを行なっていたため、現職においても「クライアントが何を本当はもとめているか」を常に意識する癖と、それを拾い上げ、ディールに生かすことが当然のようにできるようになっていたとのことです。

 

精神的なタフネス

3点目は「メンタル面でのタフネス」です。「給料は今より低かったのに、コンサルファームの労働環境は非常に厳しかった、というか正直パワハラ当たり前の世界だった」ということでした。

ノートPCでいつでも作業できる状態となっているので、夜中・土日関係なく上司と連絡を取り合いながら仕事ができる状況にしておく必要がありました。実際には休める時間帯もあるのですが「いつ仕事の指示がくるかわからないので、全く気が休まらない」状況でした。

それを経験しているので、「一般的には激務と言われるだろう現職の職場だが、プレッシャーやストレスは遥かに小さい。近年は投資銀行業界でも労働規制などが厳しくなったので、尚のこと心に余裕を感じる。適度なプレッシャーの中で成長しながら仕事をできている感覚がある」とのことでした。コンサルファームに入ってAさんを最も高めた部分は「メンタル面ではないか」とすら語っていました。

--

これはファームやポジションによって全く違います!一般に投資銀行も同じくハードな職場です。

--

ポストコンサルの転職と年齢

続いてはコンサルファームからの転職や、転職年齢の関係について説明します。

 

世間のイメージに相違なく、コンサルファームは日常的に人が来て、人が辞めていきます。「そもそもオフィスがフリーアドレスになっているので、プロジェクトメンバーでなければ誰がどこに行ったのか知る由もない」ということですが、それでも人材の流動性は非常に高い、というのがコンサルファームの特徴で「投資銀行もそういた話は多いと思うが、コンサルファームの方が、圧倒的に人がすぐ辞める」とのことでした。Aさん自身もコンサルファームに在籍していた年数は2年足らずと短いですが。Aさんと同時に中途入社した人の中で「既に1/3くらい辞めていたのでは」と感じていました。

 

ちなみにこのコンサルファームは月初め入社が多いのですが、Aさんと同月入社は「コンサルタントだけで50人位」いたそうです。 転職の年齢と転職先の特徴を簡単にまとめてみました。

若手のポストコンサル転職

基本的に若手ほど転職先は多岐に渡っていて、最若手クラスでは本当に「どこでも」という状況でした。特に営業職が多いのは若手の特徴でした。仕事が早いこともアピールポイントにはなりますが、コンサルの専門スキルというより、Aさんも挙げている「メンタル面のタフさ」を買われているところが大きいようです。実際に転職先の方が辛い、という方はコンサルファームへの同業他社転職以外ではあまり聞かれません

中堅の転職

20代後半〜30代初頭程度ですと、1段階程度昇進した「アソシエイト」程度の職層となることが一般的です。この層でもまだまだ転職先は幅広いですが、Aさんのように資料作成の圧力が大きい職種、営業といってもBtoBで専門性の高い内容でのセールス業務などが増えてきます。また投資銀行の「ディール」もそうですが、「プロジェクトベース」での働き方が主となる仕事でのニーズも高いです。プロジェクト運営はコンサルファームの仕事の仕方の基本ですし、アソシエイトクラスあたりから徐々にプロジェクト推進に主体的に関わる側面が増えてくるので、転職市場での需要も高まるようです。

マネージャー以上の転職

マネージャー以上になってくると比率としては「同業者転職」が高くなってきます。この辺りから待遇面で折り合う転職先が限定されてくるのと、コンサルファームで10年以上の経験をもつ社員が多くなってくるので、これまでのスキルは「別のコンサルファームで活かすのが一番」と考える方が多く、また転職市場でもコンサルファームからの求人が集まりやすいのです。コンサルファーム以外の転職先ですと、いわゆる管理職となって転職することが多いですが、IT系、新興企業、外資系をはじめとした「年功」に縛られない企業が多くなります。

伝統的な日本企業では、管理職(それも中間管理職ではなく、部長クラスなど)とするには「若すぎる」ことが多く、年次を意識する企業文化にはマッチしないことが多いのです。

ポストコンサル転職の詳細についてはこちらを御覧ください

失敗しない!ポストコンサル転職の実態

コンサルティングファームと投資銀行の業務内容の違い

最後に、転職前後の業務内容の違いを説明しますが、Aさんの場合は業種が異なりますし、外資・日系の違いもあるので「なにもかも異なる」といっても過言ではありません。

クライアントとの関係性

その上で、特にAさんが感じた2点の業務内容上の違いを上げてもらいました。 1点目としてクライアントとの関係性です。無論どちらもお客様あっての業務なので、「クライアントにとって最善となるソリューション」を常に模索するわけですが、コンサルファームの場合はプロジェクトに参画する人員×かかった時間で以って手数料が発生します。

従って、コンサルタントが作成する資料・実施されるプレゼンはすべてそれ自体が「商品」となります。そのためか、それら「商品」はクライアントが「欲しがる」ものを作成したり提供したりすることになります。「クライアントのためになる」上で「耳触りの悪い話、一時的にクライアントのコストになる話」が出てくるもしばしばですが、「商品」のお金をクライアントが負担している以上、なかなかそうした内容を盛り込んで議論するのが難しいと感じることも多かったです。

ハードな交渉になる、もしくは最悪そういった側面に目をつぶり、クライアントが今喜ぶものを作らざるを得ない局面もあります。 一方で、投資銀行においては資料やプレゼンの多くはあくまで提案活動の一環で、その時点ではクライアントに費用は一切発生していません。

一見「投資銀行の方が営業活動である以上、クライアントが喜ぶことしか言えない」と思われがちなのですが、実情は逆で、「その時点でクライアントがお金を払っていないからこそ、クライアントに真に必要な提案や議論ができる」とのことでした。短期的には面倒である、もしくは負担になるようなことでも話すことがしやすいのです。 クライアントもまた、その時点ではお金が発生していない議論であるからこそ、忌憚なく自由な意見交換をすることができることが多いです。

この点はAさんも「意外だが非常に大きいコンサルティングファームと投資銀行の差異」と語っておりました。

プロジェクト期間

2点目は仕事のサイクルの差です。一般的にいってコンサルのプロジェクトの方が、期間が平均的に長く、投資銀行のディールの方が、ソリューションによりますが概して短いです。しかし一方、仕事の一つ一つに与えられるデッドラインはコンサルファームの方が短いです。コンサルの場合は、当日中に資料の提出を突然求められたり、「今日の夕方にミーティングをやってくれ」と要請されたりされることも珍しくありません。(午後にその日の夜〜夜中の打ち合わせが決まったこともあります)一方、投資銀行では訪問は情報提供や提案活動、あるいはディールの執行であったりするわけですが、このように極端なショートタームの期限が発生することはほとんどありません。最短でも翌日中〜数日、時には提案資料の提出期限が数週間後ということもあります。この結果「資料もプレゼンも投資銀行の方が圧倒的に作り込むし、またそうすることをクライアントも期待されている」ということです。

コンサルティング業界に転職するには

今回はコンサルティングファームから投資銀行への転職というケースを扱いました。

この記事を読み、コンサルティング会社に興味が出た方へ本メディアとしておすすめする方法は4つです。

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

コンサルティング会社は各社特徴があれど「コンサルティング」という業務に取り組んでいるという点ではかなり似ています。アビームコンサルティングだけでなく様々な会社を同時に検討されることをおすすめします。

本メディア読者を対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

アビームコンサルティングに転職するための基礎知識  

 今回は日系でありながら、本格的なグローバルコンサルティングファームの一角であるアビームコンサルティングを紹介します。2003年にデロイト・トゥシュ・トーマツから独立したアビームコンサルティングの、概要や成り立ち、特徴や転職する上でのポイントをまとめました。また、主なプロジェクトや有名なアビームコンサルティング出身者についても紹介します。

f:id:shiningmaru:20190213095121j:plain

 

アビームコンサルティング・コンサルティング業界に転職するには

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森 崇さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談!  

会社概要

まずはアビームコンサルティングの概要について紹介します。アビームコンサルティングはもともとデロイト系に属するグローバルコンサルファームでしたが、2003年に独立とともに社名が現在のアビームコンサルティングになりました。現在は海外資本のコンサルファームや監査法人等のグループには属していないため(下記の通り独自のパートナーは存在)、「日系のグローバルコンサルファーム」と一般的に位置付けられています。また、2015年よりNECの完全子会社となりました。

 

当時からのネットワークを駆使し、世界20以上の拠点を有し、概ね5,000人弱の社員をかかえる大きなコンサルファームです。戦略・経営・業務・ITと幅広い企業の課題に対応し、企業価値向上に貢献することが可能な総合系コンサルファームです。また、自身の拠点の他に、30カ国近くの国に提携パートナーを持ち各地域に合ったソリューションを提供しています。

 

日本のグローバルコンサルファームということで当然ではありながら、日本企業のコンサルティングには強みを持っており、多くの大企業のプロジェクトを有しております。特に日系企業の海外展開や海外での販路拡大戦略等については、アビームコンサルティングの得意分野とするところです。また一般的なコンサルファームのようにソリューションの形式やフレームワークを無理に当てはめようとするのではなく、それらを活用しつつも、コミュニケーションの中で日本・アジアの風土に合った解決策やサービスの提供を重視しています 

 

社名の「アビーム」については公式には「アジアの光線(Beam)」と記載されていますが、ヨット用語であるため経営者の趣味ではないかとも言われます笑。アビームコンサルティングにはヨットのセーリングチームも存在します。

沿革

続いては、アビームコンサルティングの沿革について紹介します。

アビームコンサルティングの前身は1981年の「等松・トウシュロスコンサルティング」にあります。まだトーマツではなく、「等松」と表記されていました。その後、1997年にグローバルコンサルティングファームであったデロイトコンサルティングのグループに入ります。その時に社名は「デロイトトーマツコンサルティング」に変わります。このように、実はアビームコンサルティングの前身はデロイトトーマツの一角を担ったコンサルティングファームだったのです。

 

その後、2003年にデロイトのグループから独立し、現在の「アビームコンサルティング」に改称します。ここからは日系の独立コンサルティングファームとして歩み始めることになります。その後は2004年にIT・システム関連の対応を強化すべく、NECと資本提携を行います。そこから2006年〜2010年頃にかけては海外拠点の開設や海外コンサルファームとの提携や買収を通じて、グローバルでの競争力を高めていきました。

 

2011年には一度破綻したのちは欧州を拠点にビジネスを行なっていたべリングポイントと業務提携を行なっています。また、2013年にはブラジルにも拠点を開き、南米進出をも果たしました。その後2015年にはNECの完全子会社となります。

 

このようにアビームコンサルティングはデロイトグループから独立後は「日系のグローバルコンサルティングファーム」として世界各地にビジネスを展開しています。NEC参加でシステム関連のプロジェクトを強みとしつつも、これまでの歴史の中で提携・買収により培われたノウハウを生かして、幅広い課題に対応可能な「総合系コンサルティングファーム」となっています。

 

組織


続いては、アビームコンサルティングの組織構造について紹介します。アビームコンサルティングはあくまで日本にメインオフィスがあり、傘下に海外拠点がぶら下がっている形となっております。従って組織構造はまず大きく「インダストリービジネスユニット」、「サービスラインビジネスユニット」「海外拠点」に分けられます。

 

インダストリービジネスユニット

いわゆる「産業別ユニット」です。コンサルプロジェクトは産業ごとに一定の傾向や特徴を持つ場合が多いので、それぞれの産業を専門に扱うチームに別れた組織構成となっております。インダストリービジネスユニットは、以下のような組織で構成されています。

  • FSI(金融・社会インフラビジネスユニット):金融全般・エネルギー・ノンバンク・情報通信・メディア・商社・公益・不動産・運輸
  • CB(コンシューマービジネスビジネスユニット):流通・サービス・食品・飲料・消費財
  • MFG(製造ビジネスユニット):上記CBに含まれるセクターを除く製造業全般
  • PUBLIC(公共ビジネスユニット):公共セクター

 

サービスラインビジネスユニット

総合系のコンサルファームには多い構造ですが、産業別のユニットの他に、ソリューション別に専門性をもったチームがそれぞれ配備されています。

  • 戦略ビジネスユニット:いわゆる戦略関連のプロジェクトを担う
  • デジタルトランスフォーメーションビジネスユニット:Digital MarketingとIoT
  • プロセス&テクノロジービジネスユニット:この他のソリューション全般。ITマネジメント&サービス・データ分析・会計財務・経営管理・HCM(ヒューマンキャピタルマネジメント)・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)など

 

実際にはプロジェクトチームはこの中の一つのユニットで扱うわけではなく、ソリューションユニット、インダストリーユニットの双方から、プロジェクト推進において必要なメンバーがチームに組み入れられます。加えて、クロスボーダーの案件、海外拠点の知見が必要な場合は、下記海外拠点が活用されます。

 

海外拠点

アビームコンサルティングは海外拠点は「海外」として国内の量ユニット群とは別のラインとなっております。こちらは地域ごとに別れているだけで、上記のユニットのような構造はありません。


中国:上海、シンセン、北京、香港
中国は2004年からとアビームコンサルティングの中で最も早くからオフィスを開設していた地域です。中国でもとりわけ高い評価を獲得しています。

 

韓国:ソウル
韓国企業と、グローバル企業で韓国オフィスを構える各企業の支援を行っています。

タイ:バンコク
タイ国内企業、タイに進出する日系の企業の支援を中心に行なっています。タイでは最大級の日系コンサルティングファームと認識されています。

 

シンガポール:シンガポール
マレーシア:クアラルンプール 、ペナン
インドネシア:ジャカルタ
ベトナム:ベトナム
各地で現地企業の支援とグローバル企業のアジア進出支援などを支援しています。

 

アメリカ:ダラス、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス

日系のグローバル企業のアメリカ内での課題について支援しています。以前は南米の課題も合わせて扱っていましたが、2013年にブラジルオフィスが開設されてからは、南米の課題はブラジルで扱うのが基本です。


ブラジル:サンパウロ

ブラジルを中心とした南米における日系企業の課題解決支援を軸にビジネスを展開しています。


ドイツ:デュッセルドルフ

イギリス:ロンドン

欧州で展開する日本のグローバル企業の支援を行っています。

 

このように海外拠点では、日系グローバル企業の各地の課題解決支援を中心としつつ、競合コンサルファームが少ないアジアでは現地企業の支援も行っています。また、ここでは割愛しますが、この他に人事・財務・総務など一般的な企業の管理部門を担うプラクティス・オペレーションといった組織があります。

 

コンサルタントのキャリアパス

続いてはキャリアパスですが、ジョブローテーションの要素も残る日本的な職種と、一つのセクターで専門性を追求する職種、管理部門の専門職種があります。管理部門の専門職種はいわゆる「コンサルタント」ではないので、ここではコンサルタントとスペシャリストのキャリアパスを紹介します。

 

コンサルタント職は先に紹介したインダストリーユニット・サービスラインユニットのどれか一つのユニットに所属します。その中でプロジェクトチームに所属してクライアントの課題解決にあたりながら、自身のプロジェクトマネジメント力や問題解決能力を高めていきます。「3年ごとで移動」といったような厳密なジョブローテーションではありませんが、ユニット間の異動もあるため、全方位的なコンサルタント能力を高めながらキャリアアップしていくことが求められる職種です。職階は以下のようになっています。

 アナリスト/コンサルタント

最も下層に当たる職階で、シニアコンサルタントの指示のもと基本的な業務や雑務を行います。プロジェクト推進に向けては情報収集や資料作成、会議準備などを行うことが多いです。最初の2年はアナリストで、年収は400〜500万円程度、ついで2年目〜5年目程度はコンサルタントとなり、年収は〜600万円程度といったところです。最速5年目から次のシニアコンサルタントに昇進します。

 シニアコンサルタント

相応にコンサルの専門スキルが身についてくるとシニアコンサルタントに昇格します。マネージャーの指示をうけながらプロジェクトにおける小さなチーム程度を、コンサルタント以下をマネジメントしながら運営していきます。大体5年目〜8年目くらいにあたる職階で、年収は600〜900万円程度というところです。

 マネージャー

出世に差はありますが、多くのコンサルタントはここまでは上がることができます。8年目〜10年目程度で昇格するのが一般的なペースですが、実力次第ではここで止まってしまう方もいます。中規模程度までのプロジェクトのリーダーとなり、プロジェクト全体を管理し、円滑に推進させる役割があります。シニアコンサルタント以下と協調しながら課題解決方法を考え、またクライアントとのミーティングにてその解決方法を実行させます。年収は900万円〜1200万円程度です。順調であれば30代前半ごろ、10年目くらいで年収1000万円に達するイメージです。

 シニアマネージャー

この辺りからいわゆる管理職の色合いが濃くなり、マネージャー以下のコンサルタント全体のマネジメントも行います。プロジェクト群の予算策定をしたり、プロジェクトチーム間の人事調整も一部行います。(最終決定権はディレクター・プリンシパルにありますが、一定の裁量がこの職層にあたえられます)ここに上がれるかどうかは実力次第といったところです。明確に何年目からなれると決まっているわけではないですが、調べたところ最速12〜13年目頃からこの職階に上がる人が出てくるようです。年収は平均で1200万円程度ですが、業績依存性が高まるため、稼ぐコンサルタントの場合は1700万円程度まではアップサイドが目指せるようです。

