転職前に知っておきたい!クライアントから見たマッキンゼー・アンド・カンパニー
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マッキンゼー・アンド・カンパニーといえば、優秀な人材が集まるコンサルティングファームの中でも別格のファーム、といわれるほど高い評判を誇るファームです。
マッキンゼーの強みは戦略系コンサルティングの提供です。大勢の従業員の運命を担う企業という船の舵取りをする役割を果たすこの分野は、まさにコンサルティング業界の花形といえるでしょう。
筆者は前職でマッキンゼーのコンサルティングサービスの提供を受け、広告マーケティングについてのアドバイスを受けました。マッキンゼーのコンサルタントと身近に協業し、知ったマッキンゼーの特徴、仕事の進め方などについてご説明します。
マッキンゼーについてはこちらの記事でも詳細情報をまとめておりますので、マッキンゼーに興味ある方は2つ合わせて読むことをおすすめします。
マッキンゼーを使ったクライアントの視点、そしてマッキンゼーで働く社員側の経験両方実際に経験した人の声です。
マッキンゼーの成り立ち
シカゴ大学の教授により創立
マッキンゼーは、シカゴ大学教授のジェームズ・O・マッキンゼーによって1926年に設立されたアメリカ生まれの大手のコンサルティングファームです。組織のなりたちがアカデミックなバックグラウンドだけに、理論派のサービスが特徴です。SWOT分析やロジックツリーなどの思考方法は、マッキンゼーから世に広まり、「マッキンゼー流の考え方」などというタイトルで多くの書籍も出版されています。
しかし、マッキンゼーを世界的なコンサルティングファームまでに押し上げたのはマッキンゼー氏ではなく1933年入社で弁護士出身のマービン・バウアー氏です。
彼が現在の大企業戦略策定に重点を置き、プロフェッショナルとしての仕事の仕方、階級を確立したマッキンゼー・アンド・カンパニーの実質的な創業者です。
彼以前のコンサルティングとは知識を持ったシニアが自らの知見を元にアドバイスするグレイヘアコンサルティングでした。それに対して自分の知識ではなく、データとロジックに基づいたアドバイスをするファクトベースコンサルティングをマービンバウアーは確立しました。
現在でもシニアな知見提供型のコンサルタントを「グレイヘア(白髪系)」と呼ぶことがあります。
世界に名だたる企業へのサービス提供
マッキンゼーは戦略系コンサルティングファームで、企業の経営陣が会社を運営するために重要なアドバイスをします。
非常に重要な経営判断に関与するため、優秀なコンサルタントが多く、米Vault社「世界で最も権威あるコンサルティングファーム(2006年-2017年)」で1位に選ばれています。また、米国でも日本でも、ハーバード、コロンビア、マサチューセッツ、東京大学などトップレベルの大学の卒業生が、新卒での就職先に選びたい企業にも1位にたびたび輝いています。
他の大手コンサルティングファームと同様、グローバル展開をしています。世界60カ国に105以上の支社を持ち、大企業を中心として年間1,600件以上のコンサルティング・プロジェクトにアドバイスを提供しています。
日本でのマッキンゼー
トップ企業の7割はマッキンゼーのアドバイスを受けている
日本での歴史も比較的長く、40年以上サービスを提供しています。グローバルファームですが、クライアント企業としては7割が日本企業です。国内上位30社の7割にアドバイスを提供しているため、日本の経済界はマッキンゼーの影響なくてはなりたたないといえるでしょう。
良くマッキンゼーを批判する人に「マッキンゼー日本オフィスのクライアントは外資系だらけ」という人もいますが実際のところそうではありません。
ちなみに正確な表現としては「トップ企業の7割はマッキンゼーを使ったことがある」というのが正しい表現です。さらに言えばトップ企業の殆どはコンサルを活用しており、その中のオプションとしてマッキンゼーを検討するのは当然ですね。
複数のファームを使い分けている事業会社が多いです。
マッキンゼーのプロジェクト数と売上はいくら?
