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3年目で年収1000万円!総合商社でベンチャー投資10年を経験し独立した事例

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こんにちは、今回のインタビュー対象は10年間勤務した財閥系商社を退職し、フリーランスコンサルをしているTさんです。
 
総合商社時代は一貫してPE、ベンチャー投資に携わりロンドン、シリコンバレーでの業務経験もされています。
商社の投資業務に関する非常に面白いインタビューが出来ました。
特に商社に興味がある方は是非読んでみて下さい!

何故総合商社に入社したのか

正直に言ってしまえば田舎の工場で働くよりも都会でネクタイを締めて働く仕事に魅力を感じたからですね。
元々理系だったのですが、かなり早い段階からエンジニアや研究職の仕事ではなくビジネス系の仕事につこうと考えてました。
 
大学院までは進んでいるのですが、これは社会に出る覚悟が学部の段階ではつかなかったことが正直な理由です。
9割が進学する学科でしたので一応少しだけ就職活動はしたのですが雰囲気に乗って大学院には進学しました。
 
そして何故様々な選択肢がある中で総合商社だったかというと経営に携わりたいという理由です。

リスクを最小化する考えでなくならない能力「経営」を選択

就職活動では広く会社を検討しましたが、40年間勤める安心感を持っている会社というか職種が少ないように感じました。
1つの職種で40年間食い続けるのは難しいということですね。
 
そこで資本主義がある限り、経営という仕事はあるはずと考えリスク最小化の考えで「経営」を考えるに至りましたね。
経営に興味を持っていたのは元々父が自営業だった影響も大きいと思います。
 

自分が総合商社に内定したのは何故か

 
生意気な感じがハマったのかと思います笑。
自分がオーナーシップ、主導権を持って進めていきたいという意思が強くあったので面接の場でもそれをアピールしました。
逆に銀行や生保ではそういった色は歓迎されえないと想定していたので控えめにしました。
ただ控えめだと自分の色が出ないようで、結果は芳しくなかったですね。
編集コメント:
「オーナーシップ」「主導権を持って進める能力」は一般的にはビジネスにおいては歓迎されるスキルです。
それどころか最重要スキルに位置づけられます。
これを歓迎しない会社は若者は逆に入社しないほうがよいのではと思います。
 

総合商社に入社した後の業務内容

入社して金融系の部署に配属になりました。
1年目はそこでデイトレードをしていました。
その後、2、3年目でベンチャー投資、PEの契約関連等のミドルオフィス業務。
4年目からは投資担当ですね。
 
幸い新卒であったので、出来ないことが当たり前という考えが受け入れられたのでスキル面で「困った」という記憶はあまりありません。
出来ないことがあったら先輩に聞いたり本やネットで調べたりして日々勉強していました。

資格は若者の武器!

勉強で役に立ったのは証券アナリストの資格取得ですね。
広く、浅く投資関連の知識を身につける事ができ実務でもかなり有用でした。
 
特にこういった知識・スキルを磨くことは若手には強くおすすめしたいですね。
若手は立場がないので正論しか武器がありません。
シニアなポジションになってくれば立場で勝負出来ますが、立場のない若手でスキルも知識もなかったら苦労しますよね。
 
簿記二級も持っているのですが、これは入社前に簿記三級を取ることが二年目昇給の条件に課されたからです。
やってみると面白いし簡単に感じたのでそのまま勢いで二級まで取ってしまいました。
実務に役に立った実感は簿記だけですとあまりなく、証券アナリストの試験対策に役に立った感覚ですね。
編集コメント:
資格などの「ハードスキル」は確実な武器です。
特に若いうちは抽象的な交渉よりもスキルによって価値を発揮することが多いため確実なスキルは多いにこしたことはないです。
抽象的な力は職位が上になるとより重要になりますが、ハードスキルがないと上位職位に上がることが出来ません。
Tさんが行ったように勉強は継続しましょう。

