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日系・外資系別に詳細解説!投資銀行業界の年収

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コンサルファームなどと対比される形で「激務だけど高収入」というイメージのある投資銀行業界ですが、その実態については、「何となく給料が高そう」と思われているだけで知られていません。今回は実際に投資銀行部門で働いている方に聞いた上で、年収水準の実態について説明します。

投資銀行とコンサルティング会社の違いや年収に興味がある方は以下の記事を御覧ください。

投資銀行からコンサルティングファームへ転職する場合のポイント 

コンサルタントの給与・年収は?

投資銀行とコンサルティングファームのスキル・年収・キャリアの違い 

ファンドの年収についてはこちらでお話を伺いました。

投資銀行部門(IBD)には行くな!年収3000万円に聞く運用会社・ヘッジファンドへの就職・転職 

 

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投資銀行業界はまず「外資」と「日系」で整理して考える

本題に入る前に、投資銀行について簡単に整理しておきます。一般的に「投資銀行」とは、法人に対して資金調達やM&Aの実行などをサポートする証券会社の仕事の一領域を指します。「銀行」とありますが、一般的な意味での銀行とは役割が異なるので注意が必要です。従って、「投資銀行」というと、まず日系・外資を問わず証券会社として存在するか、もしくは証券会社の中の部門として存在していることが一般的です。

 

また、投資銀行を待遇面や、働き方の特色から考える上では先に挙げた「日系」「外資」という枠組みがよく語られます。詳細な中身は後段で触れるとして、日系は国内資本であり、外資は外資系資本の日本法人を指します。おそらく一般的なイメージに合う投資銀行は「外資系投資銀行」になります。超高給だけど実力主義で簡単にクビになる、というのは外資系投資銀行の一般的なイメージでありある程度実態に即したものとなっています。

 

一方で「国内系」「日系」というとどこにそんな投資銀行があるかというと、こちらは大手についてはいわゆる「大手証券会社」の中の一部門として存在しています。外資系投資銀行ではリテールビジネスを極めて限定的にしかやっていないので外資系投資銀行≒外資系の証券会社日本法人、となるのですが、日系は少なくともグロス収益ベースではリテールの売り上げが大半を占める会社が多く、あくまで「証券会社の中の一機能」として投資銀行が存在しています。

 

さて、大枠が整理できたところで、続いては本題の投資銀行業界の年収について説明していきます。

 

外資系投資銀行の年収・実態

まずは、一般的な「投資銀行」のイメージに沿う外資系投資銀行について説明します。外資系投資銀行の実態はある程度はイメージ通りで、「超高給だがクビになるリスクが高い」というものです。但し留意して欲しいのはみんながみんな「クビ」になってやめるわけではないという点です。

 

投資銀行の辞め方パターン

  • 足切り水準に引っかかり本当に解雇
  • 激務に耐えられなくなって自主退職
  • そこまで行かずともよりよい職場環境を見つけ自主退職
  • もっと稼ぐ方法(ヘッジファンド・起業など)を見つけ自主退職
  • もっと面白い仕事見つけて自主退職

 

並べてみましたが、要するにポイントは「自分で辞めていく人が大半」という点です。というのも、部門丸ごとなくなるリスクはあるにしても、通常営業している状態では毎年のクビになる比率は日本法人の5%〜10%いるかどうかなので、「どんどんクビになる」というのはややイメージが先行しているといえます。

 

さて、そんな外資系投資銀行の給料ですが、まず「高給である」という点は概ね世間のイメージ通りです。そもそも新卒入社した時点で600〜900万円程度はもらえますし、会社によっては最速2年目、一定程度のレベル以上の会社ならば20代後半には1,000万円を超えてきます。実力次第にはなりますが、一般的に30代半ばまで精神を病まずにクビにもならずに順調に生き残れば2,000万円も目指せるでしょう。

 