マッキンゼーのプロジェクト数についてはマネージャーの人数で分かります。
マネージャーの人数=同時並行出来るプロジェクト数であり、プロジェクトの平均期間が約2ヶ月とするとマネージャーの人数 x 約5倍(稼働率は100%でないため調整)が年間のプロジェクト数とおおよそ等しくなります。
クライアント数という観点では、同じクライアントから複数のプロジェクトを受注することが一般的であるためプロジェクト数を3で割ったものが現在のクライアント数となります。
マッキンゼーの場合、マネージャーの数が30~50だとすると
・プロジェクト数は年間150程度
・クライアント数は50社程度
というのがおおよその数字です。
この計算方法は他のファームにも適用可能です。
複数プロジェクトを同時平行させるドリームインキュベーターのようなファームもあるため一概には言えませんがおおよそは上の考え方で計算可能です。
売上の推定方法は1チームの月間稼働が3,000~5,000万円、プロジェクト平均単価は6,000~1億円となるためプロジェクト数x1億弱(8,000万円)と考えるとざっと、約120億円が日本の売上と推定出来ます。
グローバルの売上が約1兆円。従業員数は25,000人。一人あたり売上は約4,000万円です。日本オフィスの従業員数がコンサルタント以外を含めると約300人であり300 x 4,000万円でも120億円です。
ということでマッキンゼー日本オフィスの売上は120億円というのは結構当たっていると思います笑。(実態は分かりません)
ちなみにこういった推定を行っていくのが俗に言うフェルミ推定です。
データがない場合の市場規模推定など、自然と使う機会が多いです。
そしてこの120億円の行き先は大半がパートナーへ行きます。下っ端に対する分配率は極めて低いのがコンサルティングファーム、特にマッキンゼーの特徴です
半分ネタですが、マッキンゼーではアソシエイト・アナリストは奴隷、マネージャーは奴隷使い、パートナーになってようやく「人間」などと言われたりします!
クライアントは何故マッキンゼーを使うのか
筆者の前職では、マーケティングプランを大きく変換するにあたって、マッキンゼーの知見を借りました。
マーケティングプランを実施したあとに効果が見られないという判断となってしまい変更すると、多く販促物が入れ替えになりますし、広告内容も作り直しになるため、大きな費用がかかります。マッキンゼーへのコンサルティングフィーは、コンサルティングファームの中でも比較的高めでしたが、初期投資を行ったとしても、正しい方向に舵を切れるのであれば、長い目で見ればずっと費用を抑えられるという考えからです。
ファーム内でも単価の高さは誇らしげに語られます!
マーケティングは、どのようなプロフィールの消費者に、どういう目的をもって、いつどのような媒体にどのようなメッセージをうちだすかという戦略が非常に大切です。
間違ったレイヤーに対して遡及しても効果は期待できないですし、広告内容が不適切であればプロモーションされるどころか逆効果になることも考えられるからです。
そういう意味で、コンサルティングファームの中でも、戦略系コンサルティングに強みを有するマッキンゼーを選択しました。
コンサルティングファームの比較方法
数あるコンサルティングファームから委託先を選ぶにあたっては、コンサルティングファームの知名度や実績数、どの分野に強みを有しているかという観点で選びました。
例えば、筆者の前職では、監査やファイナンシャルアドバイザリー業務については、デロイトトーマツに依頼しています。大手のコンサルティングファームであれば、だいたいどの分野についてもサービスを提供していますが、やはり沿革や取扱い実績に応じて、それぞれ強い分野は分かれます。
餅は餅屋に、という言葉がありますが、やはり専門分野としてそれぞれのファームが自信をもって標榜しているジャンルであれば、安心してお願いすることができます。
ファイナンスプラクティスも当然ありますが、知見の深さについては本職のFAとは比較になりません
プロジェクトの進め方