突然のシリコンバレー転勤で英語に苦労

スキルで一番苦労したのは英語です。
シリコンバレーに英語が全く話せないまま行くことになったのでとても困りました。
議事録は最も若い社員が取ることになっているのですが要点も抜けててボロボロの議事録を書いていました。
 
私のように英語勉強にあまり力を入れてこなかった人間がまず当たる壁はスピーキングでしょうね。
言いたいことを言う、ということ。
 
これは何かを訴えかけようと恥ずかしがらずにやるしかないと思います。
行ってQの出川が日本語で話かけても通じてしまうような。
ある程度話せるようになると気付くのはあまり多くの語彙はなくても話せるということです。
恋愛やプライベートにはニュアンスの違いは重要でしょうが、ビジネスではネガティブ・ポジティブくらいが分けることが出来ればまずよいのではないでしょうか。
編集コメント:
プライベートで英語を使うことはビジネスと比べてやはり難しいと思います。
英語を勉強するのであれば映画、ドラマなどよりもビジネス英語を普通に勉強したほうが効率はよいでしょう。
 
思い返してみると、投資をする側だからなんとかなったというのも大きいと思いますね。
これが自分が投資を受ける側や売り込む側だったら違ったと思います。
シリコンバレーの後はロンドンでも勤務し、合計の海外勤務期間は2年弱ですね。
 
東京に戻ってきた後は相変わらずベンチャー投資業務です。
資対象は医療や観光、IoTなど一定の縛りはありますが、観光なんて何でも結び付けられるのでなんでもありではありますね。

残業時間は部署によって大きく違う

ちなみに私が所属していた部署は商社の中では異質で長時間労働を良しとしない欧米風な価値観がありましたので7時くらいには帰ってましたね。
この後に合コンにもいけますし、勉強も出来ます。
このような環境でしたので勉強時間の確保はそれほど困りませんでした。
 
他の部署は拘束時間が長い部署も多く、やはり長い時間オフィスにいたほうが偉いという価値観がありました。
そのような部署にいた場合は土日をフルに使わないと難しいでしょうね。
 

「投資家」としての総合商社が持つ優位性

編集コメント:

近年はどこもかしこもベンチャー投資ということで、投資家が増えています。金を出す側としての魅力がないと有力なベンチャーに投資することは出来ません。

産業ノウハウがあまりない商社としてはその魅力をどのような点で確保するのでしょうか。

2つの王道理由:販路と金

これは主に2つあります。
1つは販路です。
地域的に分散した拠点を世界中に持っていて情報収集もワールドワイドに出来るという価値。
もう1つは財布の大きさです。
金持ちです、ということですね。
意思決定さえすれば一度に投資出来る額はかなりのものなのでその価値はあります。
 
ただシリコンバレーだと投資実行までするのはかなり難しかったですね。
投資実行に至った場合も王道のケースというのはあまりなく本当にケース・バイ・ケースです。

実は担当者の印象が重要

私の感想としては個人の担当者の印象は相当大きいということです。
ベンチャー投資の場合は投資実行すると取締役を派遣する場合もあるので担当者がベンチャー側から見て一緒に働きたい人物か否かというのはかなり大きな要素です。
 
ベンチャー投資に携わる中で印象的だったのは私が立ち会ったわけではないのですが、昔うちの会社にまだまだ売れてない時代のビル・ゲイツが来て投資のチャンスもあったらしいんですよ。
 
当時投資出来ていたらリターンは何百万倍か何十万倍で今の屋台骨になるほどのおものだったでしょう。
シリコンバレーにオフィスがあるのでyahoo!やfacebookなども実際に投資チャンスがなかったわけではないようなのですが、最終的には意思決定が出来ず機会を逸し続けています。

ベンチャー投資の生き字引が社内に存在

商社は縦割り文化なので20,30年間ベンチャー投資に携わっている生き字引的な人もいました。こういった人がいるので知識は聞けばどうにかなる環境ではありました。
ただそういった大先輩と2,3年目の私が話す機会は多くないのでやはり独学が大きいですね。

超投資プロフェッショナルならば外資系のファンドに転職すれば給与倍以上になるのは?