また、もう一つ外資系投資銀行の特徴として「年次で昇給」という概念はなく、給料は「職位に応じたベースサラリー+ボーナス」で決まります。この職位がどこに位置するか、上がるか下がるかは「実力次第」となりますので、年齢と給料はあまりリンクしません(但しそうは言っても20代後半くらいまではクビになるほどの能力不足でなければある程度のレンジには収まります)。

 

ちなみにもう一点ですが、中には「相場がよければ1億円以上の年収になる」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、これはおそらく外資系か歩合制の「セールスやディーラー」と混同している可能性が高いです。こちらは顧客に有価証券を販売したり、自己で有価証券のポジションを取って収益を稼ぐセクションです。「マーケット部門」「ホールセール部門」と呼び名は会社により異なります。外資系証券会社によってはこの部門を抱えている会社もありますが、一般的に投資銀行というと「企業の資金調達をサポートする」という冒頭の定義にあてはまる部分を指し、「マーケット」はまた別の業態となります。

 

長くなりましたが「投資銀行」では実は「◯億円」を年収として稼ぐことは、ごく一部のトップシニアでない限りありません。後ほど大まかな職位ごとの年収レンジを記載しますが、20代で1000万円台、30台半ばで2〜3000万円くらいがトップクラスの水準となります。

 

さて、細かい会社ごとの年収は外資といっても会社により違いますが、まずはイメージを掴むために「一般的な職位と年数目安、年収の関係性」を整理します。

 

一般的な外資系投資銀行の職位・年数目安・年収イメージ

  • アナリスト1年目(新卒):600〜900万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):800〜1,400万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):1,000万円~1,800万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,500万円~3,000万円
  • ディレクター(入社10年〜):2,000万円〜4,000万円
  • マネジングディレクター:3,000万円〜

 

これくらいでしょうか。リーマン前後・ギリシャ危機前後を目安に年収はやや下がったと言われております。それでも、日系企業よりは圧倒的に高いというのを感じ取ってもらえるかと思います。尚、年収については実際には目安ですが、アソシエイトくらいまではこのスピードに乗っかっていないとクビになるか辞めていく人がほとんどです。

 

尚、時と場合によってきますが概ね手取りで1,000万円を超えてくるとストックオプションでの支払いが増えてきます。いわゆる自社の株を「購入する権利」で受け取ります。クラスでいうとヴァイスプレジデントあたりからこのレベルになってきて、ディレクターのシニアクラスあたりからはストックオプション部分の方が多くなってきます。

 

また、ボーナスの比率の高さもよく話題になりがちですが、これも実はアナリスト〜アソシエイトの時代は後述する日系とさほど大きく差がありません。新卒ですと、ボーナスは100〜150万円程度ですし、アソシエイトなりたてでも、ボーナスの割合は年収の1/3行くかどうかというところです。アソシエイトの後半くらいから顕著になってきて、ヴァイスプレジデントに上がることには半分くらいがボーナスという形になり、またボーナスはパフォーマンス次第で大きく変わるので、年収自体が時と場合によって変動するようになります。

 

主要外資系投資銀行の年収

続いてはもう少し外資系投資銀行をブレイクダウンして説明します。外資系投資銀行の年収水準はさらに細かく分けると米系>欧州系大手>それ以外に分けられるイメージです。もちろん個社ごとに異なりますが、キリがありませんので、今回はこの分類でさらに詳細に年収水準を説明します。実際には職位、職務内容と収益性、自己のパフォーマンスにより大きく収入が変わる世界ですので、あくまで参考として捉えてください。

 

米系は現在日本でビジネスをやっているところですと「ゴールドマンサックス」「メリルリンチバンク・オブ・アメリカ」「モルガン・スタンレー」「JPモルガン」が主だったところです。この辺りが外資のなかでもとりわけ年収水準が高いですが、特にゴールドマンサックスはそのなかでも群を抜いています。概ね先に挙げた年収レンジのハイエンド付近で推移するイメージで、2年目には年収1000万円を超えることが充分期待できます。

 

  • アナリスト1年目(新卒):800〜1000万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):1000〜1,600万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):1,500万円~2,000万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,800万円~3,000万円
  • ディレクター(入社10年〜):2,500万円〜5,000万円
  • マネジングディレクター:4,000万円〜億越え

