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「社会の底辺と関わるべきなのか」について

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こんにちは、シャイニング丸の内です。ふと下記の記事読んで思うところありました。

anond.hatelabo.jp

上のエントリーは非常に短い記事で要約すると「物乞いに金を要求されて支払って後悔した」という当然の内容であり何故話題になっているのかはいまいちわかりませんが、今回は「社会の底辺との関わり方」を考えるというテーマで書いてみようと思います。

そもそも「社会の底辺」とは?

古い記事なので乗り遅れ感ありますが以前バズっていた記事にこのようなカテゴライズがありました。

 第1階層 上級公務員、経団連加盟大企業勤務者、難関国家資格、成功した起業家。配偶者含む

第2階層 2流中規模会社勤務者。2流公務員

第3階層 中小企業勤務者、ニート

第4階層 フリーター、非正規社員派遣社員、飲み屋、風俗嬢など売春婦

唐突ですが、第4階層の人とは、口聞いちゃダメです。理由は、頭が悪いからです。第2の理由は、貧乏だからです。そういう人が正常な精神状態を保てるわけがありません、なにをするかわからないのです。 

 特に第一階層の解像度の低さは特筆すべきものがありますが、自分を第一階層に分類しようとした結果なのでしょう。細かいツッコミは省くのですがこのリストのみでは議論は完成しません。この後で引用元の記事には次のように書いてあります。

そういう人が正常な精神状態を保てるわけがありません、なにをするかわからないのです。覚醒剤中毒者と同じなのです。

 このカテゴライズは要するに犯罪発生確率を職業で分類しようとした試みということになります。つまり記事から具体的な職業を除き要約すれば「犯罪発生確率が高い人間からは自分が危険にさらされる確率が高いから回避せよ」という普通のことを言っているにすぎないのですが、この議論は例えば「全てのイスラム人は危険」と騒ぎ立てるような賢くない人がする議論と同じであるため、その議論の完成度の低さ(ツッコミどころの多さ)からバズるということになったのでしょう。

「もう底辺とは関わらねぇ」記事においても底辺=金を借り返さない(=犯罪者)を回避するべきであるという主張になっており、「社会の底辺とは?」という明確な定義付けは特に意味はなく「如何に社会との関わりの中で犯罪に巻き込まれる確率を最小化するか」という安全確保に関する議論が中心であることが分かります。

実際に関わるべきでない職業はあるか

次に考えるべきは職業と自分に危害を加える確率に明確な相関があるのであればそれを避けるべき、ということになります。職業別犯罪発生確率のデータがあるか見てみましょう。そんなデータあるのかと思い警視庁のサイトを見てみたら、ありました。

警視庁の統計(平成27年) 警視庁

意外とデータリッチです。さて、この中で職業別の犯罪発生数という包括的なデータは見つけられなかったのですが、特定犯罪に絞ってはありました。幾つか調べましたが大きく分布が変わらなかったのでここでは薬物事犯を例にとります。

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上から並べてみると結論はかなり見やすいですね。当然職業別の総人口数が異なるため一人あたり発生確率は職業別人数で割り戻さなければわからないのですが、まず暴力団等と無職には注目すべきでしょう。この2つで全体の65%を占めています。次に続くのが労務作業、サービス業、技能工といういわゆるブルーカラー系です。この暴力団等、無職、ブルーカラーという3つを含めると全体の80%がカバーされます。

結論としては

引用記事では危険度識別用のカテゴライズのはずが第四層にニートが分類されず、第三層に分類されており、有職の派遣社員が第四層なのは明らかに誤りでしょう。またこれだけのボリュームを占めているにも関わらず暴力団等に注目がされず派遣社員などに攻撃がなされているのは議論の完成度が低いと言えるでしょう。

「社会の底辺の関わり方」への考察はゆくゆく考えると「相手の職業により自分が犯罪に巻き込まれる確率を推定し避けるにはどのようにするべきか」という議論となり、その結論として「暴力団等、無職、ブルーカラーとの深い関わりは避けるべき」ということが言えそうです。センシティブなテーマについて主張をするときはステレオタイプではなくデータに基づいた議論がしたいものです。