 ディレクター/プリンシパル

ユニットのある程度の範囲〜ユニット全体のマネジメントを行う、日本企業で言うところの部長〜役員職にあたる仕事になります。また、コンサルファームの場合は営業活動の根幹もこの職層が行い、新しいプロジェクトの立上げや予算の確定を行います。報酬についても基本的には、自分が管理する範囲のプロジェクト収益に依存します。最速では30代後半で上がる事例もあるようですが、40代以降になる人も多いですし、「そもそもここまで上がれない」人が大半です。(感覚ベースですが10%もいません)年収はディレクターが〜2000万円、プリンシパルは2000万円〜といったところで、上限はありません。

 

外資戦略ファームと比較するとかなり出世の速度は緩やであり、年収も同じ職位でも低めです。最速・最短出世を目指すというより地道に力を積み上げたい人に向いているでしょう。

 

スペシャリスト職のキャリアパス


つづいてスペシャリストですが、こちらも特定のユニットに所属するのは同様なのですが、基本的にユニットをまたぐ異動がありません。あるとすればユニット構成自体が変わった場合ですが、この場合も元いたユニットと同じ専門性をもつユニットにスライドするだけです。特定の領域の専門性を徹底的に高めることを期待された部門です。こちらについてはコンサルタント職と比べて事例が少なく、年収レンジも明らかになっていないのですが、コンサルタント職より初任給が(残業代を考慮せずに)10%ほど低いことから、こちらの方が低いと想定されます。また職層を無視した平均年収ベースでは30〜40%程度低いようですので、こちらをもとにすると、年収レンジは下記のようになると推定されます。

 ジュニアスペシャリスト/スペシャリスト

コンサルタントのアナリスト・コンサルタントに当たる職階で、特定の領域において、シニアスペシャリストの指示のもとプロジェクト推進に向けたタスク対応をしながら専門性を磨きます。5年目くらいまでの社員が一般的に属する職階で、年収は〜500万円程度というところです。

 シニアスペシャリスト

自分の専門領域において、プロジェクトにおける意思決定を行います。プロジェクトにおける自身の専門領域のチーム運営を行う場合もあります。コンサルタント職のシニアコンサルタントに当たる職層で、5年目〜8年目くらいで属する社員が多いです。年収は500〜700万円程度と推定されます。

 エキスパート

継続的に働く社員の過半数はここまでは昇格できるようです。8年〜10年目頃にここまで昇格するのが一般的なペースです。自身の専門領域を主体とするプロジェクトの運営を行う、または大規模なプロジェクトにおいて、自身の専門領域を担うチーム運営を行います。年収は700〜1000万円程度で、エキスパートのシニアクラスあたりで1000万円に達するようです。

 シニアエキスパート

自身の専門領域が主体となる大規模なプロジェクトの運営を行う、もしくは当該領域の発展や社内の支援体制の管理・発展を担います。高い専門性と実績を有する一部のコンサルタントだけがこの職階に上がることができます。年収は1000万円前半程度になります。

 プリンシパル/ディレクター

ここは、コンサルタント職の同職階と同様です。

 

公開されているプロジェクト

下記に公開されているプロジェクトの一例を紹介しますが、やはりNEC傘下となっていることもあって、さまざまなクライアントの課題をシステム導入により解決しているプロジェクトが多いと言えます。

 

東北電力エナジートレーディング会社

エネルギー取引・リスク管理高度化による電力取引での収益力向上

https://www.abeam.com/jp/ja/case_study/CS109

こちらは東北電力が電力取引市場での電力卸売買での収益性を高めるために設立された企業です。電力取引での収益を高め、また安定させるために、電力トレーディングを円滑に実行でき、また適切なリスク管理ができるような体制を整える必要がありました。アビームコンサルティングはこのクライアントに「Endur」というアプリケーションを導入し、リスク管理・電力取引能力を強化することに成功しました。

 

パルコ

出店交渉からテナントへの支払・請求までの業務効率化

https://www.abeam.com/jp/ja/case_study/CS104

老朽化した店舗が増えてきていた中、法改正により契約管理厳格化必須となったのを契機に、テナント管理業務の効率化をアビームコンサルティングと共に実行しました。「アビーム不動産ソリューション」を導入することで、テナント管理の業務プロセスを刷新し、効率化と作業工数の削減を実現しました。

 

求められる人物像

続いてアビームコンサルティングが求める人物像についてまとめました。新卒採用の専用ページには下記のようなポイントが求める人物像として書いており、まずはこれが基本となると思われれます。

 

1、自ら考え行動できる人
2、周りを巻き込んで前に進める人
3、チャレンジを楽しめる人
4、負けない人

 

1〜4は全て大切ですが、特に1、2については重視されます。コンサルファームでは常にプロジェクトにおいて、自らの考えを持ち、それを発信することでプロジェクトの遂行に活かすことが求められます。またプロジェクトを進める上では社内のさまざまな人脈を活かすことが求められる局面が多くなりますので、「周りを巻き込む」能力はとても重要です。

 

尚、転職者の場合の「求める人物像」が明記されているわけではないですが、まず大前提として上記4点はより重視されることは間違いありません。その上で、社会人経験の中で蓄積した経験・スキルを判断されるわけです。アビームコンサルティングでは未経験者の採用も積極的に行っています。日本企業とあって、コンサルファームにしては人を育てる風土がありますので、未経験入社でも自分のやる気さえあれば活躍するコンサルタントになることは可能です。

 

未経験者の場合は、前職での職務内容で、自分がどう行動し、仕事に活かしたかを細かく問われます。また、前職のスキルをアビームコンサルティングでどう活かすつもりなのか、という点も聞かれます。他のコンサルファームですと、特に後者をしっかり組み立てておく必要がある傾向がありますが、この会社は前職での経験を細かく聞かれます。アビームコンサルティングに入ってからそれをどう活かすかは、転職希望者がまとめておかなければならないというよりは「一緒に考えていく」という雰囲気です。

 

経験者の場合は、基本的には入り口としては同じ領域のユニットに所属して親和性の高いプロジェクトに従事する入り方が一般的なようです。こちらでも面接では、「現職でどのようなプロジェクトに従事し、どう自分の考えを持って行動したか」は詳細に問われるようです。それを聞いた上で「どのようにアビームコンサルティングで活躍するか」は社員と一緒にディスカッションするという雰囲気です。尚、入り口は同じ領域のユニットですが、アビームコンサルティングはほかのコンサルファームと比較してユニット間の垣根が低いファームですので、入社後ユニットを変えることも可能です。

 

著名な出身者

続いては、アビームコンサルティング出身の著名人について紹介します。

 

古川大輔

古川大輔さんは1974年生まれ、慶應義塾大学理工学部卒で、当初から経営者となることを念頭に、アビームコンサルティングの前身にあたるデロイトトーマツコンサルティングに入社しました。システム導入など、ITコンサルティングを主要領域に活躍しました。Oracle Master、MCSE等のベンダー資格を取得し、ITについてある程度スキルをつけたところで、28歳の時に退職しました。

 

その後経営を学ぶという目的で「公認会計士資格」を取得し、2004年に優成監査法人に入所します。監査業務・財務デューデリジェンスに加え、法人の品質管理向上を促進する活動に従事します。また、その後IPOコンサルティングやM&Aエージェント業務なども経験しました。

 

2007年にクララオンラインのCFOとなり中堅ベンチャーの財務トップとして働きます。その中で「中小企業全般の経営を支援していきたい」との思いから古川総合事務所を開設し現在に至ります。公認会計士事務所と行政書士事務所を兼ねる事務所ですが、単なる監査や法的手続き関連の業務だけではなく、セミナーやコンサル業務を通じて中小企業の経営や立ち上げを支援する業務も積極的に行っています。

 

清水康一郎

清水康一郎さんは慶應義塾大学卒業後、人材系ベンチャー企業を経て転職にてアビームコンサルティングに所属していました。アビームコンサルティングにおいては顧客管理・開拓などをコアとした顧客戦略のプロジェクトに従事しておりました。

 

その後人材育成をビジネスとする「ラーニングエッジ」を2003年に立ち上げます。クライアント自身を独自のコーチング技術で教育したり、またはクライアントの依頼に応じて社員教育や研修などを行っています。2005年にはポータルサイト「セミナーズ」を開設しビジネスマン向けのセミナー・研修の情報発信や広告事業を展開しています。2007年にはアントレプレナーオブザイヤージャパン セミファイナリストを受賞し、起業家としての高い実績が評価されています。

 

社員紹介

続いては、社員のキャリアパスについていくつかピックアップいたします。

 

・新卒でシステム関連会社に入社後、システム導入だけではなくクライアントの課題解決から携わりたいとの思いでアビームコンサルティングに2007年に入社。FSIに所属し保険業界の経営管理システム導入に携わったのち、同クライアントのシステム利用範囲の拡大や決算フローの見直しなど、長期的に同じクライアントの複数のプロジェクトに携わっている。現在シニアマネージャー。

 

・新卒では百貨店のシステム部門で百貨店の基幹システム導入や保守に携わる。より幅広いところでITの知見を活かしたいと考えるようになり、2008年アビームコンサルティングに転職。当初は前職同様の小売業界を担当し、いくつかのプロジェクトを経てデジタルトランスフォーメーションビジネスユニットにてIoTセクターに異動し、さまざまなモノからデータ収集や、データを基にしたソリューション提供を行う等のプロジェクトを担う。現在マネージャー

 

アビームコンサルティングでは中途入社社員の経歴情報が豊富にある一方、新卒についての情報があまりありませんでしたが、上記のように中途でも途中でユニットを移っている例があることから、ユニット間の移動は比較的柔軟に行われていることが伺えます。また、中途入社の社員の多くが前職でシステム関連の業務に携わっているてんも特徴的です。


研修

アビームコンサルティングはコンサルタントを根気よく育てる風土ができていて、研修制度も充実しています。このあたりは実力主義の外資系コンサルタントとは異なる部分と言えます。

 

新人研修

新卒入社した場合は3ヶ月〜6ヶ月程度の研修を行います。社会人としての仕事に対する姿勢とコンサルタントとしての「変革を実現する」能力を身につけます。実際のコンサルタントが、自身の知見や経験を基に実践的なメニューを組み、また講師も行います。大きく分けてCore Training(導入の基本的な研修)→Pre-Assignment Training(プロジェクトアサインに向けたより実践的な研修)→Global Training(いわゆるOJTの側面が強く、海外オフィスの若手社員と協働する)という3フェーズに分かれています。

 

GTA制度

Global Trainingをさらに発展させる若手社員育成制度の一つです。海外拠点での研修を通じて、グローバルに活躍できる社員を育成します。こちらは海外オフィスにOJTの形でグローバルコンサルタントとしての研鑽を積みます。

 

職階別の研修

そのほか、アナリスト〜シニアマネージャーに至るまで多数の職階別の研修と、コンサルタントの知見を補完する任意研修が揃えられております。コンサルタントはプロジェクトの合間でこれらの研修を受けて、スキルや知見を拡大しながら、コンサルタントとして成長していくことが求められてます。

 

中途社員研修

もちろん、中途社員で入った場合も研修が実施されます。こちらは10日間で短期間に行われます。ある程度即戦力になることが期待されている中途社員の場合は、その後はプロジェクトに従事ながら自らのスキルを高めていくことになります。

 

現在の中途社員コース内容
Day1:Consulting Business

アビームコンサルティングのビジネスの概要・行動原則を理解する
Day1&2:入社オリエンテーション

社内規程・各種手続きを理解する
Day3:ABeam Method(基礎)

アビームコンサルティングの方法論の狙いや構成・活用方法を理解する
Day4:プロジェクトマネジメント(基礎)

アビームコンサルティングのプロジェクトマネジメント方法論基礎を習得する
Day5:ロジカルシンキング(初級)

ロジカルシンキングを習得する
Day6:ドキュメンテーション(基礎)

PowerPointを使ったドキュメント作成を習得する
Day7:問題解決(初級)

問題解決のプロセスと思考法を習得する
Day8:インタビュー(初級)

効率的かつ深い情報収集のためのインタビュー基礎を習得する
Day9:TOEIC

語学力向上や今後の英語力向上施策検討のため、TOEICを受験する
Day9:ファシリテーション(初級)

ゴールにスムーズにたどり着けるための会議運営方法を理解する

Day10:コンサルティングスキル総合演習

ケーススタディを通じてコンサルティングスキル習得の総括

 

このように、アビームコンサルティングは他のコンサルファーム以上に研修制度が充実しているのが特徴的です。そこには社員みんなで高め合っていこうとするカルチャーが背景にあります。

 

面接・選考

続いてはアビームコンサルティングの中途入社面接を紹介します。こちらは比較的面接フェーズが短いのが特徴で、実質2回で内定が出ます。またコンサルタントに生きるスキルについては高いレベルで持っていることはそこまで要求されず、前職での「自分なりに考えを持って仕事に取り組んだ実績」や「課題についてまずは積極的に考え、まとめる」態度が求められます。

 

一次面接はマネージャークラスとの面接です。ここまで紹介した通り「前職での自分の働き方」を念入りに確認するため、前職でどのように働いたか、特にどう自分なりに考え、それをアウトプットにした、仕事の結果に結びつけたか、といったことを深く聞かれます。圧迫的ではないですし、その場で考えながら話して大丈夫ですが、繰り返し質問が来ることは覚悟した方が良いです。また、この面接の途中でケースが入ります。ケースの内容は様々なのですが、特徴的なのは、前職自体や前職と同じ業態が題材となることもあります。

 

二次面接はプリンシパルクラスの面接となりますが、こちらを通過すれば早くも内定が出ます。二次面接は変わった部分はなく、引き続き前職で行ったことと、自分なりのコンサルタントでのキャリアプランを話します。おそらく内定の確度にもよるのでしょうが一次面接より圧倒的に雰囲気は柔らかくサポーティブな印象だったという意見が多いです。

 

これらの面接を通過すれば内定となり、内定を受ける場合は次に入社に向けた面談を行います。

 

アビームコンサルティング・コンサルティング業界に転職するには

本メディアとしておすすめする方法は4つです。

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

1.総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

コンサルティング会社は各社特徴があれど「コンサルティング」という業務に取り組んでいるという点ではかなり似ています。アビームコンサルティングだけでなく様々な会社を同時に検討されることをおすすめします。

本メディア読者を対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

 

最初で最後?学生・少人数限定、トークイベントを開催します

私のツイートがきっかけとなり、2/25日の18時から元DeNA人事担当であった鈴鹿竜吾さんが運営されている渋谷のSTART BARで学生対象・少人数限定のトークイベントを開催することとなりました。

 

何故やるのか

基本的に私は中途対象に情報発信をしていたのですが、学生の方から連絡いただく機会も増えておりニーズはあるのかとは感じていました。上のツイートがきっかけで鈴鹿さんからご連絡頂き、何か一緒に出来ないかという話しが盛り上がり開催させていただくこととなりました。

継続的な取り組みにするかは不明ですので今回のみ、という可能性も高いです。

 

何を話すのか

主にコンサルティングと経営についてお話しようかと思います。

事前に以下のフィームに質問をいただければそれにお答えする形で進めることが出来ます。

Start Bar

鈴鹿さんが運営されてる渋谷にあるバーです。

様子はこちらでご確認下さい。

https://www.facebook.com/START-BAR-624861320992024/

 

本職の松本健太郎氏に聞く!データサイエンティストの仕事とは?

こんにちは、今回は何かと世間を賑わせている、データサイエンティストとAIの話です。

世間では「データサイエンティストに転職すると年収が上がる」「AI時代にはコーディングを出来ないと生き延びられない」と言った煽情的なフレーズが飛び交っていますが、実は、「データサイエンティストが毎日何をしているのか」「クライアントは誰で、どんな仕事やサービスを提供していているのか」その実態を正確に理解している人間は少ないやもしれません。

今日はデータサイエンスに関して多数の書籍を出版され、東京大学の松尾豊先生にインタビューを行うなど、データサイエンティストとして精力的に活動されている、松本健太郎さんにロングインタビューを行うことが出来ました。

データサイエンティストとは何か、その実態とまやかし。或いは社会人や学生がデータサイエンスやAIを学ぶには何をどのようにすれば良いのか、その全てがこのインタビューで明らかになります。前編・後編を合わせて16,000字強とかなりボリュームのあるインタビューとなっていますが、お楽しみ頂ければと思います。

f:id:shiningmaru:20190221093840j:plain

 

【前編】

・インタビュー対象者:松本健太郎さんの現職および経歴について

・デジタルマーケティングに限界を感じ、データサイエンスの世界へ

・データサイエンティストとはどんな職業なのか

・データサイエンティストのレベルを測るとしたら

 

【後編】

・AIの現状と問題点、そしてビジネスマンの勉強法とは

・AIとデータサイエンスに共通する「本質」とは

・データサイエンティストを目指して転職するな

既に前編をご覧になった方は後編へどうぞ! 

松本健太郎氏に聞く!データサイエンティストを目指して転職をするな! 

 

 

 

インタビュー対象者:松本健太郎さんの現職および経歴について

 

―本日はよろしくお願いします。まずは松本さんを知られていないブログ読者の方も多いと思いますので、まずは現在の松本さんのお仕事について、簡単に教えて頂けますでしょうか?