実際のトラックレコードが大したことないからしないのではないでしょうか笑。
それとクビにならない年収2,000万円保証というのは悪くないポジションです。
編集コメント:
外資系のプライベートエクイティファンド(ベインキャピタル、KKRなど)なら若手でも3,000万円+キャリー(億を超えることがあるボーナス)、シニアのポジションは年俸がまず億超えで商社と比較になりません。
ただしそこで生存し、シニアまでに上がる難しさも商社とは比較になりません。
近年ではシニアのポジションは詰まっていると言われて若手が出世出来ない状況が続いているようです。
 

総合商社のベンチャー投資て意味あるの?

昔から総合商社のベンチャー投資は社内のプレゼンスは低いです。
特に現在の総合商社は資源で高い利益を上げているので資源系の方々からの風当たりが強いです。
ベンチャー投資など商社にとっては「お勉強」であり価値が低いと常に言われ続けます。
ただそれでも消えない理由としては次のfacebookやmicrosoftがいつ、どのように登場するかは予測不能でその領域に鼻が効く人がいないと会社として困るだろうということですね。
 
特に最近は社内でも盛り上がってます。
背景には総合商社は各社、資源価格が高騰し、高い利益を上げている状況ですので金が余っているからですね。
金を内部で持っているだけよりは投資をしたほうがよいという考えです。
 
ただ好景気のときに投資を行うので高値掴みはしやすいですね。
逆に株価が下がり高値づかみを防ぎやすい経済状態ですと、商社の業績も悪化するので投資はしづらい。
 
大企業はやはり合議制で決まりますので逆張りをするようなリスクテイクはしずらいですよね。
編集コメント:
ファンドは投資委員会という少人数の組織があり、投資の意思決定はそこでなされます。ベンチャー系では個人で意思決定する場合もあるくらいです。
ただし商社はあくまで大企業であるためリスクテイクをした判断は取りづらいですね。

魅力的そうに見える仕事内容でも辞めて独立したのは何故か

 
10年ほど年次が上の先輩を見ていると皆さん幸せそうなのですが、金太郎飴に見えてきました。全員同じというか。
そのような金太郎飴に自分もなりたいと思えなかったのです。
 
転職などではなく起業したのはベンチャー投資業務を通じて多くの起業家たちと会う機会があり、その生き方に憧れを感じたからです。
リスクがあるのは確かですが、その振れ幅も楽しそうに感じました。
自分の人生の意思決定者という印象は受けましたね。
 

3年目で1000万円超え!驚きの総合商社の年収

収入は1年目で500万円程でそれ以降は150~200万円づつ増え続けました。
3年目で残業代含めると1,000万円以上になりましたね。
4年目はシリコンバレーに駐在したので家賃補助等含めると格段に高い待遇になりましたね。
 
編集コメント:
商社の海外駐在は超好待遇で、発展途上国などでは「ハードシップ手当」と呼ばれる手当に加え、ドライバー、家、教育費などが加算され実質年収3,000万円以上と言われます。
外資コンサルでも3年目で1,000万円を超える例は少ないですし海外オフィスに行っても待遇は同じであり手当なんてものはありません。
これを遥かに超えるのは外資金融系くらいなものです。
商社恐るべし・・・。人気の理由がわかりますね。

 

私以外にも残業をたくさんしていると4,5年目で1,000万円強になる同期もいました。
この好待遇は私がいた時代が空前の高ボーナス時期だったこともあります。
1年目のボーナスは月給11ヶ月分でした。
 
退職した10年目で1,500万円程でした。
 
一般的には商社に勤めていると50歳で2,000万円前後、その後出世しなくても横ばい状態が続き60歳で定年を迎えます。
出世して部長・本部長になるとそれを超えていきます。
部長もしくは部長級(関連会社社長等)になるのは同期の1/5ほど。
部長で年収3,000万円ほどです。
早い人では40代後半で部長になります。
平均では50前後だと思います。
 
