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「好きなことをすればいい」というアドバイスは間違っている

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「何か若者にアドバイスお願いします!」という記事を見ると結論「好きなことやればいいじゃん」というものが結構多く見受けられます。

「好きなものを発信し続ければフォロワー数がつく」

「他人とは違う、自分で継続できる好きなものをやりつづければいい」

こんな好きなものやればいい教徒が拡大しているように感じます。

はて、ここで1つ問題があります。独自性の高い好きなものなんて多くの人にはないんです。好きなことで起業するには

・独自性が高い

・収益につながる可能性が高い

これらを満たしてかつ好きなんてもの、普通の人にはありません。だからこそ普通の人なのです。この普通の人に対して「好きなことすればいいじゃん」「好きなものをSNSで発信しつづければいいじゃん」というアドバイスはほぼ無意味です。

この記事では好き&独自性が高い&深さがある&収益を発生しうる何かをどう発見すればよいかを考えていこうと思います。

独自性の高い価値観を作る必要がある

まず他人と違うものを好きだと思う、つまり独自性の高い価値観を作る必要があります。他人と同じ価値観を持っていても独自性は発生しません。

例えば金儲け以外考える事ができない、休む、遊ぶなんて全く楽しくない、とにかく金・・・!金!金!

もしくは春雨が好きでたまらない。世界中を最高の春雨を求めて歩き、果ては自分で春雨を作ってしまった!

これは独自性ですね。

ソーシャルで面白いアカウントてこういうものが多いですよね。

逆に中途半端、つまり普通だと全く独自性はありません。

そこそこ金好き、そこそこおしゃれな食事するのが好き、そこそこ・・・。これは

最強の競争力は「共感されるコンセプト」 - シャイニング丸の内日報

こちらの記事で書いたのですが価値の源泉である「差異」がないため、事業として価値を生むことは難しくなります。

実例を上げると怪魚ハンターの小塚さん。どう見ても「普通」ではありません。

www.mbs.jp

普通ではないからこそ面白みを人々は感じて、怪魚ハンターということを仕事とし、情熱大陸に取り上げられるなどなっています。

他にもいくらでも事例は挙げられますね。

ここで考えるべきは、なぜ怪魚を釣り続けるという普通ではない行動を追求し続けられるのかという点です。待ちゆく人に「怪魚釣り続けてみろ!」と言っても「そんな興味ない」「意味わからない」と言われてしまうのがオチです。

独自性の高い経験を積む

私達はどのようにして他人と違う価値観を作ればよいのかと言えば、価値観が経験(読書のような空想も含む)に根ざしていると考えるなら他人と違う経験を積み続けるしかありません。

他人と違う経験をし、他人と異なる思考プロセスをし、独自性の高い価値観を作る必要があります。

仕事に関して言うと、流行っているもの、儲かると言われているもの。これらは他人がやりこんでいるので独自性の高い経験を積むことは難しくなります。

例えば今からAIだ!ビッグデータだ!と素人が参入してもそこには専門家がおり、その専門家が追求を続けた結果の流行があると考えると、参入しても三流に終わる確率は高くなります。

逆に産業廃棄物に20代を全て捧げた!産業廃棄物の研究をし、産業廃棄物処理のバイト、産業廃棄物処理のためのシステム設計を行った!

これはいかがでしょうか。そういった経験をしている人物はそう思い当たりません。こうすると産業廃棄物業界最強になることはAI業界最強よりも遥かに簡単となります。

他人が嫌いそう、キモいと言われている、こういった経験こそダイヤモンドのような価値を持ちます。

特に中高生くらいのナイーブな心だと他人と外れている、普通ではない、ということをコンプレックスに持ちがちですが、逆に捉えてはいかがでしょうか。

他人と同じことにはなんの価値もない、独自性を作り続けていると考えると見えるものも違うかと思います。

市場があるものを追求する必要がある

独自性の高い経験をしろ、と言ってもなんでもいいわけではありません。

まず第一の条件は市場が存在する行為である必要があります。

紙の束をホチキスで止めることが好きで仕方なくて、一日中やり続けてしまう。

こういったギネス系の行為は結構ありますが、あまり価値を産まないことは直感的に分かるかと思います。

先程の怪魚ハンターとの比較で考えると、「釣り」「狩り」というのは大きな市場が存在します。大きな市場内のエクストリームコンテンツが怪魚なので仕事が成立するのですね。

産業廃棄物にしても大きな市場が存在します。それに対して「ホチキス止める市場」は極小(BPO、事務、派遣市場の中のごくごく一部)です。

市場が存在しないものを追求しても価値を創出するのは難しくなります。

*新市場は「創出される」のか?