 

現在は株式会社デコムと言う、五反田にある企業のR&D部門を統括しています。

 

世間で言うR&D(Research & Development)と言うよりは、社内の独立遊軍的なチームとして、ゼロイチ規模の小さな改善の積み重ねを担当しています。

2018年12月の時点でデコム自体が15人程度のそれほど大きな企業では無いので、改善活動と言うものがどうしても先延ばしになりがちであったと言う傾向もありまして「ひたすら0→1(ゼロイチ)の立ち上げを行う」「1から10に広げる」に取り組む要員として、2018年4月にデコムに参加しました。

 

―デコム社自体が設立された際のコア事業はどのようなものだったのでしょうか?

 

インサイトの発見です。

デコムの代表取締役の大松は大手広告代理店出身です。

通常、デジタルマーケティングのLPO(Landing Page Optimization)の世界では、ABテストなどを用い、ひたすら小さな改善を繰り返してゆきます。

その結果、CVRが0.1%上がる、0.5%上げる・・・と言う改善を狙ってゆくのが通例なのですが、ある日、大松が「CVRを50%上げる方法はないだろうか」とクライアントさんに持ち掛けられたことから、インサイトと呼ぶ、消費者や人間の心理に着目をしたのです。

 

要は、言われるまでは気づかないけれど、言われたら「そう、それが欲しかったんだよ」と言われるような隠れたニーズを見つけ出す、という事です。

 

例えば、コンビニでの支払いを考えます。

今世間はキャッシュレスに向かっていますし、私もその方が便利だと思いますが、消費者の中には未だに現金で支払いを行っている人がたくさんいます。

このケースだと「現金で支払うのは、キャッシュレスで決済をしたことが無いので、その便利さが分からないからである」との仮説が立てられます。要するに「従来のやり方で物事を進めているけれど、新しいやり方を知っている人間から見ると『何て不便なんだろう』と教えてあげたくなるようなケース」が世の中に山ほどあって、それをデコムはインサイトとして捉えて、

このインサイトを発見することをビジネスにしているわけです。

 

―知っている・知らない、の知識のギャップがすなわちインサイトである、と言うことでしょうか?

 

知識だけではなく、インサイトとは、「消費者を動かす隠れた心理」であると定義しています。そんな便利なものがあるんだ、と驚き、それがそのまま「買いたくなる」「使いたくなる」と言う欲求に直結するイメージです。

 

例えば、とあるヨーグルトドリンクがあったとします。大抵の場合は本人の腸内の改善、健康の改善などを前面にPRして販売していますが、でもこの時期(12月)ならば、受験対策としてPRすることも出来ます。要するに「受験生の子ども本人だけではなく、家族が風邪を引く予防にも是非!」と言うアプローチも、考えようによっては効果的なわけです。

受験生にとって、同居している家族から風邪をうつされてしまうことは1つのリスクとして十分に考えられますから。

 

―面白い話ですね! 商品やサービス自体は変わっていないのに、別の角度から光を当てることで別の訴求効果がうまれる・・・と言うことですね。

そのノウハウはどこから生まれたのですか。

 

デコムは2004年に創業しているのですが、創業以来、年100件と言う案件をこなす中で社内に蓄積されたノウハウや手法ですね。

 

―どのような方がクラインアントになるのでしょうか? また、1つの案件に関してどれくらい時間をかけられているのでしょうか?

 

FMCG(日用消費財)系がメインですが、大手の製造業やメディアが顧客になることもあります。あとは近未来におけるテーマ、例えば「東京オリンピックの後に嗜好される商品は何か」などに代表される、かなり秘匿性の高い、かつ具体的な案件を多数頂いております。

 

―そこまで案件の秘匿性が高いと、営業の際に実績のPRが難しいですね。

 

はい。ただ幸いなことに、近年はクライアントさんの方からお話を頂けることが多いので、そこは助かっています(笑)あとは代表の大松が「『欲しい』の本質」と言う書籍を出版したので、そこから興味を持って頂けるケースもありますね。

 

―そこから、ブランディングと商品プロデュースに落とし込んで行くのですね。

 

はい。そこにプロモーション戦略、新規事業開発、新規事業企画なども加味します。

 

―その場合、案件の単価と言うのはどの程度になるのでしょうか?

 

数ヶ月から、長いものになると半年程度に至るものがほとんどで、単価としては800~1,600万円程度です。

 

―ここからは、もう少し松本さんご自身にフォーカスさせて頂きたいと思います。松本さんはデコムに勤務する傍ら、データサイエンティストとして書籍も出版されています。他方、AIに関してもインタビュアーとして数々のインタビューをこなされています。

 

AIに関してはインタビューをする側ですね。

そもそもAIと一口に言っても、「AIとは何か」と言う定義自体が議論の最中にある状態です。例えばPython(パイソン)を使って、Tensorflow(テンソルフロー)でディープラーニングを実装することは出来ますが、AIに関して言えばエンジニアと言うよりは、物書きであると思っています。

 

―別の対談記事などで「もともと数学が好きだった」と話されていましたが、プログラミングやコンピュータサイエンスはお好きだったんですか?

 

いえ、新卒で入ったIT系の企業に営業として入社したのですが、社員数が10数名程度のベンチャー色が強い企業だったので、そこで営業職から技術職に転籍をして、そこからコーディングの勉強をしました。なかなか地獄のような環境でしたが(笑)

そう言ったきっかけで、コーディングは、23歳の時にPHPの学習を始めました。

 

そこからエンジニアとしての経歴が始まり、プログラマー、データベースエンジニアなどを経験しました。そのタイミングで、会社の都合もあり「社内で蓄積されたデータを使用して何かできないか」と言う話があり、データサイエンスを独学で学び始めました。

ただ独学では厳しい部分があったので、多摩大学の社会人大学院に通いました。その結果として、コードレベルでの実装は出来るようになった、と言う感じです。

 

―新卒で入られたITベンチャーは、どのような観点で選ばれたのでしょうか?

 

もともと、小さい会社に行きたい、と言う気持ちがありました。それと、その会社説明会に行った時に、来ている学生の人数より、見学に来ている社員の数が多くて「この会社は暇なのか」と(笑)。面白そうな会社だと思い、入社を決めました。

 

―ベンチャーに行った方が、何でもバリバリできるという発想ですか?

 

そうですね。2006年に就職をしたのですが、当時は第2次のベンチャーブームでした。時期としては、堀江貴文さん(ホリエモン)が逮捕される前で、GMOの熊谷さんもいたし、サイバーエージェントの藤田さんもいて「ベンチャーで仕事しているってかっこいいよね」と言う風潮がありました。

 

―新卒で入社された企業はどのようなサービスを提供する会社だったのでしょうか?

 

ソフトウェアの開発がメインで、柱となる事業は3つでした。具体的には「デジタルマーケティングの効果測定」、「ECサイトを構築するプログラムを、オープンソースで提供する」と「ECサイトの受託開発」と言うものでした。

その中で私は「デジタルマーケティングの効果測定」事業の、開発担当になりました。

 

今でこそアドテックと言う言葉は主流になりましたが、当時はまだ「デジタルマーケティング」と言う言葉自体が浸透していない時代でした。「デジタルマーケティング」と言う言葉だけですごい、と言われるような時代でしたね。

広告の効果測定とするとなった時に、デジタルマーケティングの認知もないし、DSPと言ったツールもなく、純広告かアフィリエイトかリスティングくらいしか商材がなかった時代です。アドテックという単語が登場する前の時代ですね。

 

―そもそもその時代は、アドテックと言う言葉の定義がないですよね? マーケティング自体は古くからありますが、デジタル領域におけるマーケティングはほぼ未開の地であったと言うか。

 

そうですね。その分野のパイオニアの1つかと思います。当時は全然わかりませんでしたが。

 

―敢えてそのような領域を選ばれたのは、ベンチャーの中でも先進的なところに行きたかったと言うことなのですね。「開発兼営業」と言うのは、プログラムを自分で開発して売って・・・と言う繰り返しですか?

 

当時、開発と営業は既に分かれていました。開発になってからは、ひたすらコーディングに明け暮れていました。営業からの修正の要望を反映させたり、新しい機能を作ったり、と言う感じです。

 

―拘束時間は長かったのでしょうか?

 

超ブラック企業でしたね(笑) 朝9時に始業して、22時、23時まで会社に残るような日々でした。サーバー落ちやデータベースの不具合などの障害対応だと、夜中の2時や3時でもばんばんメールが来ます。お風呂の時に気づかないとダメなので、メールが鳴ったら分かるように、お風呂場のドアを開けて入ったりもしました。

 

―当時の年収はいくらでしたか。

 

400~450万円くらいでしたね。大阪の会社なので、東京の8~9割程度の給与水準だったと思います。

 

―その1社目の企業には何年くらい在籍されたのでしょうか?

                                

約11年間です。2007年に入社して、2018年2月に退職しました。

 

―転職をされた際の、環境を変えようというモチベーションは何だったのでしょうか?

 

そうですね。所属している組織と言う部分もありますが、デジタルマーケティングという部分に関して、これ以上は無理かなと思っている部分がありました。

 

デジタルマーケティングに限界を感じ、データサイエンスの世界へ

 

―自分の出せる価値に限界を感じられた、と言うことでしょうか?

 

個人が、組織がと言う話ではなく「デジタルマーケティングと言う行為自体で、提供できる価値というのは、劇的に変化はしないのでないか」と思ってしまったのです。

例えば、色々な商品を売るということに関して、Facebookで宣伝しましょう、Twitterでやりましょうとなった時に、そもそもの商品の質が著しく劣っていたら、どう頑張っても売れません。

広義でマーケッターの人は物を作れているかといったらほとんどの人が作れていません。プロモーションに徹しています。それはマーケティングではなく、単なるプロモーターではないかと思うのです。

そしてそれはデータサイエンスに通じる部分でもあって、基本的に僕はデータサイエンスで世の中をひっくり返せるものはあるかというと、できないと思っている人間です。

 

―では、何故データサイエンスの業界に転職をされたのでしょうか?

 

正直な話、行って分かりました。データサイエンスに対して、色んな人が過大な期待をしている。仮に何らかのデータがあったとして、そのデータより大きい価値はそこから生まれません。

例えば製造業でデータが手元にあるとして「ここから新しいこと何か分かりませんか?」と言う依頼を受けたとしても、分析して分かるのはそのデータの範囲です。

データに書かれていないことが、データサイエンスを使って分かるというのは基本的にはあり得ない。

 

―つまり、顧客は過大な期待をしていて、データサイエンス、AIという言葉が先行していて、最新のノウハウを使えば、自社にあるデータを丸投げするととんでもなく新しい発想がでてくるのではないか、爆発的に売れる商品が開発できるのではないか・・・と、現実とあまりにかけ離れた期待をもたれてしまうと。

 

その通りです。例えば小売店がクライアントだった時の事例なのですが、「商品のカタログの見せ方を変えることで、もっと劇的に売上が上がりませんか? どう、クリエイティブに改善をしたら良いか考えて下さい。」と言うお仕事を頂いたことがあります。しかし冷静に考えて、どう見ても商品の品質が悪い。マーケットのニーズに合っていない。クライアントさんに、その辺はどうですか?と聞いた時に、マーケティング担当の方は「いや、それは僕の仕事ではないです」と。

 

―大きい会社さんですか?

 

比較的大きい会社です。大きい会社なので役割が分担されているというのはあるかもしれませんが、本当のマーケッターはそこをちゃんと直すのが仕事だなと思っているので、そう言った体験から、マーケティングの最上流に行きたいと考えるようになりました。

 

―最上流と言うのはどういう事でしょうか?

 

一番の川上ですね。商品開発の一番の始まり、要するに「商品企画や経営企画と言われている人たちが2年後、3年後を見据えた形を作っている」という現場に行かないとどうしようもないと思いました。

 

―先ほど、データサイエンスでは世の中はひっくり返らないというネガティブな発言がありましたが、その真意としては、日本の組織上の問題、或いは習慣として「マーケッターがプロモーションに徹していて、商品開発・商品企画と言う段階までのフィードバックが十分になされていない。そこに根本的な問題があるから、データだけをいじって提案しても何も変わらない」と。そこに絶望というか、モヤモヤがあるわけですね。その時に上流に行かれたいと思ったと。

 

そうです。それで転職をしよう、と思いました。たまたま現職の創業者の大松とは大学院の同窓生であったので、タイミングと、そのご縁を活かして転職をさせて頂きました。

 

―転職のエージェントを使ったわけでないのですね。

 

はい、使っていません。大松に声をかけて頂きました。

 

―松本さんは既に社会人を10年ほど経験されてキャリアを積まれていらっしゃいますが、その中で大事にしてきた価値観、こういうことは自分のアウトプットとしてこだわってきた、と言うこだわりなどはありますか?

 

大きく分けて2つあります。1つは、仕事を断らない。とりあえずやってみる。やってダメならあきらめる。もう1つは、自分の将来を設計しない。

 

―それぞれについて、もう少し詳しく聞かせてください。なぜそのような考えに至ったのでしょうか?

 

まず「仕事を断らない」と言う話ですが、これは単純で「向いている、向いていないは自分で判断すべきものではない。何か理由があって相手が自分に依頼しているであろうし、得手不得手はあるにせよ、やってみないとわからない」と思うからです。

 

―社会人だとプロジェクトを抱える数とか負荷は変動するものだと思います。120%くらいの負荷がかかっている時に、さらにもう1件仕事をお願いします、と言われたら、正直な話、結構うんざりしますよね。そういう時でも断らないのでしょうか?

 

断らないです。

 

―現実問題として、どのように対処するのでしょうか?

 

残業するか、土日に出るしかないですよね。

 

―時にはプライベートを犠牲にしてまで断るべきではない、と。

 

そもそも、僕にはプライベートを犠牲にするという感覚がありません。

プライベートと仕事を分けた感覚がない。

 

―そこは自分の仕事はアウトプットとか評価にこだわりたいからですか。

 

単純に評価されたいという思いはありますが、仮に土日はプライベートだとして、そこで何をするんですか。家でゴロゴロするくらいなら、仕事を通じてスキルや経験を得られるから、それはそれで良いと思います。だから、あまりプライベートを犠牲にする感覚が無いのですね。

 

―メディアアーティストの落合陽一さんが「ワークアズライフ」という考え方を提唱されていらっしゃいます。彼はお父さんが作家でハードワークだった。並外れたアウトプットを出すためにはとことん時間を削ってやらなければいけないんだ、という話をされていましたが、それに近いものはありますか。

 

先日、田原総一朗さんにインタビューをさせて頂いたんです。その時に彼が「趣味はなぜできたか」と言う話をされていました。要は、仕事がつまらないから、人生が面白くないから趣味で釣り、野球、余暇が出来たと。私自身も仕事がつまらないと思ったことがあまりないので、そういう意味ではプライベートを犠牲に、という感覚はないです。

 

―それでは逆に、松本さんにとって、仕事の楽しさとは何ですか。

 

世の中を動かしている感じ、ですね。結局、前職で商品やサービスを作っていた時も、全てでは無いにしろ、確実に日本のデジタルマーケティングの歴史を動かしていたという自負がありました。自分の仕事が、歴史を作っていると感じられる瞬間と言うのはやはり、ワクワク感があります。

 

―自分が開発したサービス、プロダクトをお客様に使って頂いて価値が生まれたら、世の中回っているよね、とそしてその発信の大元には自分がいたら嬉しいよね、という感じなのでしょうか?

 

そうですね。

 

 松本氏の最新作はこちらです!

データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

 

 

データサイエンティストとはどんな職業なのか

 

―ここからは、このインタビューを通じて、データサイエンティストと言う職業について、松本さんに解説をして頂きたいと思います。そもそも、データサイエンティストという職業はどう言ったものなのでしょうか?

 

データサイエンティストとは、データリテラシーを持って仕事をしている人たちのことだと思います。

 

―データリテラシー、つまり、データを読み解く能力ということですね。

先ほど「クライアントからデータを貰って読み解ける情報には限界がある」とおっしゃっていましたが、リテラシーの高い低いで、読み解けるレベルに差が出るのでしょうか?

 

出てくると思います。少なくとも、ちゃんとしているデータサイエンティストは「どのデータがあって、本来ならどのデータを取らないとならないか。そして今手元にこのデータが無いですよね」と指摘が出来ることが必要です。

 

―データを利用した分析の全体的な流れ、脳内イメージのようなものがあって、データを提示されたとしても、これだけでは十分じゃない、と指導できるという事ですね。

 

そうです。

 

―そもそも、なぜこんなにデータサイエンスに注目が集まっているのでしょうか?

ビッグデータと言う概念や、その活用方法に注目が集まったことが大きいのでしょうか?

 

そうですね、ビッグデータですね。ビッグデータがあって「このデータはどう活用したらいいんでしょうか」となったと言うタイミングで、Googleが「データサイエンティストはセクシーな職業なんだ」と言い始めて、そこで社会的な認知が高まったのだと思います。

 

―先ほど、データサイエンティストの存在意義はデータを分析することに留まらず、「データがないことを指摘すること」や「商品開発に落とし込むこと」である、と仰っていましたが、実際にデータサイエンスを仕事とする上で、楽しいことや辛いことと言うのは、どう言ったものになるのでしょうか?