 

ちなみに職位の名前は会社によって若干異なりますが、複雑になるのでここでは上記に揃えます。だいたい名称が異なるだけで、階層の数はさほど差がありません。例えばモルガン・スタンレーではディレクター=エグゼクティブディレクターです。

 

続いて欧州系大手のイメージです。

  • アナリスト1年目(新卒):700〜900万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):900〜1,300万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):1,300万円~1,700万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,500万円~2,500万円
  • ディレクター(入社10年〜):2,000万円〜3,500万円
  • マネジングディレクター:3,000万円〜

 

大体パフォーマンスが高い場合なら3年程度で1000万円越え、普通のペースで20代後半で1000万円越えというところです。年収もマイルドですが、パフォーマンスに対する要求水準も若干マイルドであると言われております。「ドイツ証券」、「UBS」、「クレディ・スイス」といった企業がこのあたりの年収レンジに入ります。

ちなみに最近はドイツ証券など、業績悪化の影響でボーナスなしという事例はよくあります。5年目でボーナスなし、ベースサラリーのみで1,500万円と嘆いている人もおりました。

 

その他外資系投資銀行のイメージです。

  • アナリスト1年目(新卒):700〜800万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):800〜1,200万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):1,200万円~1,600万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,400万円~2,200万円
  • ディレクター(入社10年〜):1,800万円〜3,000万円
  • マネジングディレクター:2,500万円〜

 

ここまでに名前が挙がっていない外資系の投資銀行部門はもうすこしレンジが切り下がります。もちろんそれでも日系よりは明確に高待遇であることはいうまでもありませんが。その時の情勢にも大きくよってがきますが、名前の知れているところですと、「Citi証券」「バークレーズ」「ソシエテ・ジェネラル」「クレディ・アグリコル」といった企業がこのランクに入ります。

 

ここまで名前の上がっていない企業が「その他」並かもうすこし水準が切り下がるイメージで福利厚生も加味すれば日系と並んでくるようなイメージです。それでもサラリーマンとしてはトップクラスに含まれるのは間違いありません。

 

日系投資銀行部門の年収の概略・職位と年収の関係

外資系の投資銀行については先に説明した通りですが、続いては日系の投資銀行について見てみましょう。先に説明した通り日系投資銀行というのは大手の証券会社の中の一部門として存在していて、実際には「外資系」よりずっと多くの人が働いています。

 

働いている人の「出自」が会社により、また会社の制度により様々なので、それにより年収水準も差が出てきます。

  • 外資系に似た実力主義の給与体系
  • 給与体系は日本の証券会社に準ずる

 

大きく分けるとこの2パターンになります。①の場合は概ね外資と日系大手の間くらいの給与水準に落ち着きます。また、中堅〜シニアクラスからこのシステムを適用できる企業もあります。②の場合は基本的に給与テーブルは「証券会社の総合職」と同様で、給与体系も「残業代・基本給・賞与」という日本的な構成になっています。但し、基本給のテーブルの中でリテールと差をつけていて、かつ賞与も別枠で支給されるようになっているということが多いです。結果として、リテールの「平均」よりは相応に高い年収となることが一般的です。「平均」とカッコ付けしているのはリテールはリテールで成績次第で収入が大きく変わる世界のためです。

 

証券会社の給与体型に準ずる場合のイメージ

  • アナリスト1年目(新卒):400〜500万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):500〜800万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):700万円~1,200万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,000万円~1,500万円
  • ディレクター(入社10年〜):1,300万円〜1,700万円
  • マネジングディレクター:1,500万円〜

 

ちなみに裏話にはなりますが、会社によっては日本語のタイトル(証券会社全体で使うもの)と、カタカナのタイトルが並存している場合があり、その場合は日本語のタイトルに給与水準が依存する場合もあります。それでもある程度リンクしているようにできていますので、上記程度の年収をイメージすれば良いかと思います。

 

