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デロイトトーマツコンサルティングに転職する前に見たいプレゼン・パワポ資料とコンサルの仕事基礎

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今回の記事ではデロイトトーマツコンサルティング(以下DTC)を始めとして、コンサルティング業界に興味を持っている方にコンサルタントとして働くとはどういうことかをイメージして頂くために、DTCの公開されている資料を元に業務内容の解説を行います。

資料として取り上げるのはこちらです。

デロイトトーマツコンサルティング合同会社

平成26年度総合調査研究

「我が国のイノベーション創出環境整備に関する調査研究」

最終報告書 2015年3月31日

http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2015fy/000084.pdf

経産省からの調査委託になっております。

コンサルティング会社は政府を顧客として持っているところが多く、パブリックセクター対応の部署が主にこの業務に当ります。

案件獲得ルートとしては

・省庁から入札がある、という情報が入り提案資料を作成

・価格と共に提案を実行

・点数で評価され落札

という手順となります。入札情報は公開されるため、後ほどいくらで応札したのかを見れるものもありますね。

経産省から外部に委託された調査プロジェクトおよび落札した企業、アウトプットをこちらで参照することが出来ます。

委託調査報告書 (METI/経済産業省)

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プロジェクトの目的・アプローチの明示

 まず最初に、プロジェクトの背景・目的および調査アプローチの明示です。

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これはパートナーがクライアントと握るべき部分です。

パートナーとは案件獲得・品質保証をするコンサルティング会社での最上位職種です。マネージャーがパートナーが取ってきたプロジェクトをアソシエイト・アナリストの手を使いながら実行するのがコンサルティング会社の基本構造です

どのような課題をプロジェクトでは検討対象にするのかの範囲をスコープと呼びます。

これをクライアントと明確に握れないとクライアントからは「あれもこれもやってくれ」という要望が来ます。

営業マンたるパートナーは顧客の要望に基本的に答えようとするため、スコープを広げようとします。それをマネージャーが拒否出来ないとアナリスト・アソシエイトが激務となり死ぬことになります。

ITの受託開発の営業と開発の対立と似ている構造です。

スコープがプロジェクト中に広がってしまうパートナーは評判が悪くなってしまいます。

 

 

プロジェクトの呼び方はファームによって違います。DTCでは案件やプロジェクトと呼びます。他にもケース、スタディなどの呼び方がありますね

クライアントの本当の望みは何かを把握しないとプロジェクトは迷走します。今回のプロジェクトは「イノベーションを日本企業が生み続けるための大胆な解決策を提示する」となっております。

もし私がマネージャーならば進め方には悩むところです笑。

抽象度が高く、「大胆な」と文章に入っていることも難易度が高いプロジェクトに感じます。

ワークプランの設計

これを実行していくための手段が二枚目のチャートに示されています。

パワポ資料のことをチャートと呼びます。コンサルタントになると嫌になるほどこのワードを聞きます。

さて、今回のマネージャーはどのようにワークプランを作ったのでしょうか

 まず2つにプロジェクトを分けています。情報収集対象および方法とインサイトを考える部分ですね。

1つが社内メカニズムの調査・分析。どのような組織であればイノベーションが生まれるのかを調査します。それをフレームワークとして整理しているようですね。

情報ソースとしては文献・ヒアリングですね。ヒアリングとはインタビューのことです。これはDTCの社内、イノベーション創出企業として有名な企業へのインタビュー申し込み、ENS(Expert Network Service)という3つが主な手段になっていると思います。

二番目のイノベーション創出企業へのインタビュー依頼ですが、依頼を受ける側にあまりメリットがありません笑。電話・メール各種のアプローチをし、断られながらインタビューをセットするというのもコンサルタントの仕事ではあったりします。

ENSは知見を持っている人を囲い込んで主にコンサルティング会社や経営企画部を顧客としインタビューを仲介する企業です。

国際的ENSはGLGなどが有名でDTCでもGLGを使う機会が多いです。

国内ではビザスクをDTCは使っています。国内においてはビザスクの方がGLGよりも安く、ネットワークもあります。価格としてはGLGが1時間10万円、ビザスクは安ければ1時間1.5万円からインタビューを実行することが出来ます。

アナリストにとっての仕事:「ロジ」

「ロジ」という言葉がコンサルティング業界ではよく使われます。

これは日程調整や機材の手配などコンサルティング業務ではない一般雑務です。

特にコンサルタントとして価値を出せないとプロジェクト中みなされるとロジばかりさせられることとなり辛いです。

バリューを出せない状態が続くとプロジェクトにアサインしてもらえず「アベる(アベイラブル)」になり社内失業となります。退職も近いことでしょう。

 

超重要スキル:インタビュー

コンサルタントは必要な情報を定義、情報収集、解釈、提案という流れで提案資料を作ります。ここで情報収集方法としては文献・データがある場合も多いのですが、人の頭の中にしかなくインタビューで情報を収集する場合も多いのです。

 

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資料中にはこのようにしてヒアリングから得たファクトとし、盛り込む場合が多いですね。

インタビューはコンサルタントの超重要スキルです。

誰に聞くべきか、何を聞くべきかを設計し、スムーズに答えを引き出すのはプロとなる必要があります。

社内メカニズムおよびエコシステムに情報収取を分ける

社内の仕組みだけでなく、ネットワークとしてどのようにイノベーションが創出されているのかに注目しています。面白い観点ですね。

確かに考えてみれば情報がないとイノベーションの種がなく、金がないと投資資金がなく、人がいないと実行体制が組めません。イノベーションとは社内や個人に閉じたものではなくネットワークとして生み出されることでシリコンバレーのような場所が生まれるという解釈です。