 

ほとんど、辛いことが多いですよ(笑) データサイエンティストと言う仕事自体を、理解されないですから。みんな、魔法使いと思っているじゃないですか。

 

―言葉が一人歩きしちゃったが故に、何でもできる魔法使いみたいに思われてしまうと。期待が大きすぎるという事ですか。

 

そうですね。まわりの期待が大き過ぎていますね。クライアントさんから「こういうことを考えていますが、何とかしてくれませんか」と言うお話を頂いた時に「データサイエンスが役に立てるのは、こことここまでです」と言う話をすると、「え、そこまでですか・・・」という反応が出てしまう。その反応自体にはもう慣れましたが、やはりその部分は残念に思います。

 

―データサイエンスと言う一種のバズワードに飛びつく前に、クライアントサイドも、もっと勉強して欲しい、という事ですね。ただそうは言っても、ビジネスですので受注はしなくてはいけない。

 

そうですね。前職の時もそうでした。

 

―クライアントさんに「もっと勉強をしてくださいね」と言いたくても、なかなか言えませんよね。

 

だから、翻訳するしかないです。相手が理解できる言葉に翻訳するというのもデータサイエンティストの仕事なんだなと思います。

 

―データの分析そのものがつらいというよりも、言葉が一人歩きしていて過大な期待を押し付けられてしまうことが残念である、と。

 

単純に面倒ですよね。相手の誤解を解くことがなぜ私がしなくてはいけないかと。

 

―クライアントサイドの勉強不足でしょう、と。

 

そんな感じです。

 

―逆に、日本や海外で、実名でこんなデータサイエンティストがすごい、と言うような方はいらっしゃるのでしょうか?

 

難しいですね。日本の国内だと「統計学は最強の学問である」を書かれた西内啓さんもすごい方ですし、滋賀大学の河本さんも有名な方です。

 

―事例としてはどうでしょうか? ビジネス系の雑誌などの記事では「データサイエンスがすごい」と言うような記事を目にしますが、実際のビジネスの現場で圧倒的な成果を出した、と言うような事例はあるのでしょうか?

 

成功事例自体はそれかしこにあると思います。あると思いますが、ギャップがあるかもしれません。「データサイエンティストがいれば売上が大幅に改善する」と言うような言われ方をしてしまいますが、データサイエンティストはあくまで分析するだけの人間なので、分析を活かして売上改善のオペレーションを実行している部隊がいるはずなんですね。

だから売上の改善をデータサイエンティスト1人が成し遂げたわけでは無いですし、売上改善の複数のオペレーションが、全て当初の予定通りに進むなんてこともないわけです。

データサイエンスだけの力だけではなく、恐らく実際はチームの力なんだろうな、思うことはよくあります。

 

―どちらかというと、コンサルタントの方が持つ悩みに近いかもしれませんね。本当に良いレポートを書き上げ、良い提案をしてもクライアントサイドで都合の良いように解釈をされてしまったり、あとオペレーションの問題で提案が実行できなかったなど。

 

そういうイメージです。

 

データサイエンティストのレベルを測るとしたら

 

―データサイエンスの初学者向けに、データサイエンティストの実力を測る指標みたいなものを提示するとしたら、やっぱりリテラシー、読みとく力という事になるのでしょうか?レベル1、2、3とあって、レベル1が初心者、レベル3がエキスパートだったら、どういうイメージですか。

 

リテラシーに尽きますね。レベル1、要は初心者というのは、相手の言っている事や、提示されたデータをそのまま信じてしまう人です。

 

―疑う能力がないと。

 

レベル3は、相手の言っている事やデータをそのまま鵜呑みにせずに、実際の現場に行き、ああそういう事ね、と現場で納得を出来る人。つまり、現場に足を運べる人だと思います。

 

―なるほど。レベル2はその間ですね。

 

そうです。

 

―ただ、現場に行くという事は、業界の専門知識がないと厳しい部分がありますよね。業界別のデータサイエンティストと言うのは、あるのでしょうか?

 

あると思います。業界に詳しい人が当然できるのだと思います。要は、データとして上がってきた数字に対するラベル付けみたいな話です。僕は製造業のことは全然詳しくないですし、製造業特有のこともあるかと思いますが、それは勉強をすればと思います。

 

―松本さんご自身としては、デジタルマーケティングに特化されたいという思いがあるのでしょうか?

 

あまりこだわりはありません。幅広くやりたいと思っています。

 

―ところで、データサイエンティストのトップクラスの方と言うのは、どこにいらっしゃるのでしょうか? 一般企業なのか、シンクタンクなのか、大学なのか・・・。

 

企業が多いかもしれないですね。例えば、航空関係とか、大手飲料メーカーとか、大手の企業に所属されていらっしゃる方が多い印象ですね。

 

―大企業のマーケティング部門にいらっしゃると言うことでしょうか?

 

退職されましたけれど、元USJの森岡 毅さんも、現職のマーケティング企業を設立するにあたって、元P&Gの今西 聖貴さんと言うトップクラスの数学者連れてきました。色々なマーケティングソリューションを提供されていらっしゃいますが、基本的なベースとしてはデータサイエンスがありますよね。

 

―データサイエンティストとして名前を売って年収を上げていく、というより大企業の中でデータを使いアウトプット、成果を出していくというのが、結果的に年収も上げていく、と言うことになるのでしょうか?

 

大企業の中でと言う方が一般的だと思います、現段階では。

 

―松本さんご自身の将来像としては、今年デコムさんに転職されましたが、5年後、10年後にどうなりたい、と言うイメージはありますか?

 

あります。デコムが注力しているインサイトの領域において、国内・国外を問わず、インサイトをベースにしたデータサイエンティストは居ないと思っています。海外の、いわゆるマーケティングリサーチでも、データサイエンスは重要視されていますし、日本の市場においてはそういう方はほとんどいらっしゃらない。だからこの領域で10年やれば、さすがに第一人者になれるだろう、とは思っています。

ただ、さきほど価値観の話がありましたが、基本的に将来設計はしないタイプですので、そういう感じになればいいな、くらいの感じです。

 

―なぜ、将来設計をしないのでしょうか?

 

する意味がない、と思っています。将来がどうなるかわなんて、誰にも分からないじゃないですか。

将来の夢を思い描くという事は、自分のその他の可能性を捨てるという事だと思っています。向いているか、向いていないと言うのは40歳くらいになればなんとなくわかるかなと思っています。

 

 

それでは後編へどうぞ! 

松本健太郎氏に聞く!データサイエンティストを目指して転職をするな! 

 【後編の内容】

・AIの現状と問題点、そしてビジネスマンの勉強法とは

・AIとデータサイエンスに共通する「本質」とは

・データサイエンティストを目指して転職するな

 

【参考情報】

 

 

松本健太郎さんのFacebookアカウント

https://www.facebook.com/kentaro.matsumoto.0716

 

松本さんの最新刊

「データサイエンス『超』入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい」 (毎日新聞出版)

 

データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

データサイエンス「超」入門 嘘をウソと見抜けなければ、データを扱うのは難しい

 

PwCコンサルティングに転職するための基礎知識

 

この記事では、巨大総合系コンサルファームの「Big4」の一角であるPwCの日本法人にあたるPwCコンサルティングを紹介します。公開情報だけでなく、実際に在籍していた社員の話を元にPwCコンサルティングの実態に迫ると共に、PwCコンサルティングに転職するためのポイントについても説明します。

f:id:shiningmaru:20190209163857j:plain

 

 

PwC・コンサルティング業界に転職するには

まず元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森 さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談!  

会社概要

PwCコンサルティングは、Big4の一角であるPwCネットワークの一員です。PwCは各国のネットワークについて資本関係はありませんので、いわゆる「親子会社、関連会社」の関係ではありません。敢えて親子関係や資本関係をもたないからこそグローバルにつながったネットワークを「プロジェクトや業務内容」に合わせて柔軟い活用し合いながら成り立っています。

 

PwCの日本法人グループは「PwC Japan」としてさらに緊密に連携しあっております。税理士法人・監査法人等さまざまな企業が含まれますが、その中のコンサルティングファームがここで紹介する「PwCコンサルティング」です。

 

PwCコンサルティングは単体としては社員1700人程度ですが、上記のPwC Japanや22万人以上のスタッフ要するPwCのグローバルネットワークを活用しながら、フルラインナップのコンサルティングサービスを行なっております。社内はフリーアドレスになっていて必要に応じて必要な形で社内のメンバーと連携しながら、PwC Japanはもちろん、全PwCネットワークの社員にアクセスできるようになっています。プロジェクトの特性に応じて適したメンバーとコミュニケーションをとり、必要に応じてプロジェクトチームを立ち上げてコンサルサービスを提供しています。

 

企業構成が頻繁に変遷するのですが、現在は総合的なコンサルティングサービスを「PwCコンサルティング」が、FASやM&A、事業再生といった買収・売却案件を「PwCアドバイザリー」が提供しています。両社もまた必要に応じて協力し合いながらプロジェクトを推進します。

 

PwCコンサルティングは、PwCアドバイザリーの管轄以外のコンサルティングサービスは全て実施する、いわゆる総合コンサルファームです。上記グローバルネットワークを巧みに活用することで、幅広い案件に対応できる体制が整っているのが、PwCコンサルティングの大きな特徴となっております。

 

沿革

PwCコンサルティングは、「Big4」世界四大会計事務所の一角からの流れを受け継いだファームですが、その組織は時代の流れとともに頻繁に変遷しております。90年代までは監査・コンサルティングを一つの法人で行なっていましたが、エンロン事件を契機に両機能を分社しました。このあとしばらくは、PwCは一度IBMにコンサルティング部門を売却し、ごく限定的なアドバイザリー業務に特化していましたが、やがてコンサルティング部門の再建に着手します。

 

「べリングポイント日本法人(本体が2009年に倒産)」がPwCに合流したタイミングで、「プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント」となり、コンサルティングサービスを拡大して行きます。2010年には「PwCアドバイザリー」、「プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント」、「プライスウォーターハウスクーパースHRS」の3社が合併し「プライスウォーターハウスクーパース」となります。これにより現在で言うところの「総合コンサルファーム」の形を取り戻しました。

 

その後も複数のファームを吸収して行きます。特にポイントとなったのが2016年には戦略コンサルファームの一角であった「ブーズ・アンド・カンパニー」の統合で、このセクションが現在の「Strategy&」となります。やがて「Strategy&」を統合する一方、ディールアドバイザリー部門が「PwCアドバイザリー」として分社化し、「PwCコンサルティング」という総合コンサルファームになって今に至ります。

 

Strategy&は、現在ではPwCコンサルティングの中の戦略コンサルタントチームとして残っています。ここについては採用も別に行なっておりますが、あくまでPwCコンサルティングの中に内在する組織です。このように、PwCコンサルティングは、Big4の一角を核としながらも、時代やその時々の経営戦略に従ってフレキシブルに組織体を変えながら今に至っているコンサルファームです。

 

組織

続いては、PwCコンサルティングの組織構造について紹介します。PwCコンサルティングの実際にコンサルティングプロジェクトを実行する組織は、産業別の「インダストリー軸」のチームと、解決する課題の内容による「ソリューション軸」で分けられたマトリクス状の組織となっております。

 

さて、それぞれの軸のチームの内訳ですが、細かいチーム編成はしばしば変化するので、以下は2018年12月時点のものである点は留意しておいてください。たとえばつい数年前までは「MICE」(一般製造業・一般消費者向けサービス)、「TICE」(テクノロジー関連など)といった区分けがありましたが、既に再編されています。現在のそれぞれのチーム構成は下記の通りです。

 

インダストリー軸

  • CIPS:自動車関連、重工業系、商社、流通・小売、エネルギーセクター
  • TMT:テクノロジー企業(ハイテク関連メーカー含む)、メディア・エンタメ、通信会社、IT企業、ベンチャー関連
  • FS:金融業界専門
  • HIA:ヘルスケア業界専門、実質的には製薬会社の案件が多い
  • PS:政府系機関

 

ソリューション軸

  • Strategy Consulting(SC):先に紹介した「ブーズ・アンド・カンパニー」に由来する組織、Strategy&がここにあたり、いわゆる戦略案件を専門に扱います
  • Management Consulting(MC):幅広いジャンルの課題解決を行います。更に専門性によって4つに分かれています
    • オペレーションチーム:SCMを専門に扱う
    • カスタマーチーム:営業・マーケティングを扱う
    • P&Oチーム:人事組織を扱う
    • PMIチーム:M&A契約締結後の組織統合の推進を意味する「PMI」を扱う
  • Technology Consulting(TC):こちらはデジタル関連のチームでIT関連のプロジェクトやデータ解析、テクノロジーを用いた業務効率化などといった案件に対応します。現在は更に3つのチームに分かれています
    • TAS:ITコンサルティングチーム
    • D&A;データアナリティクスチーム
    • D&DT:デジタル関係の専門チーム
  • Risk Consulting(RC):様々なリスク対応に関するプロジェクトを扱います。足元では地政学リスク対応やフォレンジック業務(不正調査、過去データを基にした事実関係調査)などのプロジェクトが多いです

 

実際のプロジェクトでは、そのプロジェクトの特性に従って上記チームの必要な専門家が適宜配備されます。「プロジェクトそれぞれがどこか特定のマトリクス・チームに属する」という概念ではありません。またプロジェクト途中でフェーズが変わってこれまでとは異なる専門家が必要になれば柔軟に新たなチームのメンバーが参画したりします。

 

キャリアパス

続いてはキャリアパスですが、基本的には上記の1つの専門チーム内で出世していくのが一般的です。ただし先に説明した通り全社的なチーム構成が変遷することはしばしばあり、その場合は旧来属していたチームと同様の専門チームに遷移します。

 

職位は次の通りになります。

①アソシエイト

最も下位の職位となります。学部卒での新卒入社の場合や、中途採用で前職の年収が600万アラウンド以内ですとこちらの職位になります。(特筆すべきスキルがある場合はこの限りではありません)マネージャー〜シニアアソシエイトの指示のもと、細かい資料作成や雑務全般などをこなします。ミーティングでは議事録作成が役割として与えられることが多いです。年収は初任給525万円〜800万円程度に収まります。

 

②シニアアソシエイト

続く職位で、ここまではプロモーションできる人が多数派です。新卒であれば3年目〜8年目くらいの方が在籍しています。未経験でも年収が800万アラウンド程度あり、スキルが認められればこの職位から始まります。アソシエイト同様細かい資料作成なども行いますが、徐々にミーティングの運営、クライアントとの細かい交渉事などを任されるようになり、対外的な存在感が増していきます。上の方のランクになってくると、徐々にアソシエイトに指示出しをしながらプロジェクトの中の小さな1チームを運営する立場になっていきます。年収は800〜1000万円弱位です。

 

③マネージャー

概ね最速6年目程度以降の方が在籍しています。厳密なくくりではないですが、30歳で既にここに昇格しているかどうかが順調かどうかの基準となります。中途の場合、ここからは未経験からの転職は、前職で際立ったマネジメント経験がある方などに限定され、実態としてはコンサル経験者採用が多くなってきます。プロジェクト内の一チームの運営〜プロジェクト全体の運営を行います、但し財務権や人事権はなく、人を入れ替えたい、増減したい、予算を増やしたいと言った際は上のシニアマネージャー・ディレクターに進言する構造となっているのが一般的です。年収は賞与次第ですが、マネージャーなりたてではギリギリ1000万円に届かない例もあり、900〜1300万円というところです。

 

④シニアマネージャー

シニアマネージャーに昇格するまでは最速でも10年程度というところですが、そもそもここまで上がれる人が少数派で、30代後半で上がれていればキャリアとしては順調という印象です。

 

大きめのプロジェクト全体を管理するか、人によっては複数のプロジェクトを統括している場合もあります。特に一クライアントで複数のプロジェクトが走っている場合などは、いくつかを合わせて管轄していることが多いです。またこの職位から人事権・財務権の裁量をある程度与えられていて、プロジェクトメンバーの調整や、予算管理なども行います。年収は1300〜1800万円程度です。

 

⑤ディレクター

ディレクターは最速15年程度で上がれますが、特に優れた実績のある方が達する職位で、殆どのコンサルタントはここに到達しません。従って、年齢に関係なく、到達できさえすればキャリアとしてはある程度成功といえます。年収は1500〜2000万円という水準です。職域はシニアマネージャーの仕事に加え、クライアントからの案件獲得活動にも参画します。

 

⑥パートナー

ここへの到達は完全に実力次第となります。パートナーの主な仕事は営業活動で、クライアントに新たなコンサルプロジェクトを提案し受注します。また進行中のプロジェクトにおいて、トラブルが発生した時、プロジェクトの方向性が大きく変わる時などでトップクラスの折衝が必要な際も対応することがあります。年収は最低で2000万円程度であとは自分の傘下のプロジェクトの収益、案件獲得状況次第です。

 

プロモーションのタイミングは大きくばらつきがありますので、あくまで目安程度に捉えて下さい。PwCコンサルティングの場合、「解雇」となる例は多くなく、最下職位の「アソシエイト」でよほどパフォーマンスが悪い場合に限定されます。それ以上の職位でパフォーマンスが悪い場合は「降格(ディモーション)」があるだけです。それでも途中で辞める人が多いのは、ポジティブであれネガティブであれ、自分から仕事を探して転職してしまうからです。一概には言えませんが、次の魅力的な仕事が容易に見つかる人が多いのです。

年収について詳しい情報はこちらに書きました

コンサルタントの給与・年収・キャリアは?