こういった反論があります。ライドシェア市場てなかったじゃん、SNSもなかったじゃん、民泊もなかったじゃん。確かにそのように定義された市場は新しいですがライドシェアは「移動」、SNSは「媒体」(ビジネスモデルは広告)、民泊は「宿泊」。広く捉えれば大きな市場があるものです。

無から市場は生み出されたわけではなく人間の欲望への応え方が変わったため新市場を形成したと捉えるべきかと思います。

金に対する嗅覚を磨く必要がある

キモい、特有の行為をし続ける人が全て経済的に成功するわけではありません。市場があるもので、高い専門性を発揮した人が経済的に成功しやすくなります。

これを考えると「世の中では何に需要/市場があるのか」という動向を捉えていないと本当に気持ち悪いおじさんとして死ぬことになってしまいます。もっと言えば金の匂いに対する嗅覚を磨く必要があります。

磨き方としては読書、★金儲けを実際にやる★、IR資料読み込む(世の中で何が儲かっているのか知る)がおすすめです。

読む本としては流行りものの新書よりも歴史的な背景を踏まえて時代を分析した本を読むと時代がどう流れていくかが見えてくると思います。

 例えばおなじみサピエンス全史

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

ピケティ本 

21世紀の資本

21世紀の資本

 

 私が大好きな業界地図

「会社四季報」業界地図 2018年版

「会社四季報」業界地図 2018年版

 

もちろん、そんなことせず偶然好きなことを追求し続けたらなんかヒットしたという人が多数いるのは理解していますが、少しでも確率を上げるためには有効かと思います。

金に対する嗅覚を身につけると様々なことがうまくいきやすくなります。

「好きなことすればいいじゃん」という主張をする人は彼ら/彼女らのプロフィール見れば明らかですがこの嗅覚を一定程度持っていることを前提に話しています。

彼らのアドバイスを実現するためには

1.金に対する嗅覚を磨く

2.1の観点を踏まえて独自性の高く&好きなことを追求し続ける

この段階を踏む必要があります。

どうやって金を儲けるのか

さて、好きなことを追求し続けてそれなりに市場がある領域で独自性が出てきたとしましょう。具体的に言えば知名度を獲得し、知見も溜まってきたとしましょう。

次はどうやってその知名度と知見を使えば儲かるかを考える必要があります。まず下手なやり方(それでも収益は生みますが)についてご紹介します。

儲かりづらい方法

ライター

書籍出版、メディアからのコンテンツ制作依頼を受ける

広告

知名度を使ってスポンサーをつける

タレント

出演料、講演料を稼ぐ

個人が生きるには足るでしょうが、相対的には儲かりづらいです。

儲かりやすい方法(難易度はそれなりにあるが)

独自ブランドを売る

独自ブランドの製品を出している芸能人は多く居ますね?この場合は知名度と自分のイメージを合わせて販売をしています。大げさな話、普通のTシャツにロゴを印刷したくらいでもフォロワー(信者)には通常の数倍で売ることも可能です。労働集約的ではなく儲かりやすいですね。

有料コンテンツ販売

信者数が多くなれば自分のお告げを売ることも可能です。売上1億円と言われるホリエモンメルマガですね。こちらも原価はほぼなし、売上と労働量は比例しないので儲かりやすいモデルです。

独自のビジネスを作る

追求し続けた結果、事業化の機会に気付いてしまう例もあります。上で挙げた「ブランド」はデザインなどをカスタマイズしたことを指していますが、それより一段上にあげた方法です。「好き」を追求したのレベルからは離れますが、時価総額数千億あるユーグレナなんてその例として考えることも出来ます。

ミドリムシの培養とその事業化ということを追求し続けた人は創業者である出雲氏以外には非常に少なかったのではないでしょうか。その苦労を無理だ、ミドリムシなんて、などと言われながらも追求した結果今のユーグレナがあります。

好きを追求することで数千億まで到達出来うることは多くの例が証明されています。

まとめると

・「好きなことやればいいじゃん」の実践には独自性の高い経験と金儲けの嗅覚が必要

・追求し、知名度や知見を獲得した後どのくらい儲けられるかは腕前の差がでる

それでは独自性の高い変態として頑張りましょう。

参照)独自性の追求はキャリア構築でも同じです

www.shiningmaru.com