その上の本部長、つまり執行役員になれるのは同期の1/10未満。
よくわからないですが、年収は4,000~5,000万円と聞いています。
本部長になるのは早い人で50歳、平均では50前半です。
 
取締役級は本部長のうちさらに1/3以下、つまりここまで到達出来るのは120人ほど入社した場合は2,3名ほどです。
ここまでいかなければ関連会社に出向することになりますね。
 
私の場合は消費欲があまりないので生活は収入が上がってもそれほど変わりませんでした。
ただ綺麗な部屋に住みたいとは思ってたので家賃には金をかけましたね。
その程度です。
 
敢えて言うなら収入向上がもたらす価値としては不安が少なくなる、ということはありますね。
編集コメント:
役員級になれるかどうかは、自分の努力はもちろん波に乗った部署にいる必要があります。超マイナー部署では関連会社の要職に付くことは出来るでしょうが本体の役員級までに上がれるかどうかはかなり確率が低くなります。
これは運ですね。

総合商社ではどのようにモチベーション維持するのか

3つあると思います。
1つは出世。同期よりも早く出世したいという競争心。
もう一つは自分自身のものさしを持ち、仕事に意義を見出すこと。
そして3つ目は商社内に限らないキャリアプランを持ち仕事に取り組むこと。
 
誰がどれをモチベーションにしているというわけではなく、1人の人間の中にこの3つが1:1:1くらいで混合されていると思います。
編集コメント:
コンサルや金融などの外資系ではUp or Outと呼ばれるルールがあり、3-5年で一度出世出来ないと自動的にクビになります。
実際にはコンサルでは強制退出というよりも自分で悟って自主退職という流れが多いです。
外資金融系では暴落が起こる度に映画で出るような強制退職があります。
このため出世のために働くモチベーションは商社のように20年後の出世をモチベーションにして働くよりも強いものとなります。
 

商社だからこそ身につくスキル「コーディネーション」

 
商社だからこそ身についたと思うスキルに「ビジネスのコーディネーション能力」があります。
商社の中には金しかなく、現場レベルでの産業のノウハウも実はありません。
そういう環境からパートナーをファシリテートとしてなんとか新しいビジネスを作り出そうとしています。
 
多くのパートナーを巻き込み、将来性があるように方向性を作り、資本提携や業務提携につなげるという一連のプロジェクトマネジメントは商社ならではの業務ですね。
これを若いうちからパートナーの課長部長レベルと仕事を通じ身につけていくことが出来ます。
資源に関しては相手が大きすぎるので若い内からこういった役割を担うことは難しいですが、食料・IT・材料などのように新しいことを作らないと存在意義がなくなってしまう部署では日々このような価値創造に挑戦していますね。
編集コメント:
特にITなんかでは小さな会社も多く、若手の1年目からでも相手側の社長とディスカッションを進めるなんてことがあります。
私の印象としてはコーディネーション能力を持った若手は非常に少ない(当たり前)ですが、この現場を経験出来ることはキャリアにとって非常によいものでしょう。

今なにやってるんですか笑

 
退職して半年は本当に何もしませんでした。
その後に自分で意識的に始めたわけではないのですが、流れで経営コンサルをやることになりました。
今は4社ほど顧問先を持っております。
 
客のリードはクラウドソーシングで獲得しています。
例えば採用パンフレットを作りたいという仕事があったなら、多くの場合は採用パンフがないことが真の問題ではなく、採用ブランディング戦略がないことが課題だったりします。
そういった企業に提案を行ってますね。
 
価格としては時給がおおよそ7,000円から15,000円になるように調整しています。
実際にはやりやすい客なら安めでもやりますが、嫌な客なら高めにするという調整をしています笑。
直近1年でようやく収入が1,000万円を超えました。
 
今後これを60歳、70歳まで続けるという考えはあまりありませんが、かといってすぐに事業を立ち上げるという考えもないですね。
 
しばらくは流れに身を任せます笑。
 
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