公開されているプロジェクト

続いては、PwCコンサルティングにて公開されているプロジェクト事例をいくつか紹介します。特にPwCグループの柔軟なチーム・ナレッジの活用という特徴が生きているプロジェクトをピックアップしました。

 

三菱自動車工業株式会社「経理財務高度化プロジェクト」サポート

https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/mitsubishi-project.html

日産自動車との業務提携後に、提携による日産・ルノーとのアライアンス効果を最大限引き出すために、経理・財務の機能をブラッシュアップすべく推進されたプロジェクトです。IFRSの導入、グローバル組織の統制強化、管理会計の迅速化といった3つの課題を軸にPwCの参画によりスピーディな改革を実現しました。こうした多面的な対応を要するプロジェクトは、総合的ファームの中でもとりわけ幅広いナレッジをもち、柔軟にチーム編成が可能なPwCの得意とするところです。

 

人工知能未来農業創造プロジェクト

https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/agriculture-project.html

こちらは農林水産省委託のプロジェクトです。植物生育の把握、作業者の見える化により、労働時間の削減を目標としています。また、ここにAIを導入することで、栽培の高精度化、労務管理システムのサービス化(=他の農業主体へも導入できるように整備すること)を目指しております。当プロジェクトもPwCコンサルティングが核となりながら、メンバーファームのPwCあらた有限責任監査法人、愛媛大学など7法人が参画しているなど、PwCグループのナレッジ活用の柔軟性が活かされたプロジェクトとなっています。

 

求められる人物像

PwCコンサルティングは特にシニアアソシエイトまではポテンシャルベースでの採用を積極的に行なっており、コンサル未経験からでも充分チャレンジ可能です。未経験の場合は旧職での知見や問題意識、それらを素地にコンサルタントとしてどう生きていく(案件に貢献していくか)を整理していることが求められます。また、未経験を豊富に採用する一方、キャッチアップに対する要求は非常に厳しいので、積極的に学んでいく姿勢と対応力が必要です。

 

また、社内の人脈を積極活用するコミュニケーションスキル・交渉スキルや、社内に蓄積したナレッジを上手く目の前の問題の解決策に応用する能力が求められます。一方、英語力に対する要求は、クロスボーダー案件参画を前提としている等でなければ、外資系としてはそこまで高くありません。TOEIC700点クラスでも充分入社可能です。

 

コンサル経験者の場合は、応募チームと前職での経験プロジェクトの親和性があると、チームでの貢献がアピールしやすく優位と言えます。異なるタイプのチームを希望している場合は、勘所は未経験の場合と同じく、異なるタイプでありながら前職の知見をどのように活かせるか、を如何にアピールするかがポイントになります。

 

現在コンサルティング業界は活況であり人材不足のため積極的に未経験者を採用しています!

 

 

 

社員紹介

続いては、社員のキャリアパスについていくつかピックアップいたします。

  • 新卒入社、HCチームに配属され、様々な組織再編プロジェクトに参画。時にはPMIの一プロジェクトに加わり、統合後の組織設計を行う、現在はチーム名が変わりP&Oチームに属するが、取り扱う領域は同じ。現在8年目でマネージャー

 

  • システム関連会社から転職、FSに所属し、金融機関の大規模なシステム更新プロジェクトや異なるシステムの統合プロジェクトなどを手掛ける。現在社会人15年目、転職6年目でシニアマネージャー

 

  • 証券会社から転職、Strategy&に所属し企業の経営戦略の策定プロジェクトをいくつか経験。財務に関わるプロジェクトが多く、その一例として、事業会社の最適資本戦略とその達成のための事業再編など。社会人6年目で、現在シニアアソシエイト

 

このように新卒の場合は概して同じ機能のチームに属することが多いです。またコンサル未経験の転職者については、前職のバックグラウンドを生かしたプロジェクトにて知見を生かすことで成功していく事例が多いと言えます。

 

研修

入社時には全体の研修→チーム別研修がありますが、1週間程度で全て終わります。だいたい3日程度がPwC自体のマインドセットを理解したり、事務手続き対応、2日程度が座学でのコンサルティングにかかる基礎知識、2日がグループワークというところです。ここも頻繁にメニューは変わるようですので、あくまで一例といて捉えておいてもらえればと思いますが、いずれにしてもかなり短期間のうちにアサインが決まりプロジェクトに参画します。

 

入社後はオンライン、座学、グループワークと多種多様な研修が設定されており、各々時間を見つけながら希望して参加していきますが、ここが評価にプラスになると言ったようなことは一切ありません(むしろプロジェクトを阻害しないように徹底的に配慮することが求められるのが一般的です)。あくまで自己研鑽として臨むものとなります。

 

 

面接・選考

チームやその時々、特にパートナーの意向により変化しえますが、転職者の場合は、面接は3ー4回ですが、最後は人事面談でここは事務連絡や入社意思確認に近い性質ですので、選考としては書類+2ー3回の面接となります。

 

書類審査は一般的な職務経歴書の提出です。ここで大幅に落とされるということはありませんが、前職の経験や知識を入社後どう活かすかを論理的に記入することが求められます。特に経験者の場合は、具体的にどのようなプロジェクトに参画したいかまで踏み込んでまとめることが推奨されます。

 

一次面接ですが、PwCコンサルティングの特徴として、最初にパートナーと面接します。ここでそもそもチームの採用候補として相応しいか判断されます。職務経歴書を元に、どのような仕事をしたいか、前職の経験をどう活かすかといった考えを聞かれます。ここの厳しさはチームの人繰り状況や最終的な人事権を握るパートナーのセンスによってきますが、コンサルとしてのベースとなるスキルの高さよりは「どう働きたいか」というビジョンの明確さと合理性の方が重要です。

 

二次〜三次は同日に2人実施してしまう場合と、バラバラで行う場合があります。また、基本的に一つがケース面接で、片方は普通の面接です。面接としてはこのケースではない側の二次面接(順番がケースバイケースなので「三次」に当たる場合もあります)が最も厳しいです。やる気やキャリアビジョン、前職の経験が「いかにPwCコンサルティングに役立つか」をロジカルに説明することが求められると共になんども質問への回答を求められます。ディスカッション能力、質問に対する対応能力も見られているようで、論理的に飛躍や矛盾があるとそこをすかさずついてきます。

 

また、基本は日本語で面接しますが、突如英語での会話を求められる場合があります。こちらも本気で英語力を試しているというよりは、急な変化への対応力を見ている側面が強いです。

 

ケース面接については、コンサルでは比較的一般的に行われているものですが、あるトピックの「現状」を推計した上で、ある「ゴール」を達成するためにはどのような対応をすべきかと言ったお題が与えられます。例えば、「とある鉄道事業の利用者数」を推定し、「それを1.5倍にするにはどうすればよいか」といった具合です。全て一人で行い回答した後、回答内容に対する質問、講評があって終了です。

 

続いては人事面談なので上記までの選考をクリアすれば内定は目前です。意思確認や事務連絡に近く、普通に対応すれば大丈夫です。

面接の順序はファームの状況によって異なるようです。以前はパートナー面接は2回目で、最終は人事というケースもありました

面接対策についてはこちらをご参照下さい

PwCに転職するには

元PwCで人事を経験されたリネアコンサルティングの大森さんに相談することを強く推奨します。元人事であり、コンサルティング会社への豊富な転職支援経験をお持ちです。

相談は以下のリンク下部のフォームに情報を入力して下さい。

総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談! 

他にも求人を広く見たいかたは以下の方法がおすすめです。

1. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

2.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

 自分がエージェントに求めるものがはっきりしてきたら、徐々に専門性の高いエージェントに会うのもよいでしょう。『BIZREACH(ビズリーチ)』では自分の経歴と希望を登録しておくとエージェントからスカウトが届きます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

3. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

このメディアを対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

 

総合系コンサルティングファームに強い転職エージェント リネアコンサルティング・大森 崇氏

コンサルティング会社へ転職したいがどの会社がよいのか、どうすれば面接に通るのか、今転職すべきなのか分からない。そういった悩みを持たれている方も多いかと思います。

 

今回はデロイト、KPMG、PwC、アクセンチュア、クニエ、シグマクシスなど総合・IT・ブティック系コンサルティングファームへの紹介に多数の実績を持ち、ビズリーチやリクルートなどから多数表彰経験をお持ちのリネアコンサルティングの大森崇さんにお話を伺いました。

記事の最後に直接面談を申し込めるフォームをつけておりますので、是非すぐに転職、という場合でなくても面談を申し込んでみて下さい。

私の仕事柄、様々な人材エージェントに会うことがありますが大森さんほどコンサルティング業界に精通しており、かつキャリアについても転職候補者が安心して相談出来る人は殆ど会うことはありませんでした。

面談でもよいアドバイスおよび支援が得られるかと思います。

f:id:shiningmaru:20190207072321p:plain



 

近年コンサルティング業界への転職・採用に変化がある

--この5,6年でかなりコンサルティング業界の採用トレンドが変わったと認識しています。最近のトレンドはいかがでしょうか。

 

コンサルティングの業務領域がかなり多様化してきています。昔であれば中期経営計画やコスト削減、業務改善やERPの導入、などが主流でしたが、現在はデジタル系、AI、新規事業、クリエイティブなど多岐にわたります。それに伴って様々な専門性を持った人材が必要となっているというのが現在の状況ですね。

コンサルティング業界は本当に人手不足で、適正があれば採用のハードルをかなり下げて採用しています。

 

今までのように画一的な採用と教育ではままならなくなっており、シニア・若手・異業種からも採用しなければならない状況にありどこのファームも採用に苦労していますね。

 

 

私がファームにいたときも従来は採用されていなかった経歴の人が多く採用されるようになりました

 

--何故このような変化が起きたのでしょうか

 

マーケットがコンサルタントに求めるものが変わったからだと思います。

昔のように一握りの戦略コンサルタントが絵を書くだけでなく、戦略の実現支援まで求められるようになったため、多種多様な人材を一定の規模で確保する必要性が生じたというのが理由だと思いますね。

 

--異業種からの転職ですと、どのような事例や採用ニーズがあるのでしょうか

 

例えば学生時代に起業し、そのままベンチャーで若いうちから苦労してきた方。ゼロをイチに変える力や目標に向かって邁進する力の強い方、他にはギークなエンジニア、広告代理店のクリエーター、会計士・税理士、そういった方へのニーズが高まっています。本当に多用ですよね。

また、営業の企画をやっていたというわけではなく、組織の中で営業担当として仕事をしていた方でもチャンスがあるのが現在の状況です。

 

--未経験からでもコンサルに採用される人とそうでない人は何が違うのでしょうか

 

日頃から問題意識を持ち、改善するためのPDCAを回してきた方などは採用される可能性が高いと思います。

これは難しい話ではなく、自分の仕事において疑問に感じたことを、どうすれば良くなるか、仕事が楽になるかを考えて、実際に行動していた方などはコンサルに向いていると思います。

あとは、自分が何故コンサルになりたいのかが腹落ちしていることが重要です。

なんとなく格好いいから給与が高いから、という漠然とした理由ではなく、コンサルタントの厳しさなども知った上で、具体的にこういった仕事がしたい、将来こうなりたいといビジョンがあるか否かですね。面接官もその人のポテンシャルを見極めるためにこの点は重視しています。

 

--例えばどういった転職事例があるのでしょうか。

 

そうですね、例えばベンチャーで音響の技術者だった人の例があります。技術者ですがビジネスの視点を持っており、どうすれば商品が売れるかを日頃から考え、試行錯誤していた方がいました。

面談に来た際には必ずしもコンサルを意識していた訳ではなく、自分の技術を使って事業会社で商品開発や事業開発を行いたいと仰っていましたが、最近のコンサルファームは幅広いソリューションに触れられること、また、最近は自ら事業開発を行ったり、JVを設立してビジネスの展開が図れることなどを伝えたところ興味を持ち、その後、コンサルタントとしてのキャリアビジョンが明確になったということで、最終的にはコンサルティングファームを選択されました。現在は大手監査法人系ファームに入社し活躍しています。

このように、技術職から直接コンサルに行くという例は今までですと殆どありませんでしたが、現在の採用トレンドではこういった事例も珍しくありません。他にも宇宙工学を勉強していた人でアルゴリズムやデータ解析に詳しい人なども採用していますね。

 

 

以前から研究者出身(例:大前研一)はおりましたが、近年では技術・開発者出身も見られるようになりました

 

--技術系の人は他にはどのように知見を活かすのでしょうか

 

例えば大企業が技術開発をする際、自社のリソースや知見だけでは限界があるため、他社とどのように提携すればよいかを技術的な観点からストーリーを作るなどですね。今までのコンサルタントは方法論に則りプロセスを進めることには長けていますが、ゼロをイチに変えることが出来る人は少なく、それを技術的な知見を持ちながら出来る人は非常に求められていると思います。

 

転職時の面接・選考での自己アピール方法

--新卒と中途で採用時に見る要件は違うのでしょうか

 

新卒ですと仕事自体未経験なのでパーソナリティを中心に適正を見極めるしかありません。

逆に中途の場合は、スキルや経験のチェックが中心になります。よって、「論理的思考が出来ます」のようなパーソナリティ面をアピールするのではなく、業界、業務知見、スキルを中心にアピールすると良いと思います。

 

例えば、「製造業のSCM、特に原価管理に詳しく、100名規模のPMなどの経験もあります。」というように具体的な専門性をアピールする必要があります。また、職務経歴書においても、相手が求めている要件にフィットする経験やスキルを、自己PRなどや職務概要欄で強調しておく必要がありますね。

逆にアピール出来る専門性がない若い方であれば、コンサル適正やパッションを具体的に伝えられるとよいアピールになります。

 

--専門性ではなく適正やパッションをアピールするにはどうすればよいのでしょうか

 

コンサルとしての適性を、過去の行動特性からアピール出来るとよいですよね。

先ほども言いましたが、過去の出来事において、改善のためのPDCAを回していたという経験がないか振り返ってみてください。仕事でも勉強でもサークルでもアルバイトでも構いません。過去の行動を振り返り、その時に何を考え、どのような行動をし、どのような結果がもたらされたか、この行動こそがコンサルの基本であり、適性があると考えられます。パッションとは、なぜ自分がコンサルを志望するのか、その理由をリアリティを持って伝えられるかどうかだと思います。綺麗な言葉ではなく、ご自身の言葉で、背伸びせず、等身大で伝えられるかどうかが重要だと思います。

 

 

--逆によくない志望動機はどのような事例があるのでしょうか

 

コンサルタントを理解しておらず、表面的な言葉で綺麗に纏められたものです。

戦略とは何かを知らずに、「ITはやりたくなので、戦略がやりたい」という志望動機も多いです笑。

経営を考えるに当りテクノロジーは必要不可欠であり、ITの活用なくして経営は成り立ちません。実際に現在の戦略コンサルタントはITにも精通している方が多いです。よって、戦略をやりたいので、IT・テクノロジーに関しても学びたいという方のほうが戦略コンサルタントとしての適性があると思います。戦略!戦略!と連呼する人に「では戦略とは何か」と聞くと極めて浅い回答をされることも多いです。

 

また、面接時だけ取り繕っても見抜かれてしまいます。

例えばAIやRPAに興味があるとアピールしても、ネットや書籍で情報を得ているという程度では浅いと判断されてしまいます。勉強会やセミナーに参加したり、関連する資格を取得したり、自分でプログラムを書いてみるぐらいの本気度が欲しいですね。少なくともご自身なりの考えや将来の展望を述べられるようでないと浅いと思われてしまいます。

 

 

コンサルタントとして適正がある条件の1つとして知的好奇心・探究心が強いことが挙げられます。興味がある技術や業界について自主的に学べる人とそうでない人では入社後のパフォーマンスに大きく差が出ます。学ぶ姿勢を面接でアピール出来るとよいでしょう。

 

 

--今まで挙がった知的好奇心・探究心・思考力など以外にコンサルタントとして求められる条件はありますか?

 

世の中の動きを読む先見性が挙げられると思います。

例えば日本の農業について聞かれた際に自給率が低く、産業自体が衰退している、という理解だけで終わってしまうのか、だからこそ逆に変革の機会があると考えられるかどうかですね。自分なりに調べ、自分なりの見解が持てるかどうか、「風が吹けば桶屋が儲かる」というような発想や想像ができるかどうかもコンサルタントには求められているように思います。

これはコンサルティングの仕事としてだけでなく自分のキャリアとしてどう振る舞うかを考える上でも重要です。例えばRPAの普及によりコンサルタントそのものの仕事がどう変化するのか、だからこそ自分は今何をすべきなのか。このように時代を読み自分の動きを意思決定出来た人が勝ち上がっていくのだと思います。

 

--そういった先見性を見るための質問を面接でもされるのでしょうか?