まずは、依頼したい内容を資料にまとめ、大枠ベースの提案と予算の見積もり提示を受けます。戦略の策定ということで、ほぼマッキンゼーに頼む腹積もりはあったものの、一応提案と予算は、相見積もりをとって他のコンサルティングファームと比較しました。
予算は少し高めだったものの想定内であり、また提案内容もスマートで期待がもてそうでしたので、予定どおりマッキンゼーに依頼しました。
筆者の前職では、ブランドコンセプトを大きく変えるタイミングで、マッキンゼーに依頼しました。ターゲットとする消費者の年齢層や性別などの属性ががらりと変わったため、前提となるデータが自社内にありませんでしたので、根拠となるデータがほしいところでした。
同じ業界でのコンサルティング経験が豊富なマッキンゼーに依頼することにより、競合他社の動向や、消費者調査などのデータを引用したうえで提案をしてもらえたことが、非常に満足度が高かったです。数値などで可視化されたデータは、経営陣への決済を仰ぐ際の説明時にも非常に説得力があったと思います。
コンサルティング会社の価値として「合法産業スパイ」という側面はあります。ファーム内では情報隔壁を持つように一応していますが、同じ人が類似プロジェクトを担当するためどうしても情報は行き来します。製薬などについては全社、コンサルティングファームを多数使っているためお互いに情報が筒抜けです。
自分が入社するとどのような仕事を担うことになるかは以下の記事をご参照下さい
マッキンゼーのコンサルタントの印象
正式に依頼の後は、他のコンサルティングファームに依頼するときと同様、キックオフを行い、担当コンサルタントと顔合わせをします。コンサルティングサービスは、個々のコンサルタントの能力や社内担当者との相性に左右されるので、キックオフが一番緊張します。
マッキンゼーの評判は、他のコンサルティングファームと比較してもアグレッシブなタイプのコンサルタントが多いと聞いていました。戦略系コンサルタントという響きからもそのようなタイプを想像していましたが、実際の印象は穏やかなコミュニケーションを好むタイプのコンサルタントでした。
デロイトトーマツのコンサルタントと比較すると、いかにも組織人というよりは、個人プレイヤーの印象を受けました。悪い意味ではなく、自分の発案とペースに基づき、仕事を進めていくイメージです。
コンサルティングファームNo1の自負も強く、個人としての能力も高いためクライアントの前では積極的に見せないようにしますが、プライドは当然高いです。 マッキンゼーのコンサルティンサービスは「良くも悪くもアウトプットが読めない」と言われます。自分が正しいと思いかつ根拠があるものについてはクライアントと対立してでも言え、という考えを表現した"obligation to dissent"(異議を唱える義務)があるため比較的異議を歓迎するカルチャーがあります。もちろんやりすぎはいけません。
使ってみてよかったところ、悪かったところ
提案されたアドバイスは期待どおり、クオリティが高いものでした。
資料は分厚いというよりは見やすく、重要な点をコンパクトにまとめられていました。また、筆者の前職は外資系ということもあり、ワードで冗長にまとめられた文章形式の成果物よりも、視覚に訴えるグラフィック資料のほうが、受けがよかったのですが、その点でも相性がよかったです。
会社のロゴなどを取り入れて美しくわかりやすくまとまっていました。
マッキンゼーの資料については以下の記事でも解説しております。
細かい文字で大量の情報が乗っているチャートよりもマッキンゼーでは視覚的にパンチがあるチャートを好む傾向があります。細かい文字大量系のチャートが重視されるファームは一般的に労働時間がかなり長いです
悪かった点としては、プロジェクトにアサインされたメンバーの数が、他のコンサルティングファームと比べると少ないように感じました。
予算規模による内規があるのかもしれませんし、船頭多くして船動かずではないですが、頭数が増えることによって柔軟な動きができないという可能性を排除しているのかもしれません。しかし、単純にマンパワーが増えれば、さらにクオリティが高い成果物が期待できるのでは、という感想はありました。
転職を考える人、コンサルタントへの注意点