続いて、いわゆる「投資銀行的な」別の給与テーブルが用意されている場合ですが、これは企業によってばらつきが大きいものにはなりますので、次の章で個社ごとに紹介します。

 

主要な国内投資銀行部門の年収

さて、大手5社については働いている社員の声も参考にしながら各社の年収レベルイメージを紹介します。概ね野村>日興>三菱>みずほ>大和となりますが、その時々の業績や個人のパフォーマンスに依存するところも大きいです。また、このうち、野村・日興は投資銀行専用の給与テーブルと採用があり、三菱は年次が上がると投資銀行専用テーブルあり、みずほは投資銀行専用テーブルがあるものの、年収水準が高くない、大和はほぼ総合職のテーブルの枠組みしかないという状況のようです。今回はこのうち三菱までを紹介します。

 

まず最も高水準になる野村の給与水準は下記の通りです。

  • アナリスト             23歳〜25歳          700万円~950万円
  • アソシエイト        26歳〜29歳          1.000万円〜1,500万円
  • ヴァイスプレジデント        30歳〜   1,500万円〜2,000万円
  • エグゼクティブディレクター35歳〜                2,000万円〜3,000万円
  • マネジングディレクター    45歳〜 3,000万円〜

 

野村證券は数年前からIB部門のみの採用を行なっていて、給与テーブルが外資に近しいものとなっております。トップティアクラスには及ばないものの、日本企業としては群を抜いた高さです。一応契約上は「解雇リスクが高い」ものとなっているのですが、実態としては「解雇になった例は多くない」とも聞きますので、実はリスクリターンでみると優良なのではとの見方もあります。私も実際に全員アソシエイトに上がった、誰も首になっていない、としか聞いておりません。

 

  • アナリスト             23歳〜25歳          600万円~900万円
  • アソシエイト        26歳〜28歳          800万円〜1,200万円
  • ヴァイスプレジデント        29歳〜   1,000万円〜1,800万円
  • ディレクター        35歳〜   1,500万円〜
  • マネージングディレクター                 45歳〜   2,000万円〜

 

日興は3年目からいわゆる投資銀行の専門職に当たる特定部門に移ることができます。それが概ねアナリストの後半から、アソシエイトの入り口になるため、そのあたりから年収が伸び始めます。

 

最後に三菱UFJモルガン・スタンレー証券ですが、誤解しないようにしなければいけないのは、いわゆる外資系の「モルガン・スタンレー」とは給与体系が異なります。三菱UFJモルガン・スタンレーは一般的な証券会社に近い給与テーブルですが、「シニアクラスだけ別テーブルが存在する」仕組みとなっています。

これは入社経路のよってモルガン・スタンレー枠採用か、三菱枠採用かで全く別のルートをたどります。モルガン・スタンレー採用で三菱UFJモルガン・スタンレー証券に出向する場合は主要外資系投資銀行の年収のテーブルとなります。年にもよりますが、初年俸から約1,000万円ですね。

 

  • アナリスト1年目(新卒):400〜500万円
  • アナリスト2〜3年目(入社2〜4年):500〜700万円
  • アソシエイト(入社4〜7年):700万円~1,100万円
  • ヴァイスプレジデント(入社7年〜):1,100万円~1,500万円
  • ディレクター(入社10年〜):1,500万円〜2,000万円
  • マネジングディレクター:1,800万円〜

 

これまでの数字を見ると少なく見えるかもしれませんが、これでも一般的な会社員よりはかなり高給と言えます。大抵30歳前後では1000万円に到達します。みずほ、大和はどちらかというと一般的な証券会社の総合職との差が小さく、三菱よりさらに一回り安くなるイメージです。

まとめ

今回は投資銀行業界の給与水準について、実際に働いていた方や口コミの内容を元に紹介しました。外資系がイメージ通り高額なのはもちろんですが、日系についてもかなりの高待遇であるのがわかります。その分激務と成果主義の厳しい労働環境があるわけですが、それでもできるだけ多く稼ぎたい、という方には適した業界と言えるでしょう。