されますね。ケース面接もまさにその1つだと思います。

どの程度の視座で話しが出来るのか、情報をインプットされた際にどの程度自分の中で変換出来るか。先程話した世の中の動きを読み、自分がどう振る舞うかというアクションまで落とし込めているかなど聞いてみたりします。

 

--他にコンサルティングファームの面接で聞かれることとしてはどのような質問があるのでしょうか

 

やや従来の面接から変化があると思います。

ケース面接はある程度対策が出来てしまうため、その人の能力を図れるか否かという点では限界があると考えられ始めています。

 

最近、重視され始めている能力としては飛び抜けた何かがあるかです。

例えばゼロイチスキル、想像力、芸術力、特定の技術にやたら詳しいなど、

論理性もあって、コミュニケーション能力もあって、まんべんなく広く出来る人よりも

、飛び抜けた能力がある人をファームは高く評価する傾向が強まってきています。

 

私もPwC新卒採用担当をやっていて、その当時採用した新卒がパートナーになっていたりします。そういった人は尖った何かがあった人が多かったです。

 

もし自分にも何か長所があると思っているならそこを伸ばし、アピールしたほうが短所を埋めるよりよいですよね。

 

--そうはいいつつ、特殊技能に自信がある人も多数派ではないと思います。明確な専門性や特殊技能がない場合はどうすればよいのでしょうか

 

専門性がない方も今だからこそチャンスだと思います。

今コンサルティング業界は好調で様々なプロジェクトが新たに発生しています。

その中にはAIやブロックチェーンなど新たな技術活用に関連するプロジェクトもあるのですが、新しい領域であるがゆえに専門家が少ないのが現状です。コンサルティング業界全体の課題としてはそういった人を育てていかなければならない状況にあります。

 

この状況の中では特定領域にコミットすれば自分が専門家・第一人者を目指せることを意味します。私が今コンサルティング業界に入ることを推奨している理由の1つです。

 

--

新たな種類のソリューションや領域が生まれている時代は若者にとってチャンスです。

例えば成熟した業界や伝統的分野における知見は、新卒や若者が戦ってもシニアを凌駕するのは難しいですが、新ジャンルではシニアも新卒も同じスタートラインに立っているのです。

特定ジャンルで数件のプロジェクトを経験するだけで、特定分野のエキスパートとしてのキャリアを構築できる可能性があり、ファームでの出世や今後のキャリアを考えても極めて有利です。

--

 

コンサルティングファームに転職後、どのように活躍するか

--特定領域へのコミットが話題でしたが、コンサルタントは必ずしもプロジェクトを選べるわけではないという事情もあり汎用性もある程度重要ではないでしょうか?

 

ワンプール制の会社と部署毎に分かれる会社両方ありますので、もしこだわりが強ければ部署毎に分かれている会社を選ぶとよいのではないでしょうか。ただし、若いうちは広く業界や業務を学ぶことで得られるものもあるため、一概にどちらか良いと決めることが出来ません。

ちなみに、コンサルティング業界は一度入ってしまえば同業内での移動が比較的スムーズなので、転職する時点でこだわりを強く持ちすぎてスタートラインに立てないのであれば、まず、業界内に入ることを考えるべきだと思いますね。

入社した企業でコンサルのいろはを学び、特定領域に興味が出たらそこに特化したキャリアを積めるファームに転職というのもよいでしょう。

 

 

--各ファームの特徴を教えて頂けますでしょうか?

 

グローバルファームと呼ばれているBIG4は大型プロジェクトにアサインされて、それなりに長い期間やっていくというのが特徴です。

大型プロジェクトですので最初は地味な仕事が多くなるかと思います。ただグローバルなナレッジとネットワークが使えるという利点があります。ただ、グローバルファームだからグローバルな仕事が必ずしも出来るわけではないです。各国にはローカルブランチがありますので、対象国においてはそのブランチが実行することも多いです。逆に日本がヘッドクォーターの日系ファームの方が海外に拠点を構え、主体的にグローバル案件に関わるということもあります。

 

--新卒や若手向けの研修体系はいかがでしょうか?

 

2-3ヶ月くらいですね。

基本的なビジネス研修もしますし、基幹系システムSAPなど技術的な研修もしていますね。

個人で負担すると100万円以上かかるのでこれを受けられるメリットは大きいです。プログラミングを学ぶというのではなく、会計やロジなど業務の仕組みを学ぶことが出来ます。認定資格を取得できるというのも大きいですね。

 

--SAPなどのプロジェクトは未だに多いという印象ですが、今後変化が見られる兆しはあるのでしょうか

 

SAPは2025年に保守の契約が切れるというイベントがあります。

現在SAPを導入している企業は他のツールを使うか、自社で管理していくしかありません。ここで大きなコンサルタント需要が発生しています。

他にも海外で買収した会社がSAPを導入しており、それをどう統合していくかというニーズはありますね。

長期的にニーズがあると思います。

コンサルティング業界への転職と年齢の関係

--年齢とコンサルティング会社への転職の関係について教えて下さい

 

若ければ若いほどよいと思います。

コンサルタントのお作法を年齢が高まってしまうと覚えづらいと考えているファームが多いためです。

 

ただ経験1年ですと、比較的優秀層を採用出来ている新卒と比較されることになってしまうため、3,4年目くらいで転職がほどよいでしょうか。

 

直接事業会社からコンサルではなく、MBAを取ってからコンサルへ、というような話しを聞きますが、いずれ転職する予定であれば、売り手市場であり、ポテンシャルを見てくれる若いうちに受けたほうが可能性が高いと思います。

 

--入社時の職位はいかがでしょうか?

 

未経験ではマネージャー未満で入社することになります。

総合ファームではボーナス込で500-700万円くらいの年収レンジが多いです。戦略ならまた別ですけどね。

他のコンサルティングファームから横滑りで来る場合は同タイトルで入社するケースが一般的ですが、タイトルを上げて採用するのは避けたがる企業が多いですね。質のバラツキや現職の社員のモチベーションに影響するためです。

 

 

経験者とは言え、ファーム毎にプロジェクトの進め方は異なるためマネージャーとして入社し社内から厳しい目で見られた状況で周囲を納得させる高いパフォーマンスを出すことは難しい場合も多い。

他ファームでシニアコンサルだったが転職でマネージャーとなった場合は内部から厳しい意見を影で言われることも覚悟する必要がある。

 

コンサルティング業界への転職を成功させるポイントとは

--コンサルティング業界内での転職を成功させるポイントなんでしょうか

 

会社名に依存しない経験をしていることが重要ですね。

ベンチャーでも、大手でも、自分がクライアントフロントに立ち、現場に入り込みという経験があればもちろん評価されます。逆に議事録だけ取っていたり、事務作業だけしていたりというような人はどこに行っても厳しいです。

 

一時期J-SOXバブルがあってその当時は業務フローさえ書ければ需要がありました。バブルだったからこそです。しかし大手で会社に忠誠を誓っていたその人らはどうなっているかというと、特定の産業に強いわけでもなく、会計が分かるわけでもないので全然需要がないのです。

逆に当時ベンチャーでシステムを専門にやっていて、明確なスキルがあるという人のほうが需要が高く大手に年収倍増で転職していくという例もあります。

ポストコンサルタントの転職事情

--コンサルティング業界はずっといる人も多くないと思います。ポストコンサルの転職について教えて頂けますでしょうか

 

事業会社に行きたい人が圧倒的に多いですよね。

30歳くらいで一度転職のピークがあります。30歳までですと事業会社のニーズとも合致しやすいですね。

30歳以降は事業会社とコンサルティングファームとの収入ギャップもあり、転職に苦労される方が多いように思います

40歳を超えてくるとマネジメント職でクライアント先に転職したり、大手事業会社に行くケースが出てきます。それ以降はコンサルを続けるのか、仲間と小さなコンサルティング会社を始めるかというケースが典型的です。

 

基本的にはコンサルティング会社で身につけた専門性を活かし事業会社に行きたい人が多いですね。

外資系と日系という分けでは年収が我慢出来るなら日系も多いですね。ただカルチャーや収入の観点から外資系がフィットあるのは間違いないです。

 

最近ではCVCやM&Aの求人もありますので、そこに行く事例もありますね。

また35-40歳くらいだとベンチャー企業のマネジメントポジションに行く事例も増えています。

 

--最近見たハッピーな転職事例について教えて下さい

 

ベンチャーは将来化ける可能性があるので、若い間にリスク取ってそこに飛び込むというのはよいと思います。

他では40歳頃までコンサルをやって経験と収入をストレッチさせ、CxOに近い相応のポジションで事業会社に移るというのも良いケースです。日系の事業会社で低めのポジションで入りそこから新卒プロパー組と比較されながら上がっていくのは難しいので、コンサルである程度上がった後に転職したほうがよいと思います。ただ、コンサルタントが転職したいと思うピークの年齢も35歳くらいですので、その前後で事業会社への転職を考える場合は、市場とのギャップがあって難しいところですよね。

 

--コンサルティング会社から出て、帰ってくる出戻りも多いのですか?

 

はい、ありますね。純粋にコンサルだけの経験ですと、「どうせ実務を知らないだろ」、と言われてしまいますが事業会社での経験があることで地に足の着いた議論が出来ます。これは強みになりますね。

若い方は結構多いですよ。

総合系ファームの年収

--総合系のファームはどのくらいの収入イメージでしょうか

 

アナリスト・アソシエイト(マネージャー未満)で500-900万円、マネージャーで900-1,300万円。

シニアマネージャーで1,300-1,600万円、ディレクターで1,600-2,000万円。

パートナーで2,000万円です。

外資系総合ファームでは賞与入れて1億円を超えるケースもあります。

日系ファームではパートナーの収入は2,000-6,000万円ほどです。

PwC人事を経験した大森氏が代表を務める転職エージェント「リネアコンサルティング」

--リネアコンサルティングからの紹介が多い企業はどのような企業でしょうか

 

コンサルではBIG4、シグマクシス、クニエ、IBM、アクセンチュア、キャップジェミニ、ベイカレントコンサルティング、グラビスアーキテクツなど、中小ファームも含めたら主要なクライアントだけで50社以上あります。また、ポストコンサルの方に向けた事業会社・ベンチャーも増えています。

 

--リネアコンサルティングのアピールをお願いします!

 

私がPwCの人事をしていたこともあり、業界に広い人脈と深い知見があると自負しています。

また転職を決めるためにかなり無理矢理進めるエージェントもありますが、弊社ではそのようなことはありません。中立性を保ちながら情報提供や長期的な支援を心がけています。

この姿勢を保ち続けたからこそ、口コミを中心としながらも10年以上やれているのだと思います。

安心して相談して欲しいと思います。

コンサルに興味がある方・ポストコンサルの転職を検討する方へ

--コンサルティング業界に転職したい人に向けたメッセージをお願いします!

 

この10年ほどで今がコンサルティング業界に転職するには最もよい時期だと思います。採用数が拡大しているということもありますが今は様々なプロジェクトが発生しており、新しい領域において自分が第一人者になれる可能性があります。

このタイミングを逃すべきではないと思います。

 

またコンサルは精神的にも肉体的にも厳しい業界ではありますが、得られることも多いです。これはその後のキャリアで大いに役に立つものです。

 

今後コンサルティング業界はゼロイチを担う2割くらいの人とイチを1を10にする4割くらいの人になると考えています。残りの4割はRPAなどの技術で自動化されてしまうでしょう。

コンサルティング業界が今後変化していく中で自分の立ち振舞方を考えた上で、是非ドアをノックして欲しいと思います。

 

--ポストコンサルの方に向けたメッセージをお願いします

コンサルティング業界で経験したことを活かして、会社に依存せず、名前で仕事がで

 


きるくらいの存在になって欲しいと思います。そういったくらいの素地を身につけることが出来る業界だと思います。

 

日本におけるコンサル業界の歴史はまだ50年ほどです。今後は今までになかったポストコンサルが活躍する道が新しく出来ていくことも期待しています。誰もが自信と誇りを持ち、イキイキと働ける世の中になるよう、一人一人の想いに寄り添っていきたいと思います。

総合コンサルティングファームに興味のある方・ポストコンサルのキャリアを考えたい方

 

今回はインタビューをさせていただいた大森氏が代表を務めるリネアコンサルティング への転職相談フォームを設置させていただきました。PwC人事も経験されており、コンサルティング業界にこれほど知見を持つエージェントと通常の転職フローで会うことは容易ではありません。

この10年でコンサルティングファームに転職するには最適と言われる今こそ、是非一度相談してみて下さい。

f:id:shiningmaru:20190207072232p:plain

 

 

失敗しない!ポストコンサル転職の実態

こんにちは、本日はコンサルの後のキャリア=ポストコンサル転職について解説致します。

コンサルティング業界に入り、その後定年までコンサルタントというキャリアは極めて稀であり99%以上の人この業界を去り別の道を探す、必然的にポストコンサルのキャリアを考える必要があるのです。

 

f:id:shiningmaru:20190204151845j:plain

ポストコンサルへおすすめの転職方法 

必須!リネアコンサルティングへ相談

ポストコンサルの転職に多くの実績と知見をお持ちのリネアコンサルティングへの相談は必須です。代表の大森さんはPwCの人事も経験されており大変深い知見をお持ちです。相談は以下のリンクから。

総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談!

.積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

このメディアを対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。未経験用の記事ですが、他ファームからの移籍もベイカレントコンサルティングでは歓迎しています。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

若手・シニア向け、各ポストコンサル転職の実態も含め網羅的に書きました!長文ですが、是非最後まで読んでみて下さい!

何故コンサルを去るのか

 

クビやUp or Outのイメージが強いコンサルですが、実は退職者のうちクビになるケースというのは多数派ではありません。多くの人は自主退職です。

自主退職には2つの方向があります。1つは身につけたトラックレコード(経歴・実績)やスキルを武器にしたキャリアアップのポストコンサル転職や起業。

もう1つは今の職場は続けられないと自分で悟りポストコンサルとしてのキャリアを探す、どちらかというとネガティブな転職です。ちなみにネガティブな理由で退職した起業というのも実は結構あります。

 

出世してやりたいことが溢れ出て起業というのがよくイメージされる起業・独立かと思われますが実はその限りではありません。

ちなみに、コンサル時代のパフォーマンスがよかった人が起業して成功するわけではありません。周囲を見渡していてもコンサル時代は「並」程度だった人が起業して突出した成果を出している事例もあります。

 

あまりにも低パフォーマンスだった人についてはやはり成功しづらいようですが、並だから起業しても「並」ということではありません。

 

さて、元の話に戻ると映画に出てくるような、突然上司に呼び出されてクビになり荷物はダンボールで後に郵送され翌日からはカードキーが無効になるという退職者は決して多い事例ではありません(金融に比べるとコンサルはかなりマイルドです)。

大半は自分で「もうここでやってても出世しなさそうだ。ならば早めにポストコンサルの道を探さないと手遅れになるな」と考えて自分から出ていきます。

 

何故出世で差が付くのか

 

よく想像されるのはスキルが足りないということですが、実は出世は会社の状態や所属が与える影響が大きいです。

 

「なんでこの人がマネージャー?」と言われる人はコンサル時代も多かったですが、彼がマネージャーだった理由は比較的ローパフォーマンスでも所属が良かったことに起因します。久々に確認したらパートナーになっていました笑。

 

プロジェクト数は伸びているがそれを専門にやっていた人が少なすぎてパートナーが売上を増やしていくためにはマネージャーにせざるを得ない状況でした。

 

これはやや極端ですが、成長しているセクターで経験を積んでいれば普通の能力でも無難にこなすことが出来れば出世していきます。話していて「化物だ」と感じる人はかなり少数なはずです。

 

パートナーもマネージャーも人格に対して与えられるものではなく会社として必要な機能だからですね。パートナーは営業、マネージャーはプロマネ、両方いないと会社として機会損失となるわけです。

 

グローバルに統一された評価基準がどうの、よりも収益を得るほうが会社として重要です。何より明確に数字が出る営業職でもない限り人の評価というのは究極わかりません。

こういった理由からか、入社時点では誰が結果的に出世するかというのは本当に分からないものです。

 

ポストコンサルの進路

若手のポストコンサルキャリア

 

さてポストコンサルの実際の進路についてです。まず若手について解説します。

代表的なポストコンサルの進路は以下の通りですね。

 

・コンサル to コンサル

・起業

・スタートアップ参画

・日系事業会社

・外資系事業会社

・ファンド

・投資銀行

・NPO/社会起業

 

割合としてはざっと以下のような分布です。

コンサル to コンサル:30%

起業:10%

スタートアップ参画:10%

日系事業会社:15%

外資系事業会社:30%

ファンド:5%

NPO/投資銀行/社会企業:極少数

順番に解説しましょう。

 

コンサル内転職

 

上位と呼ばれるファームほどコンサル内転職は減り、起業の割合が高くなっていると思います。

上位から下に行くというキャリアは若手にとってあまりハッピーではありませんし、ポジションが下のファームに行ったからと言って大きく変化する分けではないので当然ではあります。

 

コンサル内転職の理由としては以下のものがあります。

 

・上位ブランドのファームへの転職

 

コンサルティング業界は現在採用が活況であるため、売りになる経験・明確な専門性があれば上位ブランドファームへの転職も難しくありません。

 

・自分が担当したいテーマが多いファームへの転職

 

例えばBCGデジタルのようにコンサルティングテーマとして新しいものを中心に扱うチームがある場合など、別のコンサルティングファームからの移動が目立ちます。

 

・ワークライフバランスを重視した転職

 

コンサルティングというビジネスモデルは同じですが、ファーム間でワークライフバランスはやや異なります。さらにきついファームに行きたいという場合は稀ですが、もう少しマイルドな働き方をしたいという場合にこのケースが見られます。

どことは言いませんが中心顧客が製造業のようなファームは労働時間がきつめです。製造業は金払いのよい製薬などと異なり一世一代のプロジェクトを依頼するという使い方になり、フィーも限られているため人数も時間も限られた中で大きなイシューを解決しなければならない場合が多いのです。

ただし同時にやりがいも大きいです。

 

・上位ポジションへの転職

 

例えばシニアアソシエイトがマネージャーで転職、またシニアマネージャーがパートナーとして転職するなどですね。数としては多くありません。他ファームから来た人が上位ポジションにつくことは下位ポジションのコンサルタントのやる気を削ぐため、コンサルティングファームとしてもあまりやりたがらないのです。

 

厳密な意味ではポストコンサルの転職ではありませんが、コンサル to コンサルについてまとめました。

上位戦略ファームではこの転職はかなり少なく、総合ファームではこの割合がかなり大きいものになります。

 