マッキンゼーのネームバリューは大きいですので、その看板を背負ってアドバイスをするコンサルタントには、良くも悪くも大きな期待が寄せられます。そのプレッシャーに負けずに自分なりの成果物をアウトプットし、クライアントからの信頼を勝ち取ることが出来るメンタルの強さが求められるでしょう。
また、マッキンゼーに入社する人は非常に地頭がよく、それだけに自信過剰になったり、クライアント側であまり優秀ではない人がいた場合にいらいらしてしまうことがあるかもしれません。しかし、コンサルティングサービスは、あくまでもサービス業です。自分と同じようなスピード感を持っていないクライアントに対しても、わかりやすく提案を伝えていくコミュニケーション能力も重要です。
コンサルに向いている人は誤解されがちです。こちらを見てどのような人が求められているのかを把握しましょう。
マッキンゼーへの就職・転職の魅力
マッキンゼーの出身者には、政界・財界をはじめとして著名な人が多く排出されています。例えば、政治家の小池百合子氏の組織は、マッキンゼー出身の官僚が脇を固め、同氏の活動を磐石なものにしています。マッキンゼーで学べることや、実務を通して優秀な先輩、同僚、クライアントと切磋琢磨して磨かれる能力は、その後のキャリアに大きなアドバンテージを与えることでしょう。ポストコンサル転職でも、マッキンゼー出身というキャリアは大きく評価され、経営層などのリーダーに迎えられる機会も少なくないでしょう。
「元マッキンゼー」はキャリアを歩む上での「プラチナチケット」と表現されたりもします。入れる機会があるなら一度入っておきましょう
マッキンゼーは、コンサルタントを世界各国のブランチや大学研究機械で学ばせる人材育成の機会も大切にしているようです。グローバルファームで学び、アカデミックバックグラウンドを磨くことで、思考回路の切れをさらにアップさせることができるでしょう。
マッキンゼーの面接では、事前に準備ができず、ビジネスシチュエーションを与えられその場でソリューションを考えさせる問題がでるようです。限られた時間内で、面接官を納得させる回答をするためには、日ごろから自分で考え答えを導く論理思考を育てることと、それを言葉に出来る言語能力が必要です。市販されているMBA思考法の本を読んだり、新聞に定期的に目を通すことでそれらの力はアップしていくことと思われます。
転職前に必見!コンサルティングファームの中途採用選考と面接の実態
マッキンゼーと言えど、特殊な面接ではありません。志望動機、強み・専門性、ケースといった普通の面接です
マッキンゼーで働きたいと考える皆様に素晴らしいキャリアの機会が与えられることをお祈り申し上げます。
マッキンゼー・アンド・カンパニーに転職するには
マッキンゼーに絞るならマッキンゼーに強いエージェントを使う
マッキンゼー・アンド・カンパニーへの転職実績が多いエージェントと出会うことが重要です。一度落ちると再チャレンジは難しいため慎重に面接に望みましょう。
いきなりマッキンゼーを受けるのではなく本命ではないコンサルティングファームで肩慣らしをしてから受けることを強くおすすめします。コンサルティングファームの面接には慣れが重要です。
どのエージェントを使うかは『BIZREACH(ビズリーチ)』を使って見つけるとよいでしょう。
『BIZREACH(ビズリーチ)』に自分の経歴および転職希望条件を登録するとエージェントからスカウトが来ます。
マッキンゼーに転職したい旨を伝え、電話を一度してから実際に会うとミスマッチが少ないです。必ずマッキンゼーへの転職支援実績があるかを確認しましょう。
そうはいいつつマッキンゼーにはなかなか内定しない
従来より、ハードルは下がっているとは言えコンサルティング業界の王者マッキンゼーの採用ハードルは極めて高いことは間違いないです。
マッキンゼーに行きたい!という気持ちはよいのですが同時並行で複数のコンサルティング会社へ転職活動を進めたほうがよいでしょう。上で書いた通り、コンサルティング会社の面接には慣れが必要ですのでマッキンゼー以外に必ず複数の面接を経験してからマッキンゼーの面接に臨みましょう。
多くの面接を経験するには リクルートエージェント 、Doda、 マイナビエージェント 、パソナキャリアという4大手エージェントを使うことがおすすめです。