仕事の詳細についてはこちらでも説明しています。

コンサルタントの仕事内容とキャリア 

インサイトの導出と提案

さて、社内およびエコシステムとしてのイノベーション創出を研究したらそこから提案にする必要があります。

コンサルティング業界では空雨傘というフレームワークがよく使われます。

が暗い(ファクト)

今までの経験からするとが降る(インサイト)

だからを持っていけ(提案)

この3つがセットでなければなりません。最終資料だけでなく普段話すときもそうです。

これがコンサルタントが理屈ぽいと言われる所以です笑。

今回も「海外ではこんな成功事例があります」とだけ言ったのではそれはコンサルティングというより調査です。経済産業省がアクション可能な提案にしないとコンサルティングではないのです。

 今回も当然提案があります。ここでは「求められる政策アイディアを立案」の部分ですね。難易度が高いだけに、これは中身を見るのが楽しみです。

調査パート:イノベーションと社内メカニズムの関係

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さて、いよいよ本編です。

先程の社内メカニズムとイノベーションとの関係ですね。冒頭ではフレームワークにより整理されたと語られていました。どのようなフレームワークでしょうか。

2.1にある「問題意識」ですが、イノベーションて必要だけど難しいよねがひたすら述べられています。クライアントからすると「知っているよ!だから発注しているんだ!」と言われてしまうのであまりパワーを割くパートではありません。

問題意識の明確化・頭の整理

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 こんなです。

ただこれは導入部分で2.1の後半にはこのような分類があります。

いいですね、いわゆるMECE感というのが議論されるチャートです。

新規・既存を分けるだけの分類はよくありますが、新規(企業にとって)、新規(世の中にとって)は面白みのある切りです。

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これを日本企業は「世の中にとっての新規顧客の創出が苦手」と言っています。

一般的に外側ほど難易度が高いのでどこの国の企業も共通ではあるでしょうが、頭の整理としてよいですね。

最後に、参考スライドになっていますが次のチャプターへの導入があります。

イノベーションが創出されるフローを分解しております。

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イノベーティブな企業の社内メカニズム

さて、具体的な調査に入ります。

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イノベーティブな企業としてベンチマークするのはいかがなものか、という企業もまぁありますがひとまずよいでしょう笑。

まずリクルート。

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あれ、最近New RINGやMTLからリクルートの屋台骨となるレベルの事業てあったっけ...。とか思いますが、整理されています。

ぶっちゃけたとこ言えば新規事業創出は私の感覚では以下の3点が重要であり、その貢献度は以下のようなものだと思っています。

・新規事業作りたい人/作れるを採用する(8割)

・芽を潰さない(1割)

・新規事業を作った報いがある(スタディサプリのような大出世)(1割)

駄目な人が集まった仕組みに支援の仕組みをいくら作ったところで無意味です。リクルートの仕組みを真似して、よい人材が集まっているわけではない会社に適用してもワークしません。

採用についてはこちらにコメントがありました。

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サマリーがこちらになります。新規性が強いというよりは、まぁそうかなという内容ではありますね。

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調査パート:ネットワークとイノベーション

さて、次の調査パート、ネットワーク(イノベーション・エコシステム)です。

シリコンバレーやイスラエルを分析対象としております。

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サマリーがこちらですね。

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共通して得られた示唆が3つあるとされています。

・グローバルな知の還流

・アクセレーター、VC、大学が産業基盤を形成している

・官が人材、技術、リスクマネーの有機的結びつきを強めている

まぁそうだよね、という示唆ではありますね。

結論としての政策提案...はなかった笑

さて、結論の政策提案ですが・・・今回のプロジェクトのスコープ外であったようです笑。 

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プロジェクトの目的に「大胆な解決策を提示する」とあったので少々残念。

公開版資料には具体的過ぎて盛り込まれなかったのかも知れません。

今回のプロジェクトはかなりさらりとしたものでしたね。

情報も入手しやすいものも多かったため、プロジェクトとしては比較的楽だったかもしれませんね。

見応えがあるチャートをピックアップ

いくつか面白みがあるチャートをピックアップしてみようと思います。

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Japan Innovation Networkという機関があるのですね。

そこが提案する2階建て構造です。ビジュアルがおしゃれですね笑。

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リクルートの新規事業の歴史です。

最近の成功例としては受験サプリでしょう。まだまだ利益創出というフェーズには遠いようですが、短期間でかなりのシェアを獲得し動画教育ベンチャーを一掃しました。

生みの親である山口氏はこの実績でリクルートマーケティングパートナーズ(ゼクシイ、カーセンサーの運用会社)の社長に抜擢されました。

Indeed.com社内で創出されたものではありませんが、投資回収という点では大きな成功例です。現在のバリューを考えるとかなりの割安買収でした。

買収担当に成功の理由を聞いたところ「我々が当時最も高く評価した」とのことです。

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リクルート用語リストです笑。TOPGUNとかよく調べましたね。

他にも様々な表彰がリクルートにはあります。

NAなどは皆さんもご存知でしょうか?

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こちらは最近何かと話題のイスラエルの分析です。

産官学の役割を整理していますね。

余談ですが、イスラエルは都市部においては治安もよく、綺麗です。

まとめ

コンサルタントの仕事がなんとなく想像出来たのではないでしょうか。

 タイトルの通り「調査研究」系のプロジェクトでした。

定量分析とインタビューは少なめで文献調査が主であったかと思います。

DTC、コンサルティング会社に転職するとこういった調査・分析・資料作成が皆さんの仕事になります。

他にもコンサルティング会社の資料を読み込むことで学びにもなり、コンサルタントの仕事も想像しやすくなり、面接でも具体的な受け答えが出来ることになるかと思います。他の資料も読み込んでいきましょう。

 

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