起業

起業は近年特に多いですね。起業についてはノウハウがかなり出回っており、資金調達環境も良いというものが背景ではないでしょうか。

実際に外資コンサルを退職してコンサルに在籍しているよりも大きく儲ける手段としてはファンドか投資銀行、もしくは起業しかほぼありません。他の会社への転職は一般的には収入を下げるもしくはキープ程度でのポストコンサル転職が多いのです。

 

ちなみに投資銀行に行く事例はかなり若手を除きかなり少ないです。求められるスキルセットが違うからです。

 

起業して生存率は5年で10%...というような一般的な統計は超エリート、選ばれし0.1%である外資コンサルの皆さんには当てはまりません。

 

周囲を見てみると起業の結果として

・社員数数十名規模まで5年以内で成長する大成功は10%

・大成功しないものの、そこそこ上手くやっている60%

・消息不明30%

 

この程度の割合です。さすが選ばれしエリートです。

 期待値を考えるとかなり良いのではないでしょうか。

 

「そこそこ上手くやっている」は人によってまちまちですが、年収800-1,500万円程度、名でなんとか食っていける人らのことです。特に経済的に不満なわけでもなく、労働時間もコントロール出来ていて平和に過ごしています。

 

何をしているのか分からず姿を消す人も少なからずいるのは事実です。

どこに行ったのでしょうね。おそらく個人事業主として小さく生活しているのかと思います。

 

ちなみに、コンサルタントとしてそれなりの腕前があればコンサルティングファームを作るということも難しくはありません。自らが創業者兼代表パートナーになればよいのです。営業が出来れば収入は跳ね上がります。

詳しくはこちらを御覧ください

独立してフリーコンサルタントとして稼ぐにはどうするべきか

スタートアップ参画

 

ポストコンサルとして小さな会社に参画する例もかなり多いです。

大学や会社の同期、偶然知り合った知人の会社に参画する場合が多いですね。

ただし会社を起業して成功し、数十億得ることが出来るのはほとんどの場合、社長だけです。

No.2やNo.3は数パーセントしか株式を持っていないケースが多く、例えば上場し、時価総額を100億まで成長という大大大成功例でも数億しか入りません。

そしてそこまで成功するケースは極めて稀です。

圧倒的多数のケースは年収500-800万円で株式売却によって多額な資金を手にすることはなく終わります。IPOが見えてきたスタートアップに参画しても手に入るストックオプションは微々たるもので2,000-3,000万円程度あればかなりいい方です。

転職時の給与ダウンを考えると金銭的リターンとしては外資コンサルのキャリアを捨てるほどの魅力はありません。他のポストコンサル転職のオプションを考えるとかなり儲からない選択肢です。

 

ただし、数ある仕事の中でスタートアップ職場は大変魅力的なものです。

大企業と比較すると自分がやりたいことを制約されることなく、サービスの成長を追求出来るというのは大きな魅力でしょう。ポストコンサルの転職を考えている方は一度スタートアップの職場を見て欲しいと思います。

もちろん、スタートアップは有象無象なので特に長い交友関係がない場合は入社する企業の経営陣や社員がどのような人かはかなり慎重に判断することをおすすめします。

 

日系事業会社

 

もう長時間労働やUp or Outは勘弁して欲しい、キャリアを落ち着けたいという人がポストコンサルの転職として選ぶのが日系事業会社です。

もう怯える必要はありません。

年収はダウンするケースが多いですが、長期的に安心して働けます。

年収800-1,000程度で転職し、ゆるゆる上がっていきます。

一度日系に流れた人が挑戦的なキャリアにカムバックするケースは稀です。

そもそもそういったキャリアを捨てるために日系に流れていますからね。

 

ただ希望者は非常に多いのですが難しいのが受給のバランスです。

コンサルタントが転職したいアラサー時点ではマネジメントのポジションをポストコンサルにオファー出来ず、スピーディーなキャリアで歩んできたコンサルタントにとってはスピード感の違いが出てしまうのです。

いっその事40歳頃までコンサルをやりきり、ポジションを十分に上げてから幹部ポジションのポストコンサル転職をすることを狙うほうがよいこともあります。

最近ではソフトバンクや楽天幹部陣に一気に元マッキンゼーが流れました。新興系の企業では外資系のような待遇を期待することも出来ます。風通しもよく、元コンサルも多いためポストコンサルの転職にとって過ごしやすいでしょう。

  

外資系事業会社

 

年収をあまり落としたくないし、日系のカルチャーにははまらなさそうだけどもう超高密度長時間労働は嫌だという人がポストコンサルとして転職するのが外資系事業会社です。

外資系事業会社と言っても業種は広くIT、製薬、メーカーなどです。

外資系としてワークカルチャーも会うので働きやすい環境でもあります。

近年はレノボ、google、salesforceなどの新興系ITに流れる場合がかなり増えています。

待遇や福利厚生もよくコンサルや金融と比較すると労働時間はかなり少ないです。

8時まで働いたらかなり働いているほう、と語る人も多くコンサルの人からは信じられません。

5時帰りで年収1,500万円も珍しくないというなんとも羨ましい環境を手に入れている人もいます。

コンサルや金融ほど競争環境は激しくありませんが適度に競争があり、競争の中で出世を目指すキャリアには変わりありません。

一度コンサルから事業会社を経てビジネスの視点を養った人が起業する場合もいます。

 

PEファンドへの転職

 

数としては多くありませんがポストコンサルとしてPEファンドへの転職も人気があります。会社としてはユニゾンキャピタル、アドバンテッジパートナーズ、KKRキャップストーン、カーライル、ベインキャピタルなどです。

比較的少ない労働時間、最高の年収、コンサルというアドバイザーの立場よりも株主として能動的に経営に関与出来る、最高のステータスというサラリーマン最高峰のキャリアです。投資先の役員になるケースも珍しくありません。

結局起業してしまいましたが、私も実はポストコンサルとして転職するならPEを考えていました。

代表格はベインキャピタル、KKRキャップストーンなどです。大手PEにはチームのプロフィールが掲載されているため、どのような経歴かを詳細に把握することが出来ます。

  

上位PEは採用枠が少ないため外資コンサルの中でもトップティアの中でさらに上位の評価を得ている必要があり狭き枠です。

最近増えているのはPE(プライベートエクイティファンド)よりもVC(ベンチャーキャピタル)ですね。給与はPEと比較し高くないですし、アップサイドもあまりないのですがベンチャーに関与するというのは満足度の高い職業であり、人気です。

*正確にはVCもPEの一種です

PEの場合はコンサルよりも労働時間はかなり少なく、キャリーというボーナスにより調子がいいと億を超える額が貰えるケースもあります。外資系のファンドであれば投資銀行並の待遇が期待出来るので経営にも実際に参画し、金も欲しい人でかつ有能な人が行きます。

ただし最近はシニアのポジションが詰まっていて出世出来ないケースがかなり増えています。

出世しないことに不満を抱いたアソシエイトの皆さんは起業やスタートアップの世界に流れる場合が多いですね。ある程度シニアになると金を集めることも出来るため自分のファンドを立ち上げる場合もあります。

 

クライアントへの転職はあるのか

 

ポストコンサルとしてクライアントもしくはそれに類する会社への転職は実際にあります。

ただクライアントが直接コンサルタントに引き抜きを仕掛けるのは問題になるので多いのは引き抜くというよりクライアントかつ、やたらとファーム出身者が多い会社が先輩としてゆるく誘うケースが多いです。

 

近年、コンサルは専門性を持つようなキャリア形成が奨励されるので自分が担当しているセクターの企業への転職はしやすくなっております。製薬担当が製薬へ、TMT(テレコムメディアテクノロジー)担当がIT・メーカーへなどキャリアとして分かりやすいです。

 

ファーム内の出世を考えても、ポストコンサルの転職を考えても専門性を磨くことは重要です。いつまでも汎用戦士ではやってられません。

 

元〇〇がやたらと多い会社は大抵クライアントです。

結果としてクライアントのみならず特定ファーム出身者がやたら多く派閥を形成する会社もあります。シニアとなるとクライアントの役員となるケースはありますね。

 

35歳以降のポストコンサルキャリア

 

 

外資系は相当シニアなポジションに上がれない限り実質的には45歳以降のキャリアパスが存在しません。必然的にそれまでにはポストコンサルの転職を検討し、退職することとなります。

 

若手に比較するとパートナー、シニアマネージャー陣のポストコンサル転職は数が少ないため統計的にはなんとも言えませんが外資・ITへのシニアポジション転職が最も多く、ファンドや日系事業会社(楽天、ソフトバンク、ユニクロ等は除く)は2割いるかいないかといったところでしょうか。30歳くらいのマネージャー転職の場合は上で解説した若手転職のややハイポジション版です。

 

35歳以上になってスタートアップを起業するというケースは稀です。

スタートアップではなく、コンサルとしての独立は多く、XEEDの波頭さんやフィールドマネージメントの並木さんのように地位を確立してから自分のファームを立ち上げるというケースは存在します。

彼らは成功例ですが、個人事業主レベルで固定顧客を相手に粛々とやり続けている人が実際には多いです。

 

外資・IT系でのシニアポジション転職

 

シニア転職として多数派です。ユニクロ、ソフトバンク、yahoo!、楽天や最近では中国系のハイポジションはコンサル同窓会状態です。

むしろ内部出世が難しそうで投資銀行・コンサル出身者で経営層が固められて来ている会社もあるくらいです。

 

このクラスでは上級経営層にいるファーム出身者が古巣からヘッドハンティングしていくケースや、ハイクラスのエグゼクティブエージェント使う場合両方ありますね。

 

年収は人によって大きく異なりますが、年収2,000~5,000万円程度が多い印象です。

この事業会社で長い間安心して勤務というのが最もハッピーなシナリオではないでしょうか。

日本法人が縮小したり、パフォーマンスがイマイチだった場合、1-2年でさらにジョブホップする場合も見られます。

 

上にも書きましたがシニアクラスでは役員としてクライアント企業に転職するケースもあります。

 

ファンドへの転職

 

数としてはかなり少ないですが、存在はします。

 

VPクラスもしくは稀な例ではさらに上の職位での転職となります。この場合は明確な専門性や突出した評価がないと難しいですね。

 

ファンドのシニアとなれば給与はずば抜けて高いです。

 

日系事業会社への転職

最近は増え始めました。

日系事業会社がポストコンサルを受け入れ始めたのは2008年頃であって、上位職種にいきなり付けるとなればさらに稀です。

 

受け入れを初めても年功序列的なキャリアや特有の風土がコンサル出身者と噛み合わずお互いハッピーでない結果になった例も多く見られました。

特に日系事業会社を経験しておらず、外資の風を10年以上吸っていた人が日系事業会社に行く場合はかなり注意するべきです。 

 

ただシニアもキャリアを落ち着け長期コミットしたいと考えている人も多いためポジションさえあればポストコンサルとして人気の転職先です。

オーナー系企業からの一本釣り

 

ソフトバンクや楽天もオーナー系というくくりかも知れませんが、ここでは中小企業のことを指します。中小企業のハイポジションでのポストコンサル転職です。

 

事業承継問題の発生もあって、このニーズを持つ中小企業オーナーも増えてきました。

 

外資ではないですが、52歳で森下仁丹に転職し現在社長を務めている駒村社長のようなキャリアに憧れる方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、このキャリア簡単ではありません。

 

ポストコンサルを採用する側のオーナーもポストコンサルとして転職する側も初めてのことばかりでトラブルや対立は耐えません。結果的に釣られたオーナー側の気が変わってキックアウトされるというケースも後を断ちません。

 

こちらも慎重な判断が必要ですが、オーナーの気も変わりやすいので迷っている暇は正直なかったりします。悔いのないよう飛び込みましょう。

 

コンサルのシニアポジションでの転職

 

こちらも厳密にはポストコンサルではありませんが、シニアとなってパートナーのポジションで転職する例もございます。チームやクライアントを引き連れて移籍する例が多いですね。

むしろその両方なくシニアとして転職するのはかなりつらいです。

 

ポストコンサルは何故評価されるか

 

若手の場合は「問題解決能力」「プロフェッショナルマインドセット」の2つ。

30歳以降~シニアの場合は「専門性」が評価されるポイントとなります。

 

問題解決能力

 

定義は曖昧ですが、課題を定義し、必要なタスクを明確化、チームを使って作業をし、最終的な計画を作り、KPIをモニタリングしながら実行という一連の流れと私は考えています。この能力は汎用性が高く、コンサルタントはこの問題解決スキルを高いレベルまで短期間で引き上げられているのでどのような事業会社でも重宝されます。ポストコンサルに期待する能力として筆頭に挙げられます。

 

プロフェッショナルマインドセット

 

コンサルタントはプロフェッショナルという仕事の流儀で仕事をします。納期までは徹夜してでも仕上げる、極限まで高いクオリティを目指す、常に成長を続けるという職業倫理は一度身につけるとその後もずっとこの考えで仕事を進めます。

一般的に事業会社はコンサルほど厳しい仕組みではないため同年齢のビジネスマンと比較するとコンサルタントは高いプロフェッショナルマインドセットを持っています。この意識もポストコンサルには求められることです。

 

専門性

 

3-4年以上経験を積むと自分の専門領域が明確になって来ます。IT、製薬、マーケティング、ファイナンスなど自分の専門として語れるものが多くなります。その専門的な知見を内部に持ちたい事業会社は積極的に特定の専門性を持つポストコンサルを採用します。

 

ポストコンサルの面接で何を聞かれるのか

 

コンサル→コンサルの場合はプロジェクト、マネジメント経験を話し自分の専門性をアピールしカルチャーフィットを見せます。

 

それなりにストレートですね。

 

ちなみに某社パートナーの表現を引用し、各ファームの特徴を簡単に説明しておきますね。あくまでご参考の一部として捉えて下さい。

 

BCG:緻密に1つ1つ進める 

マッキンゼー:可能性は無限大

ATカーニー:あれもこれもあるそれもある

アクセンチュア:なんでもいいけど成果を出せばいい

 

 

注意するのはポストコンサルとして事業会社に行くときです。

 

プロジェクトの経験、つまりコンサルとしてのパフォーマンスにはそれほど興味はありません。

 

当然ですが、事業会社に入って事業を回す側としてやれそうか?組織に馴染みそうか?コンサル風を吹かせすぎないか?を注意深く見ます。

 

綺麗な絵を書けるというよりも実行に強い興味があり、パフォーム出来ることを伝えるように強く意識するとよいでしょう。

 

コンサル風を吹かせすぎないというのもポストコンサルとして事業会社に転職する場合には実に重要です。

 

MECEだのファクトだの、事業会社では売上を上げる行為以外のものははっきり言って邪魔です。このようなコンサル用語を面接で使うのも印象は悪いので平易な言葉で言い換えるとよいでしょう。

大なり小なり、コンサル癖は出ますが、コンサルとして話し方の癖がついてしまうと後々キャリア上、不利です。

事業会社社員としての振る舞いを身に着けましょう。

 

典型的なポストコンサル転職の失敗例

 

コンサルとして採用される時点で一定の優秀さは担保されているので極端な失敗例は多くありません。その中でも一部の人はポストコンサルでの転職を後悔している部分がありますので「失敗例」として念のため書きます。

 

年齢高すぎ問題

ポストコンサルとして事業会社に転職するなら早めに、が鉄則です。

 

パートナーになり、そこからシニアポジションで入るというのはもちろん存在するコースですが、数として多いわけではありません。

 

多くの人はアソシエイトやマネージャーで転職します。

その際に事業会社経験ゼロで35歳だと採用する側もかなり不安です。

特に日系企業で安心して働きたい場合は求人がかなり限られてしまうでしょう。 

これでなんとなくコンサルに居続けるというのがポストコンサル転職の悩みNo1です。

 

事業会社フィットなさすぎ問題

コンサルとしては一定の能力があるのだが、明らかに事業会社向けではない。

お勉強よく出来ますね、のようなタイプです。

 

事業会社で重要なことはファクトでもMECEでもロジックでもなく金を儲けることです。基本営業がエライ会社が多いのです。

 

そこでファクトだの言うと嫌われます。

この事業会社風土にいつまでも馴染めずなんだか閑職というのがポストコンサル転職の悩みNo2ですね。

 

日系の企業は大丈夫なのか

日系は60歳まで安心して働けるキャリアのオアシスのように書きましたが年功序列では必然的に仕事で最大限努力する人は減ります。

 

そもそもポストコンサルとして転職する場合も仕事を頑張りたいというよりゆっくりしたいというマインドで移りそういった人が増加します。

 

ポストコンサルとして転職した人にとっては役に立たないオジサンが多く溜まっている風通しの悪い職場に見えることでしょう。

 

意外と悩ましい外資系のキャリア

 

さて、いかがでしょうか。

若い間から外資系でバリバリ活躍して...というキャリアは意外と長期的には悩ましい印象を受けるのではないでしょうか。

最大多数派は外資系の中で転職を繰り返してピーク年収2,000万円程度まで到達しゆるやかにキャリアを下げていくという場合が多いかと思います。

最初に新卒で入ったコンサルから転職を繰り返して上がり続ける人は実は稀で1,200万円-1,800万円の間をうろうろしている人が多いです。

こういった環境の中ではヘッドハンターと常に情報交換をし、転職チャンスを伺う姿勢が欠かせません。

ポストコンサルへおすすめの転職方法 

1.必須!リネアコンサルティングへ相談

ポストコンサルの転職に多くの実績と知見をお持ちのリネアコンサルティングへの相談は必須です。代表の大森さんはPwCの人事も経験されており大変深い知見をお持ちです。相談は以下のリンクから。

総合系コンサルティングファームへの転職ならリネアコンサルティング・大森 崇氏へ相談!

2. リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアに登録し求人を見る 

戦略ファームではなく総合系にいる場合、広くポジションを見てみるとよいでしょう。

3.『BIZREACH(ビズリーチ)』で会うエージェントを選び質の高いエージェントと会う

ビズリーチではポストコンサルの転職に強いエージェントと多く出会うことが出来ますので戦略系にも総合系にもポストコンサルの転職には特におすすめです。今すぐ転職を考えていない場合でも登録し、情報収集をしておくことで実際に転職する際にも焦らず転職活動が出来ます。

他にも外資系を見たいならJACは求人数を多く確保しています。

4. 積極採用をしているベイカレントコンサルティングに応募

このメディアを対象とし、特別にマネージングディレクター直結応募ルートを用意いただけました。これは現在積極採用をベイカレントが進めているから出来ること非常に稀な機会です。未経験用の記事ですが、他ファームからの移籍もベイカレントコンサルティングでは歓迎しています。

特別採用ルートを設置!ベイカレント・コンサルティングが未経験者を積極採用

コンサルに関する知識をコンパクトに学びたい方は以下の記事がおすすめです!

知識を凝縮!コンサルタントへの転職バイブル 

転職前に知っておきたい!クライアントから見たマッキンゼー・アンド・カンパニー

マッキンゼー・アンド・カンパニーといえば、優秀な人材が集まるコンサルティングファームの中でも別格のファーム、といわれるほど高い評判を誇るファームです。

 

マッキンゼーの強みは戦略系コンサルティングの提供です。大勢の従業員の運命を担う企業という船の舵取りをする役割を果たすこの分野は、まさにコンサルティング業界の花形といえるでしょう。

 

筆者は前職でマッキンゼーのコンサルティングサービスの提供を受け、広告マーケティングについてのアドバイスを受けました。マッキンゼーのコンサルタントと身近に協業し、知ったマッキンゼーの特徴、仕事の進め方などについてご説明します。

マッキンゼーについてはこちらの記事でも詳細情報をまとめておりますので、マッキンゼーに興味ある方は2つ合わせて読むことをおすすめします。

マッキンゼーを使ったクライアントの視点、そしてマッキンゼーで働く社員側の経験両方実際に経験した人の声です。

マッキンゼーに転職するために知っておくべき年収・基礎知識

f:id:shiningmaru:20190202124613j:plain

マッキンゼーの成り立ち

シカゴ大学の教授により創立

マッキンゼーは、シカゴ大学教授のジェームズ・O・マッキンゼーによって1926年に設立されたアメリカ生まれの大手のコンサルティングファームです。組織のなりたちがアカデミックなバックグラウンドだけに、理論派のサービスが特徴です。SWOT分析やロジックツリーなどの思考方法は、マッキンゼーから世に広まり、「マッキンゼー流の考え方」などというタイトルで多くの書籍も出版されています。

しかし、マッキンゼーを世界的なコンサルティングファームまでに押し上げたのはマッキンゼー氏ではなく1933年入社で弁護士出身のマービン・バウアー氏です。

彼が現在の大企業戦略策定に重点を置き、プロフェッショナルとしての仕事の仕方、階級を確立したマッキンゼー・アンド・カンパニーの実質的な創業者です。

彼以前のコンサルティングとは知識を持ったシニアが自らの知見を元にアドバイスするグレイヘアコンサルティングでした。それに対して自分の知識ではなく、データとロジックに基づいたアドバイスをするファクトベースコンサルティングをマービンバウアーは確立しました。

現在でもシニアな知見提供型のコンサルタントを「グレイヘア(白髪系)」と呼ぶことがあります。

 

世界に名だたる企業へのサービス提供

マッキンゼーは戦略系コンサルティングファームで、企業の経営陣が会社を運営するために重要なアドバイスをします。

非常に重要な経営判断に関与するため、優秀なコンサルタントが多く、米Vault社「世界で最も権威あるコンサルティングファーム(2006年-2017年)」で1位に選ばれています。また、米国でも日本でも、ハーバード、コロンビア、マサチューセッツ、東京大学などトップレベルの大学の卒業生が、新卒での就職先に選びたい企業にも1位にたびたび輝いています。

他の大手コンサルティングファームと同様、グローバル展開をしています。世界60カ国に105以上の支社を持ち、大企業を中心として年間1,600件以上のコンサルティング・プロジェクトにアドバイスを提供しています。

日本でのマッキンゼー

トップ企業の7割はマッキンゼーのアドバイスを受けている

日本での歴史も比較的長く、40年以上サービスを提供しています。グローバルファームですが、クライアント企業としては7割が日本企業です。国内上位30社の7割にアドバイスを提供しているため、日本の経済界はマッキンゼーの影響なくてはなりたたないといえるでしょう。

良くマッキンゼーを批判する人に「マッキンゼー日本オフィスのクライアントは外資系だらけ」という人もいますが実際のところそうではありません。

ちなみに正確な表現としては「トップ企業の7割はマッキンゼーを使ったことがある」というのが正しい表現です。さらに言えばトップ企業の殆どはコンサルを活用しており、その中のオプションとしてマッキンゼーを検討するのは当然ですね。

複数のファームを使い分けている事業会社が多いです。

マッキンゼーのプロジェクト数と売上はいくら?

マッキンゼーのプロジェクト数についてはマネージャーの人数で分かります。

マネージャーの人数=同時並行出来るプロジェクト数であり、プロジェクトの平均期間が約2ヶ月とするとマネージャーの人数 x 約5倍(稼働率は100%でないため調整)が年間のプロジェクト数とおおよそ等しくなります。

クライアント数という観点では、同じクライアントから複数のプロジェクトを受注することが一般的であるためプロジェクト数を3で割ったものが現在のクライアント数となります。

マッキンゼーの場合、マネージャーの数が30~50だとすると

・プロジェクト数は年間150程度

・クライアント数は50社程度

というのがおおよその数字です。

この計算方法は他のファームにも適用可能です。

複数プロジェクトを同時平行させるドリームインキュベーターのようなファームもあるため一概には言えませんがおおよそは上の考え方で計算可能です。

売上の推定方法は1チームの月間稼働が3,000~5,000万円、プロジェクト平均単価は6,000~1億円となるためプロジェクト数x1億弱(8,000万円)と考えるとざっと、約120億円が日本の売上と推定出来ます。

グローバルの売上が約1兆円。従業員数は25,000人。一人あたり売上は約4,000万円です。日本オフィスの従業員数がコンサルタント以外を含めると約300人であり300 x 4,000万円でも120億円です。

ということでマッキンゼー日本オフィスの売上は120億円というのは結構当たっていると思います笑。(実態は分かりません)

ちなみにこういった推定を行っていくのが俗に言うフェルミ推定です。

データがない場合の市場規模推定など、自然と使う機会が多いです。

そしてこの120億円の行き先は大半がパートナーへ行きます。下っ端に対する分配率は極めて低いのがコンサルティングファーム、特にマッキンゼーの特徴です

半分ネタですが、マッキンゼーではアソシエイト・アナリストは奴隷、マネージャーは奴隷使い、パートナーになってようやく「人間」などと言われたりします!

クライアントは何故マッキンゼーを使うのか

筆者の前職では、マーケティングプランを大きく変換するにあたって、マッキンゼーの知見を借りました。

マーケティングプランを実施したあとに効果が見られないという判断となってしまい変更すると、多く販促物が入れ替えになりますし、広告内容も作り直しになるため、大きな費用がかかります。マッキンゼーへのコンサルティングフィーは、コンサルティングファームの中でも比較的高めでしたが、初期投資を行ったとしても、正しい方向に舵を切れるのであれば、長い目で見ればずっと費用を抑えられるという考えからです。

ファーム内でも単価の高さは誇らしげに語られます!

 

マーケティングは、どのようなプロフィールの消費者に、どういう目的をもって、いつどのような媒体にどのようなメッセージをうちだすかという戦略が非常に大切です。

間違ったレイヤーに対して遡及しても効果は期待できないですし、広告内容が不適切であればプロモーションされるどころか逆効果になることも考えられるからです。

そういう意味で、コンサルティングファームの中でも、戦略系コンサルティングに強みを有するマッキンゼーを選択しました。

 

コンサルティングファームの比較方法

数あるコンサルティングファームから委託先を選ぶにあたっては、コンサルティングファームの知名度や実績数、どの分野に強みを有しているかという観点で選びました。

例えば、筆者の前職では、監査やファイナンシャルアドバイザリー業務については、デロイトトーマツに依頼しています。大手のコンサルティングファームであれば、だいたいどの分野についてもサービスを提供していますが、やはり沿革や取扱い実績に応じて、それぞれ強い分野は分かれます。

餅は餅屋に、という言葉がありますが、やはり専門分野としてそれぞれのファームが自信をもって標榜しているジャンルであれば、安心してお願いすることができます。

ファイナンスプラクティスも当然ありますが、知見の深さについては本職のFAとは比較になりません 

 

プロジェクトの進め方

まずは、依頼したい内容を資料にまとめ、大枠ベースの提案と予算の見積もり提示を受けます。戦略の策定ということで、ほぼマッキンゼーに頼む腹積もりはあったものの、一応提案と予算は、相見積もりをとって他のコンサルティングファームと比較しました。

 

予算は少し高めだったものの想定内であり、また提案内容もスマートで期待がもてそうでしたので、予定どおりマッキンゼーに依頼しました。

 

筆者の前職では、ブランドコンセプトを大きく変えるタイミングで、マッキンゼーに依頼しました。ターゲットとする消費者の年齢層や性別などの属性ががらりと変わったため、前提となるデータが自社内にありませんでしたので、根拠となるデータがほしいところでした。

同じ業界でのコンサルティング経験が豊富なマッキンゼーに依頼することにより、競合他社の動向や、消費者調査などのデータを引用したうえで提案をしてもらえたことが、非常に満足度が高かったです。数値などで可視化されたデータは、経営陣への決済を仰ぐ際の説明時にも非常に説得力があったと思います。

コンサルティング会社の価値として「合法産業スパイ」という側面はあります。ファーム内では情報隔壁を持つように一応していますが、同じ人が類似プロジェクトを担当するためどうしても情報は行き来します。製薬などについては全社、コンサルティングファームを多数使っているためお互いに情報が筒抜けです。

自分が入社するとどのような仕事を担うことになるかは以下の記事をご参照下さい

コンサルタントの仕事内容とキャリア

 

マッキンゼーのコンサルタントの印象

正式に依頼の後は、他のコンサルティングファームに依頼するときと同様、キックオフを行い、担当コンサルタントと顔合わせをします。コンサルティングサービスは、個々のコンサルタントの能力や社内担当者との相性に左右されるので、キックオフが一番緊張します。

 

マッキンゼーの評判は、他のコンサルティングファームと比較してもアグレッシブなタイプのコンサルタントが多いと聞いていました。戦略系コンサルタントという響きからもそのようなタイプを想像していましたが、実際の印象は穏やかなコミュニケーションを好むタイプのコンサルタントでした。

デロイトトーマツのコンサルタントと比較すると、いかにも組織人というよりは、個人プレイヤーの印象を受けました。悪い意味ではなく、自分の発案とペースに基づき、仕事を進めていくイメージです。

コンサルティングファームNo1の自負も強く、個人としての能力も高いためクライアントの前では積極的に見せないようにしますが、プライドは当然高いです。 マッキンゼーのコンサルティンサービスは「良くも悪くもアウトプットが読めない」と言われます。自分が正しいと思いかつ根拠があるものについてはクライアントと対立してでも言え、という考えを表現した"obligation to dissent"(異議を唱える義務)があるため比較的異議を歓迎するカルチャーがあります。もちろんやりすぎはいけません。

 

使ってみてよかったところ、悪かったところ

 

提案されたアドバイスは期待どおり、クオリティが高いものでした。

資料は分厚いというよりは見やすく、重要な点をコンパクトにまとめられていました。また、筆者の前職は外資系ということもあり、ワードで冗長にまとめられた文章形式の成果物よりも、視覚に訴えるグラフィック資料のほうが、受けがよかったのですが、その点でも相性がよかったです。

会社のロゴなどを取り入れて美しくわかりやすくまとまっていました。

マッキンゼーの資料については以下の記事でも解説しております。

コンサルに転職する前に読みたいプレゼン資料

 

細かい文字で大量の情報が乗っているチャートよりもマッキンゼーでは視覚的にパンチがあるチャートを好む傾向があります。細かい文字大量系のチャートが重視されるファームは一般的に労働時間がかなり長いです

 

 

悪かった点としては、プロジェクトにアサインされたメンバーの数が、他のコンサルティングファームと比べると少ないように感じました。

予算規模による内規があるのかもしれませんし、船頭多くして船動かずではないですが、頭数が増えることによって柔軟な動きができないという可能性を排除しているのかもしれません。しかし、単純にマンパワーが増えれば、さらにクオリティが高い成果物が期待できるのでは、という感想はありました。

 

転職を考える人、コンサルタントへの注意点

マッキンゼーのネームバリューは大きいですので、その看板を背負ってアドバイスをするコンサルタントには、良くも悪くも大きな期待が寄せられます。そのプレッシャーに負けずに自分なりの成果物をアウトプットし、クライアントからの信頼を勝ち取ることが出来るメンタルの強さが求められるでしょう。

 

また、マッキンゼーに入社する人は非常に地頭がよく、それだけに自信過剰になったり、クライアント側であまり優秀ではない人がいた場合にいらいらしてしまうことがあるかもしれません。しかし、コンサルティングサービスは、あくまでもサービス業です。自分と同じようなスピード感を持っていないクライアントに対しても、わかりやすく提案を伝えていくコミュニケーション能力も重要です

コンサルに向いている人は誤解されがちです。こちらを見てどのような人が求められているのかを把握しましょう。

コンサルタントに向いている人とはどのような人か

 

マッキンゼーへの就職・転職の魅力

マッキンゼーの出身者には、政界・財界をはじめとして著名な人が多く排出されています。例えば、政治家の小池百合子氏の組織は、マッキンゼー出身の官僚が脇を固め、同氏の活動を磐石なものにしています。マッキンゼーで学べることや、実務を通して優秀な先輩、同僚、クライアントと切磋琢磨して磨かれる能力は、その後のキャリアに大きなアドバンテージを与えることでしょう。ポストコンサル転職でも、マッキンゼー出身というキャリアは大きく評価され、経営層などのリーダーに迎えられる機会も少なくないでしょう。

 

「元マッキンゼー」はキャリアを歩む上での「プラチナチケット」と表現されたりもします。入れる機会があるなら一度入っておきましょう

 

マッキンゼーは、コンサルタントを世界各国のブランチや大学研究機械で学ばせる人材育成の機会も大切にしているようです。グローバルファームで学び、アカデミックバックグラウンドを磨くことで、思考回路の切れをさらにアップさせることができるでしょう。

 マッキンゼーの面接では、事前に準備ができず、ビジネスシチュエーションを与えられその場でソリューションを考えさせる問題がでるようです。限られた時間内で、面接官を納得させる回答をするためには、日ごろから自分で考え答えを導く論理思考を育てることと、それを言葉に出来る言語能力が必要です。市販されているMBA思考法の本を読んだり、新聞に定期的に目を通すことでそれらの力はアップしていくことと思われます。

転職前に必見!コンサルティングファームの中途採用選考と面接の実態 

 

マッキンゼーと言えど、特殊な面接ではありません。志望動機、強み・専門性、ケースといった普通の面接です

 

マッキンゼーで働きたいと考える皆様に素晴らしいキャリアの機会が与えられることをお祈り申し上げます。

マッキンゼー・アンド・カンパニーに転職するには

マッキンゼーに絞るならマッキンゼーに強いエージェントを使う

マッキンゼー・アンド・カンパニーへの転職実績が多いエージェントと出会うことが重要です。一度落ちると再チャレンジは難しいため慎重に面接に望みましょう。

いきなりマッキンゼーを受けるのではなく本命ではないコンサルティングファームで肩慣らしをしてから受けることを強くおすすめします。コンサルティングファームの面接には慣れが重要です。

どのエージェントを使うかは『BIZREACH(ビズリーチ)』を使って見つけるとよいでしょう。

『BIZREACH(ビズリーチ)』に自分の経歴および転職希望条件を登録するとエージェントからスカウトが来ます。

マッキンゼーに転職したい旨を伝え、電話を一度してから実際に会うとミスマッチが少ないです。必ずマッキンゼーへの転職支援実績があるかを確認しましょう。

そうはいいつつマッキンゼーにはなかなか内定しない

従来より、ハードルは下がっているとは言えコンサルティング業界の王者マッキンゼーの採用ハードルは極めて高いことは間違いないです。

マッキンゼーに行きたい!という気持ちはよいのですが同時並行で複数のコンサルティング会社へ転職活動を進めたほうがよいでしょう。上で書いた通り、コンサルティング会社の面接には慣れが必要ですのでマッキンゼー以外に必ず複数の面接を経験してからマッキンゼーの面接に臨みましょう。

多くの面接を経験するには リクルートエージェント 、Dodaマイナビエージェント パソナキャリアという4大手エージェントを使うことがおすすめです。